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ライブドア・ショック
指定管理者に『孫会社』
海洋深層水の草分け、高知県室戸市が「ライブドア・ショック」の余波で揺れている。七月オープンに向け建設が進む海洋深層水を生かした健康増進施設の指定管理者候補の中核企業が、ライブドアグループ企業の完全子会社のためだ。今後の行方に気をもむ室戸市を訪ねた。 （吉原康和）
■高知・室戸ルポ
高知空港から東へ約七十キロ。高知県東南端のＶ字型に突き出た室戸岬から、室戸阿南海岸国定公園内の海岸沿いに、約三・六ヘクタールの造成地が広がる。室戸市が総事業費約二十四億円をかけて建設中の「いやしの里公園」の予定地だ。
海洋深層水を使った温水プールなどを備えた健康増進施設（約七億四千万円）を中核に、隣接地にホテルとタラソテラピー（海洋療法）施設を建設する。漁業の不振と過疎化が進む同市にとっては、「健康」と「美容」をキーワードに、室戸の海洋深層水を全国にアピールする起死回生のプロジェクトだ。
すでに、昨年八月、再公募の末、やっと健康増進施設の管理・運営を担う指定管理者も内定。三月議会で議決を待つばかりとなっていたが、ここにきて前途に暗雲がたれ込めてきた。
指定管理者候補に選ばれたのは、広告宣伝企画会社（東京都港区）を中心とするグループ（四社）だが、この広告宣伝企画会社が昨年二月、ライブドア関連会社でマザーズ上場の「ライブドアマーケティング（ＬＤＭ、旧バリュークリックジャパン）」の完全子会社となっていたためだ。
同企画会社は年商約九十億円で、広告業界では中堅企業という。ライブドア前社長の堀江貴文容疑者も、買収当日の昨年二月十四日のブログ「社長日記」の中で、「朝からバリュークリックジャパンの取締役会。広告宣伝企画会社（日記中は実名）の子会社化の決議。これによりバリュークリックの売り上げ規模は急拡大する。課題となっていた顧客拡大の営業活動もかなり促進される」などと書き込み、同社の買収は三年越しの課題だったことを打ち明けている。
その後、同企画会社の取締役（非常勤）には、堀江容疑者の側近の宮内亮治（ライブドア前取締役）、岡本文人（ＬＤＭ社長）の両容疑者も就任。同社も、ライブドアの資金力などをバックに、これまで以上に広範囲な事業展開も予想されていただけに、ライブドアグループの証券取引法違反事件での強制捜査は関係者に大きなショックを与えた。
事件の影響について、同企画会社の担当者は本紙の取材に「捜査の経過も含めて事情が分からないので、対応のしようがない」としながらも、「宮内、岡本取締役は非常勤で、事件の影響はない」と強調。そのうえで「うちはもともと、二十年前ごろから、海洋深層水に限らず、健康増進施設の設計や運営を手がけてきた。室戸市の施設も設計を手がけたという責任上、指定管理者に応募した。議会の議決が得られれば、引き続き運営を担っていく考えに変わりはない」と話す。
■強制捜査翌日に市担当者が上京
だが、室戸市では、強制捜査の翌日の十七日に担当課長が上京し、状況確認に走ったほどで、同市議の谷口総一郎氏も「ライブドアの『孫会社』が指定管理者として運営を継続できるのか。途中で撤退すれば、管理者不在の事態も想定される」と懸念を口にする。
別の地元関係者も「広告宣伝企画会社はライブドアの傘下に入って運転資金も調達し、今後の運営は大丈夫と聞いていただけに、不安だ。地元にとっては、たとえ、赤字でも長期的に運営を継続してもらいたいが、一、二年で逃げられては困る」と話す。
海洋深層水を観光資源として活用し、ブランド力アップを目指す「いやしの里公園」。その中核施設で管理者の行方が不透明という事態に、補助金一億円を支出している高知県も「今後の状況を報告するように」と指示するなど、困惑が広がっている。果たして、ライブドアのグループ企業は今後、どうなるのか。
ライブドア問題に詳しい弁護士の永沢徹氏は「グループ傘下ということで、一時的には信用が低下したり、官公庁の発注や広告のスポンサーを控えることもあるだろう」と影響を指摘したうえで、今後の展開をこう予測する。
「ライブドアはもともと買収には熱心だったが、買収後の運営はそのまま会社の経営陣に任せるケースが多かった。個々に事業を行っているグループ企業の中には、（事件を機に）独立したいと考える会社もあるだろう。だが、ライブドア側は優良子会社は内部につなぎ留めたい。集約するか、逆に分解するかは、新しい指揮官の平松庚三社長の判断に負うところが大きい」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060127/mng_____tokuho__000.shtml
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。