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(回答先: [ライブドア]会計士、経理操作認める「女性執行役員指示」 【毎日新聞】 投稿者 愚民党 日時 2006 年 1 月 29 日 12:28:58)
http://www.nikkei.co.jp/ks/desk/20060124b191o000_24.html
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「検事が『あなたこれこれこういう事はやってないですね』と聞くから、『やってないと思います』と答えるだろう。でも、何度も同じ事を聞くんだ。どうしても身に覚えがないから『やってないと思います』と言うしかない。検事から同じ事を聞かれ続けると、『おれ、本当はやってしまったのかな』と自分から思うようになってしまう。そんな瞬間なんだよ。検事が『確かにあなたはこれこれはやってませんよ』と言うんだ。こっちにしてみりゃ、最初からそう言ってくれればいいものを、検事は絶対にそう言わない。そうすればこっちを追い込めるのを知っているからだ。いや、あの心理的圧力にはまず耐えられない。サラリーマンじゃ絶対に無理だ。黙っていられるのはヤクザだけだよ」。
90年代というのは金融機関に勤務するインテリの大量のホワイトカラーが検事の取り調べを経験した時代だった。経済記者だった筆者は東京地検特捜部の取材経験はないけれども、「取り調べを受けた人たち」から検察について話を聞いたことが何度かある。上記の話もある証券会社の幹部から聞いた。多くの人が異口同音に言うのは、地位や世間体を大事にするホワイトカラーは検事を前にすると、いとも簡単に「落ちて」(口を割って)しまうということだった。そういえば、昔の疑獄事件で検事の前で一切黙秘したアングラ世界の住人がその義理堅さ故かその後、実業の世界で活躍していたことを思い出す。逆に、インテリのホワイトカラーは自らを守るために同僚や他社の関係者を検察に売り飛ばした。接待汚職事件が立件されたのは、こうしたホワイトカラーの「自白の連鎖」があったからだろう。
23日にはライブドアの堀江社長以下4人の役員が逮捕された。市場がこの逮捕をどう消化しているかは、藤原記者の手による本日付フロントのアタマ記事を読んで頂きたい。
堀江社長らは人並み以上のインテリではあるだろうが、普通のサラリーマンではない。これからどんな経緯をたどるかは分からないが、ヤクザでもないだろうから一切黙秘することもないだろう。今後のビジネスへの早期復帰を前提に検察が起訴するつもりだと判断すれば、有罪を認めて執行猶予を勝ち取ると言った「大人の対応」を取るのかもしれない。ビジネスを優先するなら、少なくとも現在の日本で真っ向から検察に刃向かうのは得策でないと、拘置所の中で発想を変えることもあり得るだろう。
発想の転換が必要なのは我々メディアのような気もする。例えば、株式市場で事件が起きればすぐに日本版証券取引委員会(SEC)だと騒ぐ人が多いが、これは米国型資本主義を理想化する思考回路と何ら変わらない。米国でエンロン事件が起きた際に徹底的に無力をさらけ出したのがピット委員長(当時)率いる米SECであり、米SECはその後も金融犯罪の高度化に追い付いていない。米国のSECは確かに年間数百件に及ぶ摘発をしているが、原則として民事制裁と行政処分であり、訴訟社会米国で何万もの訴訟が起きる中のごく一部に過ぎない。米国ではパフォーマンス先行のニューヨーク州司法長官ばかりが目立っており、そこには一種の政治性の匂いもする。彼我の差を無視して制度の直輸入するのを薦めるような議論は、結局の所、日本で言えば検察、米国で言えばNY司法長官を単に英雄視することにつながるような気がする。