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2006年1月27日(金)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-01-27/2006012708_01_0.html
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「消費税、所得税、法人税、資産税など税体系全体にわたって、あらゆる角度から見直す」。小泉首相は二十日の施政方針演説でこう強調しました。消費税増税に本格的に踏み出すという宣言です。二十七日から始まる政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)の議論。焦点の一つは、消費税増税です。
■6月に選択肢
小泉内閣は二十日、「構造改革と経済財政の展望(改革と展望)」(改定)を閣議決定しました。中期的(五年)な経済財政運営についての将来展望を示すと位置付けられる「改革と展望」。改定版は、(1)「歳出・歳入一体改革」の選択肢および改革工程を今年六月をめどに明らかにする(2)増税も含む結論を二〇〇六年度中に得る―とした方針を盛り込みました。
どんな選択肢が六月に示されるのか。与謝野馨経済財政担当相は読売新聞(十八日付)のインタビューに答え、「(消費税引き上げについては)値段のついたメニューを出さないといけない」「(歳出削減と増税の組み合わせの)メニューは松竹梅くらいになる」と語りました。
消費税を「二ケタの税率に引き上げる必要もあろう」(〇三年六月、中期答申)との方針を示してきた政府税調。今年秋には、中期答申をまとめる予定です。「当然、消費税も含んだ意味での税制『改革』の提言を出しうる」(昨年十一月二十五日の記者会見)としていた石会長は、消費税率について、二ケタにする前に「7%か8%か、途中の段階があると思う」(読売新聞二十六日付)とも述べています。
六月以降に政府が示す選択肢にも、政府税調の中期答申にも、消費税増税が盛り込まれるのは必至です。
■庶民いじめのみ
谷垣禎一財務相は「消費税だけに議論を特化すると展望を間違う」(二十一日、NHKの討論番組)と語りました。消費税だけではなく、所得税や法人税、資産税など、「あらゆる角度から見直す」という小泉首相の施政方針演説に呼応した発言です。
しかし、「見直す」といっても、庶民には増税、大企業には減税という流れを抜本的に見直す考えはありません。
政府税調は昨年六月、サラリーマンの給与所得控除や配偶者控除など、各種控除の縮小・廃止の方向を盛り込んだ報告書をまとめています。所得税「改革」の方向は、庶民増税にほかなりません。
一方、法人税については、ピーク時には、43・3%だった基本税率が、現行では30%にまで引き下げられ、政府税調は「現在の水準を維持するのが適当」(〇六年度税制「改正」答申)としています。日本経団連は、いっそうの引き下げを政府に求めています。政府による「見直し」の方向に、引き上げはありません。
■抜本的なメスを
庶民増税と社会保障費抑制の組み合わせ以外に選択肢を示そうとしない小泉内閣。日本共産党は大企業への行き過ぎた減税など「財界・大企業の『既得権益』に抜本的にメスを入れる改革」(第二十四回大会決議)によって財政危機の打開と社会保障充実を図る道筋を対置しています。
谷垣氏は、消費税増税を含む「歳出歳入一体改革」について「国民的議論を深めることが必要」(九日、ニューヨークでの講演)と述べています。消費税増税に頼ることなく財政危機打開と社会保障充実の道を探る議論こそ深めるときです。(山田英明)