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消費者の利便性第一に 牧尾英二さん
2005年12月19日
阿久根市に日本初の24時間営業大型スーパー「AZスーパーセンター」が出店して8年。人口約2万6千人と過疎化が進む同市で、売り場面積1万5千平方メートルの同店には年間650万人が訪れ、年商はおよそ100億円と元気がいい。先月、人口約1万5千人の川辺町に2号店を構えた。流通業界の常識を打ち破る、「過疎地への出店」で成功している理由とは。
――人口の少ないところを選んで出店しているのはどうしてですか。
「一極集中が進み、過疎地は完全に置いていかれてしまっています。同じ日本人なら同じ便利さを享受すべきです。どうして田舎だけ憂き目にあわなければならないのか。過疎地に大型スーパーを作るというのは、インフラ整備に近いものもあります。そこに挑戦したかった」
「人口が多いところや産業が発達しそうなところに出店するのは流通業界の常識でした。新しく参入するのだから、その逆をやろうと思いました。過疎地は人口こそ少ないが、その代わり土地が安く、競争相手もいないというメリットがあります」
――「過疎地に出店しても成功しない」と言われてきました。
「高度成長期の成功パターンが今でも通用すると思っている人が多い。大都市でなければ成功しないという常識は過去のもの。その証拠に売り上げ1兆円を超える大型スーパーが大きな変革期に直面しています。ダイエーやマイカルは必死に再建の道を模索している最中です」
「どこの会社も売る側の論理で商売をするようになっています。だから『大都市』が中心になる。私は売る側ではなく、消費者の利便性を一番に考える『利益第二主義』を掲げています。その結果、過疎地でも開店以来増収増益を続けています」
――AZスーパーセンターが既存の流通業と違うところはどこでしょう。
「効率よく売ることを目指していません。効率がよくて喜ぶのは売る側だけ。効率が悪くても生活に必要なものを置くようにしています。『売れ筋商品』の逆、いわゆる『死に筋』と言われるものもそろえています。『売れる商品』を並べることは大事ですが、行きすぎると『売りたい商品』ばかりになってしまう。AZでは食品から生活雑貨、自動車まで約32万点。その他、車検やガソリンスタンドまでやっています。しょうゆだけで100種類を置いていたりと、採算の合わないものも正直多い。それでも消費者が必要なものはすべてそろえることにしています」
――日本初の大型スーパーの24時間化にも挑戦しています。
「24時間営業にしても同じことです。深夜1〜5時はまったく採算に合わない。それでも地域の人は利便性と安心感を感じてもらえる。都会でも田舎でもライフスタイルはそれほど変わりません。24時間何かしら活動しています」
――コストを抑える工夫などは?
「まず、チラシを出すのをやめるなど宣伝をほとんどやめました。チラシは正月などの年3回のみ。宣伝をやめた分を価格に反映しました」
「建物の建築コストも抑えています。派手な建物は必要ありません。安全性さえしっかりしていれば問題ない。さらに、人員のシフトも1時間単位で細かく編成し、無駄をなくしています。さらに照明の明るさも一律にせず、売り場の特性を考えて変えています。工夫すれば、過疎地でも十分勝負していけます」
――2号店に川辺町を選んだ理由は?
「候補地は他にもありました。阿久根市民がかつて出水市に買い物に出かけ、45億円ほどが流失していたのと同じように、川辺町も加世田市に多くのお金が流失しています。需要があるのに店がなかった。県内には隠れた多くの需要があります。そこに目をつけたわけです。川辺店は南薩地域すべてを商圏としています」
「川辺店のオープンは深夜0時だったにもかかわらず、4千人がつめかけ、近くの道路は4・5キロ渋滞しました。今後、3号店、4号店を出していく計画があります」
(聞き手・吉永岳央)