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(回答先: 証券会社副社長が自殺か ライブドアの企業買収関与 【東京新聞速報】 投稿者 愚民党 日時 2006 年 1 月 19 日 11:30:30)
『逆回り』ホリエモン現象考
わずか数年で急成長したライブドア。その起爆剤となったのが、自社株の株高を武器にした企業買収、倍々ゲームと、それをウラ支えするメディア露出戦略だった。さらに、日本経団連入会や自民党への接近など“ステータス”獲得も加わった。が、東京地検の強制捜査で、まるでフィルムの逆回しのように、獲得したものが次々と手を離れていく。どうなるライブドア?
「各事業部ともに通常営業を実施しております。ライブドアポータルサービスは今後どのような事態が起ころうとも、問題なく継続できる見込みが立っておりますので、ご安心ください」。堀江貴文社長は十七日のインターネットの自らのブログで、市場の不安を取り除くためか、こんな書き込みをした。
二〇〇〇年の東証マザーズ上場時に約五十億円だった株式の時価総額(株価と発行済み株式数をかけあわせた数値)を、わずか数年で百五十倍の約七千七百億円までに成長させたライブドア。
だが、東京地検特捜部の家宅捜索後、株式市場では、十七日のわずか一日で、同社とグループ六社の株式はストップ安まで売り注文が殺到。ライブドアだけで時価総額は約千億円減り、グループ六社全体では約千五百億円が泡と消えた。
インターネット専業の証券大手は同日、ライブドアと一部関連会社について、株式の信用取引の際の担保評価をゼロとし、東証も上場廃止基準に抵触しないか、調査するとみられ、“兵糧攻め”は進んでいる。
さらに、粉飾決算疑惑が一部で報じられたため、東証は十八日、同社株を一時取引停止。その後、“ライブドアショック”で大量の売買注文が殺到し、全銘柄の取引を中止する前代未聞の事態も引き起こした。
「ライブドアの株を担保に株式を買っていた人は、担保価値がなくなったことで、所持株の売却や、追加担保が必要になるなど、他の銘柄への影響も大きい」と、企業法務に詳しい弁護士の永沢徹氏は話す。
果たして、堀江氏が言うように「安心」していられる状態なのだろうか。
同社の株式の時価総額が減ったことについて、永沢氏は「かなりの痛手。同社は、株式の時価総額が高いから、企業買収の時の株式交換が有利だったし、有利な資金調達もできた。通常の企業に比べ、時価総額の減少が持つ意味は大きい」と指摘する。
ライブドアの急成長のキーワードは、ライブドアマーケティングに対する容疑とも関連する「株式分割」だ。ライブドアは〇三年末に一株を百株に分割するなど、株式分割を繰り返し、株数は当初の三万倍に達している。分割手続きの間、実際に流通する株は極端に少なく、株価は上昇する。そうして生み出した高株価を原動力に、同社は〇四年から企業買収を加速させてきた。
永沢氏は「ライブドアの株価は、事業拡大への期待感から高かったが、実を伴ったものだったかどうかは、もともと疑問だった。株価がどこで止まるか。通常、企業は本業があって投資があるが、同社は投資が本業。その投資にカラクリがあり、不正な形で利益があったとなると本業が成り立たなくなる」とも話す。
関東学院大学の奥村皓一教授(国際金融論)は「今まで回ってきた歯車が、逆に回り始めた。企業買収が滞り、さらに株価が下がれば、これまでの買収で支払いを約束した分を、借金して支払わなければならない。できなければ経営難に追い込まれる」とみる。
公認会計士の磯崎哲也氏は手厳しい。「株価の時価総額をあげることを目指すのは悪いことではないが、身の丈以上に良く見せようとなると問題だ。ライブドアの場合には、粉飾決算が事実だとすれば、上場廃止の可能性もある」
一方で、こうした急成長をウラで支えたのは堀江氏個人を前面に押し出したイメージ戦略だった。それには、メディアの力が不可欠。堀江氏は自らその「広告塔」の役を買って出た。
では、逆にメディアはなぜ、堀江氏というキャラクターに注目したのか。放送評論家の志賀信夫氏は「スポーツシャツ姿など、これまでのビジネス人にはないユニークさ、異端児像に引きつけられた」と話す。
ノンフィクション作家の吉田司氏はこう分析する。
「大衆が彼を求めたという点は看過できない。一昨年六月の大阪近鉄買収劇では、“老害ニッポン資本主義”の代表である渡辺恒雄氏に挑んだ。彼は正義の味方として船出した」
ところが、ニッポン放送株買収騒動のころから、微妙に堀江氏の像がずれる。彼はこの時点で“若害の悪玉”となったという。
「でも、メディアにとって、たった一人で善悪両役を担える『踊る想定内男』は、食傷気味の金正日総書記やヨン様に代わるネタとしては格好だった」
しかし、強制捜査後、すぐに手のひらを返したようにメディアの“ホリエバッシング”が始まった。
経済評論家の荻原博子氏は「人気と株を両輪にして会社を転がす虚業がホリエ商法。みごとに両輪とも飛んでしまった」と語る。
メディア側の責任も問われるべきだ、と志賀氏は批判する。「とりわけ、テレビは、興味本位に走りすぎた。時代の寵児(ちょうじ)とはいえ、彼を無批判に使い回した。メディア側は猛省し、今後は扱うべき対象をきちんと吟味しなくては」
「ただ」と吉田氏はこう付け加える。「ばくちの勝ち逃げは許されない、いつかは鉄ついを下される、という期待が大衆にもあったのでは。それを読んでいたメディア側にしてみれば、踊り尽くして破滅するというドラマを用意したかったはずだ。その期待を彼はいまも演じている」
堀江氏と持ちつ持たれつだったのは、メディアだけではない。昨年の総選挙で「刺客」扱いした自民党も、昨年十二月にライブドアの加盟を承認した日本経団連もそうだった。
荻原氏は「ライブドアはラッキョウの芯(しん)。堀江氏はそんな虚業から実業への転換を迫られていた。それを支えるのは信用で、必要なのは権威だった」と語る。
「小泉−竹中ラインにせよ、経団連の奥田碩会長の路線にせよ、掲げた旗はグローバルスタンダードという名の市場原理主義。その象徴としてライブドアは格好の存在だった」
吉田氏も「東大に入ったけど、まわりは金持ちの子ばかり。それを原体験に戦後を支えた中流文化が偽物であると説き、会社に忠誠を誓うより起業して自分の力を試せ、とアピールした反逆児(堀江氏)も、その商売の実像はただの自転車操業。そこから抜け出すには、自民党や経団連という敵だったはずの既成権威に飛びつくしかなかった」
だが、自民党は強制捜査後、堀江氏の「無所属」を盾に関係の否定に躍起で、奥田会長も十八日、「(入会は)経団連としてミスをした」と漏らした。
こうした対応を「筋が通らない」と政治評論家の増山栄太郎氏は突き放す。「自民党候補になれと提起し、幹事長が応援演説し、竹中流改革の旗手と持ち上げた責任は免れようがない」
時代の空気と踊った堀江氏。そして、その姿は小泉首相とも重なって見えると吉田氏は指摘する。
「ヒルズの塔は、バベルの塔だ。改革をうたうが、足元は驚くほど脆弱(ぜいじゃく)だ。過剰なイメージと、その実体の薄さ。この二人は驚くほど、そっくりではないか」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060119/mng_____tokuho__000.shtml