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日銀・武藤副総裁、量的緩和解除へ前向き 「4月前後」か
記者会見する武藤敏郎・日銀副総裁=2日、松山市内のホテルで
長期金利と円相場の推移
日本銀行の武藤敏郎副総裁が2日の講演で、景気の先行きに強気の見通しを示し、量的緩和政策の解除に前向きな姿勢を見せた。市場関係者に「慎重派」と見られてきた武藤副総裁が、近い将来の解除に自信を示したことで、「4月前後の解除が現実味を帯びてきた」との見方が強まりそうだ。ただ、解除後の金融政策のあり方については、政府・与党内に導入論があるインフレ目標政策に消極的な姿勢を示しており、着地点は見えていない。
「06年度にかけて(解除の)条件が満たされる可能性が高まる」。武藤副総裁は講演で、解除条件の達成見通しに初めて言及した。
日銀が公約した解除条件は(1)生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の前年比が数カ月ならして0%以上(2)先行きも再びマイナスにならない見込み(3)この二つの条件が満たされても、経済・物価情勢によっては解除しない、の三つ。CPIは昨年10月が前年比0%、11月と12月は0・1%上昇に転じている。
先行きも、武藤副総裁は「物価を巡る環境は好転している」と明言、「CPIの上昇率がプラス基調になっていく」との予想を再確認した。
●「ゼロ金利続く」
一方で、解除後もゼロ金利がしばらく続き、その間は、物価上昇率が名目金利を上回る「実質マイナス金利」になることを説明。「景気・物価への刺激効果は一段と強まる」と述べた。株価上昇や都市部など一部の地価上昇で指摘される「ミニバブル」にも触れ、資産インフレへの警戒感もにじませた。
経済学者らには、CPIの前年比がはっきりと安定したプラスになるまで量的緩和を維持すべきだとの慎重論も多い。しかし、日銀内には、05年度末ごろまでに0・4%程度の上昇率になり、解除条件を満たすとの見方が広まっているようだ。
市場関係者の間では、この日の武藤氏の発言に、「解除に向けた地ならしのラストスパートが始まった」(アナリスト)との受け止め方が出ている。
●根強い円売り
東京債券市場の長期金利も2日は、一時1・580%と昨年12月半ば以来の水準に上昇。財務省が1日実施した政府短期証券(FB、3カ月物)の入札では、最高落札金利が0・0081%と、ほぼ1年4カ月ぶりの水準まで上がった。
昨年12月までは金利0%での落札が常態化していたが、「4月にも量的緩和が解除されることを意識し、短期金利レートは着実に上がっている」(寺田寿明・東短リサーチ研究員)という。
ただ、「量的緩和が解除されてもゼロ金利が当面続くとの見方が根強いため、長期金利の上昇は限定的だ」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次シニアエコノミスト)。
円ドル相場でも、「日米の金利差はすぐには縮小しない」(大手銀行為替担当)との見方が主流だ。金利差を手がかりにした国内投資家の円売りドル買いは根強い。
解除後の金融政策については、政府・与党などからインフレ目標政策の導入を求める声が強まっている。2日の自民党の金融政策小委員会では、山本幸三委員長が、「政府が名目成長率を目標とし、日銀がその達成手段として物価目標を定めるやり方でもいい」と指摘。市場関係者にも、「解除後にゼロ金利がいつまで続くか明確でなく、日銀の政策次第で長期金利が大きく上昇する懸念は残る」との声がある。
日銀内では「金融政策の手足が縛られる」と導入に反対の意見が多い。武藤副総裁も2日の会見で「現時点では課題が多い」と否定的な見解を示した。市場が政策をある程度予測できるようにする「透明性の向上」は重要だとしながらも、「中身については今後の検討課題」と具体策はまったく示さなかった。
http://www.asahi.com/paper/business.html