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TOP 【世に倦む日日】 http://critic2.exblog.jp/
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野口英昭の「自殺」から一週間が過ぎた。ネットの中でのライブドア問題の関心は、実際のところ、もっぱら野口英昭の殺害事件の謎に集中している。錬金術スキームの実態とか、堀江貴文の関与とか、ライブドアの経営とライブドア株の今後とかではなく、ネットの中でのライブドア事件の主役は野口英昭である。マスコミ報道の表面からは野口英昭の名前は徐々に消えつつあるが、腑に落ちない人々が上げる声は途絶えることなく、真相解明を求めてネットの中を響きわたっている。これだけ多くのアクセスがブログに集中したのも、野口英昭の不審死について少しでも情報を得ようとする人々の関心の高さによる。最初は「自殺」と言い流していたマスコミも、先週末の葬儀報道の前後にはさすがに「自殺」だとは簡単に呼べなくなり、TBSの「ブロードキャスター」や日本テレビの「ザ・ワイド」では、「奇怪な死を遂げた野口さん」という表現になっていた。自殺だとは誰も思っていない。誰も自殺だと思っていない事件を自殺だと言うのは不自然で抵抗があるのだ。
沖縄県警はあいかわらず口を閉ざして、記者会見も開こうとしない。報道機関はなぜ県警に会見を開くよう求めないのだろう。国民の知る権利に応えようとしないのだろう。事件は自殺ではなく明らかに他殺である。遺体の状況を見ても、現場の状況を聞いても、背景の状況を考えても、他殺の可能性を疑って捜査すべき案件だった。司法解剖を行わなかった県警の判断と処置には重大な過失責任がある。国会は国政調査権を使って沖縄県警本部と警察庁の関係者を呼び、当件を自殺と断定した警察当局の経緯と根拠を検証すべきだ。遺体を目撃した救急隊員の証言では、両手首と首両脇と腹部の五ヶ所に刺し傷があったとされている。自殺として不自然だということは誰でもわかる。現場では部屋の異常を報らせるブザーが鳴ってホテルの職員に発見されたことになっている。ブザーは「自殺」を遂げた本人が押したのか、それとも他者によるものなのか、ブザーが事実とすればきわめて不審な点であり、失血死した時刻との整合を検証する必要ある。
フロントでは偽名を使っていた。そして何より免許証で身元が判明した本人は、ライブドア事件に関連して二日前に家宅捜索を受けた重要な事件関係者である。その情報は当日の午後には県警に入っていたはずで、東京地検と警察庁を通じて遺体本人に関する説明が十分に与えられていただろう。われわれもカプセルホテルの現場の真実を知りたいが、それ以上に詳しく現況を知りたかったのは東京地検特捜部の検事たちだったはずだ。県警から報告を聞いた検事の中で、それを自殺だと思った人間が一人でもいただろうか。野口英昭の事件は、マスコミに知らされる前の半日間に、県警と本庁と地検の三者のトップの間を情報が駆け回り、報告系と指示系が何度も往復して、最終的に「自殺」と判断されて処理する決定が下されたに違いない。捜査担当者にとっても不意を衝かれた衝撃の事件だっただろう。マスコミにはどこが窓口になったのか。沖縄県警は公式会見を開いていない。報道機関の那覇支局の者が県警の広報部か刑事部から聞いただけだろう。
自殺と聞いて「本当にそうだろうか」と誰も思ったに違いない。新聞記者たちは面識のある刑事や幹部にぶら下がったはずだが、警察上層部からの報道規制の徹底で取材をシャットアウトされたのではないか。また報道機関の幹部に当局から連絡が入って、「自殺ということで騒がずに収めてくれ」と内々に要請があったに違いない。そうでなければ、少なくとも報道機関の連名で県警に正式な記者会見を要求する程度のことはできるだろう。この事件はライブドア騒動に釘付けになっていた国民を震撼させた衝撃の事件であり、そのとき国民の関心が沸騰した最も知りたい社会事件だったのだから。私が新聞社の社会部長だったなら、各社と共同で県警本部長に記者会見を申し入れ、同時に最精鋭の部下を那覇に飛ばして現場に張り付かせるだろう。そのようにして取材で世論の要求に応え、また警察を本格的捜査に動かせ、独自に取材班を編成して事件の真相に迫ったはずである。この問題は事件報道として限りなく価値(すなわち国民の関心度)が高い。
そこまでリソースを投じて取材報道する価値がある。野口英昭が組織暴力の手で殺害されたことは誰の目にも明らかだ。問題は誰が何のために殺したのかであり、裏にどのような背景と構図があったのかである。野口英昭の事件の後、検察は一気に堀江貴文逮捕に踏み切り、そして検察からの提供情報は、証取法違反を証明する細かな内部文書の暴露にフォーカスするようになり、それまでリークの中心だった錬金術スキームについては触れなくなった。株を売った先である「外国投資ファンド」の名前も出ていない。マスコミはそこから関心を移して、堀江貴文の拘置所生活やLD幹部の取調供述の様子の方を報道の中心素材に変えている。株を買った外国投資ファンドの名前が出て、現金がライブドアに還流するまでのスキームの全体図が明らかにされた時が、すなわち脱税容疑での再逮捕のタイミングだろうと期待して見ているのだが、それが何時になるのか全く分からない。検察が情報を出さないのなら、国会の証人喚問で追及すべきではないのか。
塀の外にいる投資事業組合の関係者を招致すればいい。野口英昭の死の真相が明らかにされるだろう。
と、ここまで書いて、今週号の週刊文春を手に取って読んだのだが、記事が実に素晴らしい。トップ記事の「野口”怪死”と堀江の”闇”」、これは快作だ。よく追跡して取材している。まさに私がブログで一週間前に投げかけた問題意識そのままに現地で取材して記事を書き上げている。レビューは次回の稿で詳しくやるが、ブログ読者の皆様もぜひ320円で週刊文春を購入してご一読いただきたい。いろいろな関係者の証言がある。新事実も多くある。
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