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厚生労働省は11日、生活保護費の基準額(最低生活費)の引き下げを検討する方針を固めた。地域によっては基準額が基礎年金額を上回り、与党や自治体から「基準額が高すぎる」という指摘が出ているのを受けた措置で、生活保護費全体の抑制につなげる狙いもある。三位一体改革に絡んで進めてきた地方団体との協議を再開するとともに、専門家による検討会も設置し、基準額の見直し議論を進めたい考えだ。
生活保護費のうち、食費や光熱費など生活扶助の基準額は、居住地によって細かく規定されている。たとえば、単身の65歳の場合、郡部では月額6万2640円だが、県庁所在地は7万3540円、東京23区では8万820円。家賃などを負担していれば、1万3000円を限度に住宅扶助が加算される。
これに対し、05年度の基礎年金額は、40年加入した満額受給者でも月額6万6208円で、都市部では生活扶助の基準額を下回る。こうした状況を問題視する与党などからは「基礎年金より高い保護費をもらうのはおかしい」との意見が相次いでおり、全国知事会と全国市長会は昨年11月、国に対して基準額の見直しを求めていた。
このため、厚労省は見直しに着手する方向となったが、公的年金が他の収入や資産の有無に関係なく保険料納付実績に基づいて支給されるのに対し、生活保護は最低の生活を保障することが目的で資産調査を伴う。省内には「生活保護と公的年金は性格の異なるもので、単純に比較すべきでない」との考えも根強く、今後の議論ではこうした点をどう整理するかが焦点になるとみられる。
生活保護費の受給世帯数は04年に初めて100万世帯を突破。03年度の保護費総額は2兆3881億円で、90年に比べて約8割増えた。全受給世帯のうち高齢者世帯が半数を占め、今後も増加が見込まれるため、抑制策が課題となっている。
【坂口佳代】
(毎日新聞) - 1月12日3時7分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060112-00000019-mai-pol