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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060106-00000037-nna-int
国務院(中央政府)はこのほど、交通渋滞防止などを理由とした小型車規制を今年3月末までに廃止することを求める通達を各地方政府に出した。省エネルギーと環境保護を主な目的とした小型車奨励政策が本格化したことで、同型車に強い日系メーカーには追い風。しかし、自動車業界内には実効性を疑問視する声や、悪化している業界の収益力をさらに落とすことを懸念する声もある。3月末までの各地方政府の対応と業界動向が注目される。
■期限は3月末まで
国家発展・改革委員会(発改委)など6省庁が連名で出した通達「省エネ・環境保護型小排気量自動車の発展奨励に関する意見」は、国策として小型車を奨励する方針を明確化。各地方政府に対し、小型車の生産、販売と購入を促進する政策の制定を求めるとともに、地方政府による各種の小型車規制を禁止している。既存の規制について、今年3月末を期限として廃止するよう要求しているのも特徴だ。
小型車は昨年来、原油高によるガソリン代高騰に伴い人気が急上昇。代表的な車種といえる天津一汽夏利汽車の「シャレード(夏利)」が昨年1〜11月に16万2,200台を売り上げて乗用車(セダン)部門トップとなった。
北京市を含む多くの省・自治区・直轄市は、交通渋滞や騒音防止などを理由に小型車を規制しており、普及の障害となっていた。今回の通達は、期限を切ってこうした「不合理な規制」の撤廃を中央政府が迫ったものといえる。
■「罰則無し」に疑問の声
しかし、自動車業界には各地方政府がこの通達に素直に従うかどうか疑問の声も出ている。5日付新京報によると、ある業界内の幹部は「この通達は不完全。法的拘束力が足りない」と指摘し、通達に従わない地方政府への制裁措置が盛り込まれていないことを問題視。「政府通達ではなく、全国人民代表大会(全人代=国会)や地方の人民代表大会による立法措置を講じないと問題は解決しない」というのがこの幹部の意見だ。
■減益に脅えるメーカー
一方、大手自動車合弁メーカーは、意外にも総じて小型車奨励には冷淡な姿勢を見せている。
大手合弁メーカーが主力とする大型車や高級車に比べて利益率が低く、販売台数を大きく伸ばさなければ利益が見込めないことが主因とみられている。ある合弁メーカー幹部は、小型車参入は利益が見込めないと明言。価格競争激化で減益となっている上、小型車の購入者は価格に敏感なため値下げ圧力が一層強く、参入に後ろ向きにならざるを得ないというのだ。
実際、激しい競争を背景に、国内自動車関連メーカーの利益は昨年1〜9月で前年比39.3%落ちるなど、業界は大手を中心に減益に苦しんでいる。しかも米ゼネラル・モーターズ(GM)系の上海通用汽車が3日、主力セダンのビュイック・リーガル(君威)を1台2万〜2万6,000元、シボレー・エピカ(雪仏蘭景程)を同1万6,000〜1万8,000元値下げすると発表するなど、価格競争は年明け後さらに激化しているのが実態だ。
こうした薄利傾向が強まる市場環境は、大型車や高級車に強い欧米系メーカーをパートナーとする合弁メーカーにとって、減益リスクの大きい小型車シフトに踏み切る壁を厚くしているといえる。
このような「小回りがききにくい」大手合弁メーカーを小型車市場に誘導する施策が、業界再編問題も絡んで今後の奨励策の焦点に浮上する可能性もある。今回の通達は、今年の自動車業界の行方も左右するものともいえそうだ。【北京・安部田和宏】