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境港水産業界 この1年
2005/12/22の紙面より
過去最高を記録したマグロ水揚げ=7月、境漁港
境港の水産業界は今年、歴史的な出来事が相次いだ。過去最高を記録したクロマグロ水揚げは特産品開発の起爆剤となったが、三月の法改正に伴う保険未加入船の入港禁止はベニズワイガニの輸入に依存した加工場の足場を揺るがせた。長年のイワシ不漁が響き、老舗企業二社が経営再建に踏み切るなど水産資源の変動に左右される業界の構造も浮き彫りになった。環境の変動に耐え得る「安定化」の鍵は何か。一年を振り返りながらキーワードを探った。
資源頼み脱却へ 「安定化」の鍵は・・・
マグロ日本一
マグロの水揚げが境港で始まり、二十三年。遠洋漁業による冷凍ではなく、巻き網漁業の生マグロ受け入れ基地として体制を整え、六−八月の漁期には水揚げ量約三千トン、取引額約二十六億五千万円を記録した。
境港を拠点とする船団の漁場(日本海側)がマグロの回遊に恵まれた半面、太平洋側は不漁だったため、境港は生クロマグロの水揚げが日本一になった。
豊漁を背景に市内の加工業者は未利用だったマグロの卵巣を商品化。県境港水産事務所も内臓を活用する特産品開発の検討に着手した。来夏に向けて県、市はマグロ加工に関するセミナー、マグロを題材にした料理の試食会や出荷車両の装飾などを計画している。
これらの試みについて、同事務所の増田紳哉所長は「魚を右から左に流通するだけの時代は終わった。(全体的な)水産資源の回復が進まない中、付加価値を高めることが大切」と説く。
休漁期延長
船主責任保険の加入を義務付ける「改正船舶油濁損害賠償保障法」が施行されると、ベニガニを輸入していた北朝鮮船の入港が激減。三−七月の入港数は前年同期を延べ百七隻下回る二十九隻だった。県営境港魚市場で取引された輸入量は一−十一月が千トンに届かず、前年同期を約五千五百トン割り込むことに。
ベニガニを必要とする境港の加工業界はもともと、一九七三年のカニかご漁操業に合わせて発達したが、境漁港への水揚げ量減少に伴って輸入の依存度は上昇。その輸入量が減った今年は水揚げが好調だったため、大きな影響はなかったが、来年から漁業者は資源回復の一環として休漁期を従来の七−八月から六−八月に延ばしており、加工業界は再び原料不足の危機に直面する。
「休漁期延長には反対だったが、長い目で見で仕事を続けなければいけず、納得した。漁業者と仲買加工業者は利害が反するが、手を取り合うことにした」
境港鮮魚仲買協同組合の越河勇理事長は休漁期延長が決まった経緯をこう説明する。
ベニガニの漁業、仲買加工、卸売の三者が漁業者の休漁に必要な経費の行政支援を求めた行動は長期的な視点に立った第一歩だという。
不漁対策
かつて豊漁だったイワシは九三年ごろから減少が顕著になり、企業経営を揺さぶった。創業約八十年の歴史を持つ鳥取缶詰は四月に水産缶詰の製造事業から撤退。十二月には大手漁業会社の共和水産が金融機関に債権放棄を申し出るなど事業再生に向けて仕切り直すケースが相次いだ。
変動する資源に対し、どう向き合うか。鳥取缶詰は現在、不漁対策として六三年から始めた即席めんの製造や輸入、移入魚を原料にした飼肥料の開発などに専念する。
「今年が大漁でも、来年はどうなるか分からない。イチかバチかの投機的な面を少なくすることが課題だと思う」と板倉良多社長。経営者として「好事魔多し」を肝に銘じているという。