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2006年2月5日(日)「しんぶん赤旗」
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家計の貯蓄率低下に歯止めがかかりません。内閣府が公表した二〇〇四年度国民経済計算確報によると、〇四年度の家計貯蓄率は2・8%となりました。いまの統計で比較可能な一九八〇年度以来最低の水準を更新し続けています。その背景をみてみました。(山田英明)
最大の要因は所得の減少です。雇用者報酬は、九七年をピークに減少傾向を続けています。
小泉内閣は、大企業によるリストラ・人減らしを促進してきました。政府の後押しのもと、企業は労働者の賃金を抑制し、正規労働者からパートや派遣社員など、雇用形態を非正規雇用中心に置き換えてきました。
結果、サラリーマン世帯の実収入は減少。総務省の家計調査によると、九八年以来、〇四年に一時増加に転じたものの、〇五年はふたたび減少に転じています。
■手取りも減少
その上、手取り収入の割合が減っています。自民党政治による負担増路線が、家計の税と社会保険料負担を増加させ、可処分所得(実収入から税と社会保険料負担を引いた額)を減少させてきたからです。
その一方、家計の消費支出は横ばい(国民経済計算確報)。家計調査(〇五年十二月)によれば、サラリーマン世帯の家計にとって、衣食住にかかわる費用や医療費など、いや応なしに必要な支出が増加していることが要因です。
貯蓄残高を減らした世帯の理由(複数回答)は、「定期的な収入が減ったから」(51・3%)、「子どもの教育費用、結婚費用などの出費があったから」(29・5%)が上位(金融広報中央委員会の「家計の金融資産に関する世論調査」)を占めます。
実収入減と、負担増路線に加え、いや応なしに必要な支出の増加が、家計の貯蓄を減らしている構図が浮かび上がります。
■増税重く響く
家計の貯蓄率が、坂道を下り始めたのは九七年度。橋本内閣(当時)によって、消費税増税や医療改悪など九兆円もの負担増が国民に押しつけられた年でした。
国会で議論される〇六年度予算案には、定率減税廃止や医療改悪などが盛り込まれています。小泉内閣の連続的負担増は橋本内閣を上回る規模です。
中学生と高校生の子ども二人を育てる東京都内在住の主婦(48)はいいました。
「増税や年金保険料引き上げが家計に重く響きます。病気や万が一のためと思って貯金しているのに、それを取り崩さないと生活できない。今は健康だからいいけど…」
貯蓄率低下は、小泉「構造改革」が招く将来不安の象徴です。
■貯蓄ゼロが4世帯に1世帯
金融広報中央委員会の調査によると、貯蓄ゼロの世帯が全体で23・8%と調査開始以来、最高となっています。約四世帯に一世帯が貯蓄ゼロということになります。中でも、単身世帯の場合、貯蓄ゼロ世帯の割合は、四割を超えます。
また、総務省の家計調査によると、高齢者無職世帯の家計の赤字は平均約四万七千円に達しています。
二人以上の世帯のうち、高齢無職世帯(世帯主が六十五歳以上で無職の世帯)の消費支出はほぼ横ばいで推移しています。
一方、可処分所得は、年金収入減や増税、社会保険料負担増などによって減少を続けています。
その結果、消費支出にたいする可処分所得の不足分(赤字額)は、年々増加する傾向にあり、〇二年には二万二百二十五円だったものが、〇四年には、四万六千五百八十六円に達しています。
▼貯蓄率 実収入から税金や社会保険料の支払いを除いた金額(可処分所得)から貯蓄に回す額の割合を示します。国民経済計算では統計上、貯蓄額は、可処分所得額から消費額を引いた額とみなして計算しています。統計上の貯蓄は金融資産のことで、預貯金のほか保険、株式、投資信託も含みます。給与の振り込みで一時的にしか口座にとどまらない預貯金は含みません。