★阿修羅♪ > 国家破産44 > 230.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu110.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
--------------------------------------------------------------------------------
日本の新聞テレビでは国際情勢が見えないのはなぜか?
ロシアとウクライナの「ガス戦争」は裏の裏があって複雑だ
2006年1月7日 土曜日
アメリカのプロパガンダが入った画像(NHKニュース)
◆ウクライナ 露政権圧力に対抗 「基地使用料値上げ」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051224-00000012-san-int
【モスクワ=内藤泰朗】ロシアのプーチン政権が、ウクライナなど旧ソ連圏の「反露諸国」に、天然ガス供給価格の大幅値上げで圧力を強めている。これに対してウクライナはロシア黒海艦隊の基地使用料の値上げを提示するなど「非対称の戦い」を挑む。ロシアは一月一日までに交渉が妥結しなければガス供給を停止すると脅しており、その行方が注目されている。
天然ガス供給を独占するロシア国営ガスプロム社が、ロシア産ガスに依存するウクライナに値上げを突きつけたことから問題は先鋭化。ロシア側はこれまで千立方メートル当たり五十ドルだった天然ガスの価格を来年から一挙に四倍以上の二百三十ドルにすると通告。九十ドルを再提示したウクライナ側との交渉は行き詰まった。
ロシア側は「欧州入りを目指すウクライナには今後、エネルギーも欧州価格で販売する」と説明するが、親欧米路線を歩む同国への政治的な圧力であることは明白だ。
ウクライナは将来的には欧州価格での取引に応じる考えを示しながらも、現在の経済力で移行は現実的ではないと反発。交渉が決裂しても、ウクライナを経由して欧州に送られる「ガスの一部を“抜き取る”ことは契約で認められている」と揺さぶりをかける。
さらに、二〇一七年までの契約を結んだロシア黒海艦隊の基地賃貸料の大幅値上げや、艦隊が置かれるウクライナ南部クリミア半島と同国西部の二カ所に設置されたロシア防空軍の要である早期警戒レーダー基地の閉鎖、ロシアの大陸間弾道ミサイル(ICBM)の近代化に必要な部品供給の停止などもちらつかせているという。
ロシアの有力日刊紙、独立新聞によると、ロシア側は被る損失が天然ガスの値上げ分以上になると指摘し、「ウクライナが挑むこうした非対称の戦いは両国関係に何も良い結果をもたらさない」と強い調子で非難した。
両国の「ガス戦争」の行方は、同じくロシアのエネルギーに依存するグルジアやモルドバなどロシアを囲む旧ソ連圏全体に影響を及ぼすことになるものとみられている。
(産経新聞) - 12月24日2時27分更新
ロシアからヨーロッパへのガスパイプライン網(NHKニュース)
◆ロシア-ウクライナ・ガス問題のちょい裏 1月6日 ロシア政治経済ジャーナル
http://blog.mag2.com/m/log/0000012950
▼(ほとんどorちょっとしか)書かれていない真実
ネットでいろいろな記事を読んでみました。いらん部分を全部カットすると以下のようになります。
1、ロシアは、去年までウクライナに1000立方メートル50ドルで輸出していたガス料金を、一気に230ドルに引き上げようとした。
2、ウクライナがこれを拒否したため、1月1日から同国へのガス輸出を停止した。
3、欧州は、ロシアからガスを買っている。そのパイプラインはウクライナを通過している。ロシアがウクライナへのガス供給を停止したことで、欧州への供給も減少し迷惑した。
4、ロシアがウクライナへのガス価格を引きあげたいのは、親欧米派のユシェンコ政権に圧力をかけるためである。
5、国際社会のロシアへの反発が強まっている。
以上の内容のうち、4は全くそのとおり。反論の余地がありません。それが証拠に、ロシアはウクライナの隣の親ロ独裁国家ベラルーシに、今年も48ドルで供給することで合意しています。しかし、そのほかの内容については、補足しないと真実を見失います。一つ一つ見ていきましょう。
▼4倍に引き上げるなんてひどい?
まず
「1、ロシアは、去年までウクライナに1000立方メートル50ドルで輸出していたガス料金を一気に230ドルに引き上げようとした。」について。
世界最大のガス会社ガスプロムが、料金を50ドルから230ドルに一気に引き上げようとしたのは事実です。これだけ聞くと、例えば「世界市場価格1バレル60ドルの原油を一気に240ドルまで引き上げるような感じかな?」と思ってしまいます。ああ、なんとあくどいロシアとプーチン.。(涙)ここに大きな誤解があります。
ガスプロムの要求は違うのです。230ドルというのは、国際市場価格でいえば”高くない”。この点日本の新聞にはほとんど書かれておらず、大きな誤解の元になっているようです。しかし、中にはさりげなく書いてある新聞もありますね。
「ガスプロムが5年間の供給契約を結んでいたウクライナについては昨年6月、50ドルから160ドルに値上げした後、●西欧向けの250ドル前後とほぼ同じ230ドルにまでつり上げた。」(毎日新聞1月3日)
(実はウクライナと隣接する東欧諸国も250ドルで買っている)つまりこういうことです。ロシアとウクライナは91年までソ連という一つの国でした。当然ロシアのガスは国内価格でウクライナに供給されていた。これは安い。
ところが91年末にソ連が崩壊、ウクライナは独立国家になりました。しかし、昔からのつきあいがある。というわけで、ロシアはウクライナにここ15年間、「国際価格よりもとても”安い”料金で」供給していた。
ところが、去年起こったオレンジ革命で、ウクライナは完璧に親欧米路線に転換しました。「EUやNATOに入りたい」なんていってるし、ことあるごとにロシアを非難している。ロシアとしては、そういう国に市場価格の4分の1でガスを売る理由は全くありません。
だから、ロシアが「ガス料金を4倍化してくれ!」と要求したのは、別のいい方で「国際市場価格で払ってください」「人並・他国並に払ってください」と言っているのです。
上記のたとえでいえば、1バレル60ドルの原油を240ドルで売るのではなく、今まで1バレル15ドルで売っていたのを国際価格の60ドルで売りますよといっている。どうでしょう。全然今までと印象が変わってきませんか?
ちなみにロシアがウクライナに50ドルでガスを売った場合、国際市場価格で売った場合。ロシアの利益は、年間32億ドル(約3520億円)違うそうです。(経済誌エクスペルト2005年12月26日号)
これってロシア側から言わせれば、ウクライナに年間3500億円無償支援しているのと同じ。しかも、ウクライナはどこまでも反ロ国家。皆さんもどうでしょう。反日の中国に日本政府が年間3500億円プレゼントしていたら、むかつきませんか?
▼ロシアは、供給をいきなり止めた?
次。
「2、ウクライナがこれを拒否したため、1月1日から同国へのガス輸出を停止した。」
いろいろなマスコミの報道を見ていると、あたかもロシアが「いきなり」値上げを言い出したようなニュアンスです。そりゃあ、2005年12月20日くらいに、「来年1月1日から、ガス料金を4倍にするから!」といわれたら、たとえ230ドルが国際価格であってもひどいです。
では、ガスプロムはいつ料金値上げの交渉を開始したのでしょうか?これは実は、2005年の3月。つまり、ガスプロムはウクライナに、「来年からは国際価格で売りますからね」と9カ月前に通知している。ですから、「いきなり値上げされて驚いちゃったな!」というのは全く根拠がありません。
▼ロシアは欧州に迷惑をかけた?
次。
「3、欧州は、ロシアからガスを買っている。そのパイプラインはウクライナを通過している。ロシアがウクライナへのガス供給を停止したことで、欧州への供給も減少し迷惑した。」
上の文章を読んで意味わかりますか?「どうしてロシアがウクライナへのガス供給を止めると欧州への供給も減る」のでしょうか?ウクライナへのガスパイプラインと欧州へのガスパイプラインが一つだとします。すると、ウクライナへのガス供給を止めれば、欧州には全く届かなくなる。
ところが、事実はどうか?実をいうとウクライナ用のパイプラインと欧州用のパイプラインは別なのです。図にすると
1、ロシア→ウクライナ (ウクライナ向けパイプライン)
2、ロシア→ウクライナ(通過)→欧州 (欧州向けパイプライン)
ロシアとウクライナがケンカし、ウクライナ用パイプラインはストップした。すると?
2、ロシア→ウクライナ(通過)→欧州(欧州向けパイプライン)は正常に動い
ている。
ですから、ロシアがウクライナ用のパイプラインを止めたとしても、理論的には、欧州に迷惑はかからない。では、どうして1月1日・2日に欧州への供給が減ったのでしょうか?
これは、ウクライナがロシア→ウクライナ→欧州をつなぐパイプラインからガスを”盗んだから”。「あ〜〜また北野さんのファンタジーがはじまったよ〜」まあ、まってください。事実は事実なのですから。
ガスプロムの発表によると、ウクライナは1月1日と2日に2億2,200万立方メートルのガスを盗んだ。ガスプロムは仕方がないので、盗まれる分を増量して欧州に送り、3日には状況が安定します。
「一体どうやって、そんなの調べられるんですか?」これは簡単です。ロシアとウクライナの国境で送ったガスの量を調べる、ウクライナとスロバキアの国境で送られてくるガスの量を調べる。
もし出口の量が入口よりも減っていれば、ウクライナ領内で盗まれたことになります。ガスプロムは、ウクライナがガスを盗んでいることを確信していたため、SGSという会社に委託して調査してもらっていました。
ウクライナがガスを盗んだ事実を、マスコミはほとんど伝えていない。これが、大きな誤解の元になっています。しかし、さりげなく伝えてる新聞もありますね。
「だが、ロシアNTVテレビは1日、ウクライナ・スロバキア国境でガス・パイプラインを監視しているガスプロム関係者の話として、ウクライナ領内を通過した欧州向けガスの運搬量が通常より減少していると報じ、●ウクライナが欧州向けガスを途中で●抜き取り始めたとの見方を示唆した。」(読売新聞1月1日)
「抜き取りはじめた」というのは、穏やかな表現です。例えば、長野県のリンゴ屋さんが、東京にリンゴを100トン送った。途中山梨県で、誰かがリンゴを10トン抜き取った。これをなんといいますか?そう、世間一般では「泥棒した」「盗んだ」といいますね。私の知るかぎり、ウクライナが欧州向けのガスを盗んだ事実を報じてるのは、「日本一」の読売さんだけでした。(他にもあったらすいません)
え?
そんなファンタスティックな事件、日本一の読売さんが書いていても信用できない?ああそうですか。では、ドイツからの情報を。ドイツのRurhgasは1月3日、「1月2日、供給量が30%減少したのは、明らかにウクライナで抜き取られたからだ」としています。(後略)
ロシアは国際市場価格で売りたかっただけ?(NHKニュース)
(私のコメント)
ロシアとウクライナのガス戦争は注目すべきニュースなのですが、いまひとつよく分からなくて様子を見ていたのですが、単なるロシアによるウクライナへのエンバーゴなのかと見えましたが、ロシアのプーチン大統領がそんな露骨な事をするというのはどういう計算なのか分からなかったのですが、少しずつ裏が見えてきた。
ウクライナの政権が反ロシア親欧米的な政権になりましたが、ロシアとしては面白いはずがありません。ロシアはウクライナにガスを国際価格の四分の一の価格で供給しているのに、ウクライナ側はNATOやEU加盟を目指している。それならばガスを国際市場価格で買ってくださいと言われても文句は言えないだろう。
しかし経済構造から見ればウクライナはロシアにおんぶに抱っこの状態であり、反ロシア外交はウクライナ国民の鬱積した気持ちを現したものだ。過去の歴史問題まで持ち出せば国民感情は水と油なのですが、ロシアにしてみれば黒海の軍事基地などは手放せないし、黒海から地中海への出口はウクライナが持っている。
だからロシアとしては軍事基地使用料とガスを安く供給する事で援助しているのですが、日米関係と比較してみると日本はアメリカに対して要求すべき事はあるのではないかと思う。日本もアメリカに軍事基地を提供していますが、アメリカに対して基地提供使用料は貰えていない。むしろ毎年6000億円もの「思いやり予算」をアメリカに提供している。
エネルギーに関しても日本は国際市場価格で買っており、むしろBSEの疑いのある牛肉を買ったり、使い物にならない半導体を20%も買わされたり、暴落するドルを年に33兆円も買い支えたりと、属国がアメリカを支えているような形は異常だ。もう少し日本の政治家はアメリカ政府と交渉の余地はあるのではないかと思うのですが日本にとってアメリカはどの程度のメリットがあるのか。
ロシアとウクライナの外交関係はぎりぎりの駆け引きなのに対して、日米関係は日本が外交と防衛をアメリカに丸投げして基地提供やドルの買い支えなどしていますが、日米安保は軍事同盟ではなく日本にある米軍基地を守るための条約で間接的に守るに過ぎない。本来の軍事同盟は日本も正式な軍事力を持ち集団的自衛権を持たねば軍事同盟ではない。だから日本が第三国と交戦状態になってもアメリカは中立だ。こんな状態で外交と防衛をアメリカに丸投げする日本の政治家がおめでたいのだ。
ウクライナとしてはロシアに対して瀬戸際外交でロシアからの援助とガス提供で生きていかねばなりませんが、政治的には何とかしてロシアの影響力を排除したい気持ちは分かりますが、経済的な独立には大きな壁がある。それに比べると日本は経済大国なのにアメリカの影響力が強すぎるのですが、少しはウクライナの厳しい状況を見習って自主独立を目指してシャンとして欲しいものだ。
ヨーロッパに敷設されたガスパイプライン網は、ヨーロッパ全体がウクライナ化することを予感させる。アメリカとしては気が気でないでしょうが、エネルギー戦略は国家の盛衰を決めるものだけに、エネルギーをいかに確保するかが大きな課題ですが、日本は石油の8割を中東に依存している。つまり日本という経済大国は中東油田が支えているのですが、日本における中東外交はアメリカに任せっぱなしなのだ。