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2006年1月29日(日)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-01-29/2006012901_01_0.html
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「ええっ。月二千円も上がってるよ。年間約三万円も取られるのか」。東京都内在住の団体職員(54)は声をあげました。月末、会社から支給された一月分の給与明細を見て、前月と比べ増えている所得税額に驚きの声が広がっています。一月から所得税の定率減税が半減された結果です。
「うーん。たしかに上がってますね」。東京都内の印刷会社で働く片岡信吾さん(55)=仮名=は十二月分と一月分の二つの給与明細を見比べます。片岡さんは源泉徴収票に目を移します。「えっ。全廃されたら、この四万一千円が増税されるの」
■この額が増税に
会社から支給された片岡さんの二〇〇五年分の源泉徴収票には、半減・廃止される前の定率減税額が記載されています。
今年一月からの所得税の定率減税半減(住民税の定率減税は六月から半減)に続き、小泉内閣がたくらむ定率減税の全廃。全廃されると、源泉徴収票に記された「年調定率控除額」がそのまま増税額になります。
片岡さんは、「話には聞いていたけど、初めて知りましたよ。この減税がなくなると痛いね」と肩を落とします。
片岡さんの母親(87)は現在、都内の特別養護老人ホームに入所しています。「母の介護のために、毎月六万円から七万円の負担が掛かります。母の年金は四万円ちょっとでしょ。差額は持ち出しです。また増税なんて…」
■重なる負担増
東京・大田区に暮らす田島道子さん(48)=主婦・仮名=は、夫の給与明細書をみて、「本当に上がってますね」と声をあげました。
定率減税が全廃されたら二万円の増税になります。「二万円というと、十日分の食費に相当しますよ」と語る道子さん。中学生と高校生の子どもは食べ盛りです。「食費を一日二千円に抑えようと思っているんですが、正直いって無理です。子どもたちは『ニンジンの皮まで食べるの?』っていいますが、そうしてでも節約しないと」
介護保険料や厚生年金保険料の値上げなど、今年、田島さんの家計を襲うのは定率減税半減による所得税と住民税の増税だけではありません。「一つ一つはそれぞれ小さな負担増でも、積み重なると家計にとっては大きな負担増になりますね」と語る道子さん。「国も軍事費とか公共事業の無駄を削ったらいいんじゃないですか。景気回復をいうなら、大企業にちゃんと税金を納めてもらったらいいんじゃないですか」
(山田英明)
▼定率減税 所得税(国税)と個人住民税(地方税)の税額の一定割合を差し引く減税。所得税額の20%(最大二十五万円)、個人住民税額の15%(同四万円)を税額から差し引いていましたが、二〇〇五年度税制「改正」で半減されました。減税割合は、所得税が今年一月から10%(最大十二万五千円)に、住民税が同六月から7・5%(同二万円)になり、半減された分が増税になります。政府は、〇六年度税制「改正」で、定率減税の全廃をめざしており、現在開会中の国会で審議されます。定率減税は、一九九九年度の税制「改正」で、景気対策として、所得税の最高税率の引き下げや法人税の税率引き下げなどとともに導入されました。