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ライブドア捜査の今後 − 錬金術スキームにおけるキャッシュの謎  【世に倦む日日】
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 1 月 21 日 22:20:16: ogcGl0q1DMbpk
 

ライブドア捜査の今後 − 錬金術スキームにおけるキャッシュの謎


http://critic2.exblog.jp/2536984#2536984_1

地検のこれまでの捜査を時系列で追うと、まず1/16(月)の午後に強制捜査をリーク、市場閉鎖後の午後4時に報道させ、午後6時半に捜査に踏み込むと同時にマネーライフ買収時の不正株売買と粉飾決算を容疑根拠として開示、風説の流布と偽計取引の証取法違反行為(157条・158条)があったと公表した。翌1/17(火)も関係各所に捜索の手を広げ、同時に報道情報としてマネーライフ買収時における不正行為を証拠づける幹部間のメールのやり取りを公表、投資組合を巧妙に使った買収と株操作の手口の概略を明らかにした。次の1/18(水)は前日に東証株価が暴落した影響で、地検はマスコミへの新情報の提供を差し控え、関心はライブドア幹部の事情聴取の時期と形式に集中する。同時に、この頃からライブドア社の経営手法の特徴である株式錬金術のメカニズムに焦点があてられ、株式分割による資本拡大と株式交換による企業買収によって急成長を遂げた経営実態があらためてクローズアップされた。

連日の株価のストップ安が続き、事情聴取前のブツ読みが続く中で、さらに疑惑情報は広がってゆき、1/19(木)は同じ不正な取引がマネーライフ以外にも、ロイヤル信販(サラ金)とキューズネット(結婚相談)二社の買収においても繰り返された疑惑が報道され、また、株で儲けた資本利益を事業利益として本体に付け替えていた不正会計の疑惑が伝えられた。この日は野口英昭の那覇での自殺事件が騒動の中心を占め、ライブドア問題が陰惨な空気に包まれる異様な局面を迎えたが、同時に、このライブドアの錬金術のスキームの中で、投資組合の存在とそこに関わる黒い人脈が錬金術の鍵を握っている予感を世間一般に抱かせた。ロイヤル信販とキューズネットの名前が出たのは、地検が押収品の中から証拠を物理的に掴んだからか、以前から証拠を押さえていて、マネーライフの次に逐次的に情報を出すべく予定を組んでいたからであり、特捜部はこうした「玉」をまだ幾つか懐の中に持っているに違いない。

1/20(金)は事情聴取の動向が最大の関心事だったが、期待した堀江貴文の逮捕はなく、幹部への聴取も任意であり、捜査が堀江貴文に及ぶのは持ち越しとなった。株価はストップ安を続け、堀江貴文が何度も強調していた株式時価総額は現時点で半減、それが価値ゼロの結末に着地するのも時間の問題となった。堀江貴文の失意と落胆は大きいだろう。堀江貴文が法廷で無実を訴えても株価の回復はない。そう誰しもが思う。ライブドアは欲望する信者の期待と新自由主義の改革ファシズム(=政権とマスコミの「改革」主義の束)の援軍によって経営を支持されていた。その二つが失われた現在、ライブドアの経営を維持できる条件はない。考えればすぐわかるが、ライブドアには実業がないのだ。収支を作る実体がない。技術があるわけでもない。製品があるわけでもない。われわれが知っているライブドア製品と言えば、せいぜい「弥生会計」だけである。信者はライブドアを虚業と知りながら、金儲けができるから信者をやっていた。

ブツ読みで出てきた情報も初めて流された。社員PCのメール消去の報である。こうしてジワジワとライブドアの違法経営が固められて行き、堀江貴文の逃げ道を塞ぎ、全面自供の前提を作って行く。私は今後の捜査とマスコミの関心は脱税の方向に移って行くのではないかと予想していて、例のライブドア錬金術スキームの中で、これまでは株操作に関心が集中していたが、今後は換金術の方に関心が向けられるのではないかと思っている。錬金術スキームは日を追う毎に詳細で複雑な構造図としてわれわれに解説されるようになっているけれど、実はまだ穴がある。それは例のスキームの中で、ライブドアが実質支配する投資組合が(買収によって)高騰した株を海外の市場で売却し、その数十億単位の利益をライブドア本体に還流していたという話だ。海外の市場とは具体的にどこなのか。誰が株を買ったのか。その取引の中で外為法に抵触する問題は発生していなかったのか。売却益は全て円になって国内に還流していたのか。

スキームの中のその部分がまだ明確になっていない。私の想像だが、海外市場で関連株を売却するにあたっては、それをサポートした外国の株屋がいたのではないか。投資組合のJMAMと同じような黒い裏方が一方にいたはずで、そこで何らか為替上のトリックが行われていて、さらに言えば、日本の税務当局の目を欺く利益隠しが行われていたのではないか。錬金術を構成する株式と現金の二要素のうち、ストックが動く舞台は東証マザーズだったが、キャッシュが動く舞台は海外ではなかったのか。だから、マザーズでライブドアの株券は無価値の紙屑となったが、海外でライブドアの現金は秘匿されて生きているはずだ。それを知っているのは、幹部の堀江貴文と宮内亮治と熊谷史人と、錬金術工作の外部別働隊であった角田幸治と澤田秀雄と、そこに繋がって海外に至る黒い闇世界の株屋の人間たちだろう。ストックのマジックだけでなく、キャッシュのトリックが暴かれなければ、ライブドア錬金術の全貌が明らかになったことにはならない。

来週もライブドア報道から目が離せない。政権はこれを耐震偽装事件の関心をマスクするブラインドとして徹底的に利用しており、すなわち、政権と司直の間で耐震偽装問題の決着の方針が固まるまで − 例えば伊藤公介の首は差し出すが安倍晋三は無罪放免とか − 延々と捜査情報の小出しとワイドショー解説を続けて、マスコミ報道の画面をライブドア事件で埋め尽くすだろう。


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