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デジタル時代のオセロゲーム:薄型TV「勝ち組」も生き残りへ必死 (ブルームバーグ)
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 1 月 03 日 05:08:27: ogcGl0q1DMbpk
 

デジタル時代のオセロゲーム:薄型TV「勝ち組」も生き残りへ必死 (ブルームバーグ)


2006年1月2日(月)17時01分


1月2日(ブルームバーグ):デジタル家電の登場で、買い替え需要に沸く家電業
界。しかし、優勝劣敗のし烈な販売競争で赤字転落するメーカーもあり、各社は「勝ち
組」と「負け組」にいや応なしに選別されている。勝ち組の代表は、薄型テレビで業界
をリードする液晶のシャープとプラズマテレビの松下電器産業。他方、パイオニアはプ
ラズマで先行したものの、採算悪化で事業縮小に追い込まれた。国内外の競争は依然厳
しく、一瞬のすきに逆転されかねないのが、デジタル時代の家電市場だ。

「オセロゲーム」――。表裏白黒の駒を8列四方の盤上に交互に置き、自分の駒で
挟んだ相手の駒を裏返して、駒の多さを競う遊びだ。列の9割方を自分の駒で埋めてい
ても、相手に列の両端を抑えられてしまえば、一度に列全体の色が変わってしまう。プ
ラズマテレビで世界3割という高シェアを獲得した松下。だが、中村邦夫社長はなお、
一気にひっくり返されることもあり得るとの危機感を、このゲームに例えて強調する。

   松下・シャープの優位揺るがず

金融市場では、2006年も現在の勝ち組がそのまま残るとの見方が強い。しんきん
アセットマネジメントの藤原直樹・運用部主任ファンドマネージャーは「ブランド力が
かなり定着しつつある局面で、松下やシャープ、韓国のサムスン電子がシェアを維持す
るだろう」と予想している。SMBCフレンド証券投資情報部の中西文行グループマネ
ージャーも「松下とシャープの優位は揺るがない」とみる。

日本メーカーは過去に、半導体やパソコンモニター用液晶パネルの技術を安易に公
開し、韓国や台湾勢に一気にシェアを奪われた。中西氏は、勝ち組企業がその経験を踏
まえて「(技術を非公開とする)ブラックボックス化に取り組むなど、二の舞にならな
いよう考えている」と指摘。こうした取り組みもあり、「松下、シャープの2社は世界
の勝ち組として、来年はさらにシェアを伸ばすだろう」と同氏は予測し、新春の注目株
にも入れている。

後出しじゃんけんでも勝てる

しかし、勝ち組も安穏としていられない。第一の理由は、デジタル家電における技
術革新のスピードの速さだ。ゴールドマン・サックス証券の藤森裕司アナリストは「デ
ジタル家電は新しい技術が1−2年で十分な品質を持った商品になっていくスピード感
のある市場。次々と新しい技術が立ち上がるので、一気にゲームが変わってしまう」恐
れがあると指摘する。

従来のアナログ製品は、一つの技術が通用する期間が長い分、少ないシェアでも投
資を回収できた。これに対して、デジタル市場では新製品を次々に発売し、その“鮮
度”が落ちる前に売り切らなければならない。プラズマテレビで一時は世界で2割近い
シェアを誇ったパイオニアが昨年、一部ラインの休止に踏み切らざるを得なかったのは、
商品を売り切るだけの販売力とコスト競争力を持たなかったからだ。

特にここ数年、家電の世界では大型量販店が国内外で主流の販路となっており、メ
ーカーに対する発言力を強めている。メーカー側は自社製品の売り場を確保するために、
値下げを含む販売店側のさまざまな要求をのまざるを得ないのが、実情だ。だからこそ、
薄型テレビも年率2−3割と、価格下落が当たり前の家電業界でも異例の急ピッチで下
がり続けている。

いま一つ、勝ち組メーカーの不安要因は、どの画面サイズが主流になるかが、まだ
流動的な点にある。最も売れ筋の画面サイズに最適の生産ラインを持つことがコスト競
争力に直結するだけに、富士投信投資顧問の岩本誠一郎シニアファンドマネージャーは
「後出しじゃんけんでも(最適のラインを確保できれば)勝てる」と指摘、後発組にも
チャンスがあると説明する。

  勝ったと思った瞬間がピーク

各メーカー固有の懸念もある。プラズマテレビ最大手の松下は、同テレビの市場で
は優位を確保したが、今年は液晶テレビとの競合が本格化し、一段と激しい競争にさら
される見通しだ。

これまで40インチ以上の薄型テレビ市場は技術の特性上、大画面を得意とするプ
ラズマテレビの独壇場だった。ところが、05年には液晶テレビで40インチ台前後の大
型商品が増えたことに加え、06年にはキヤノンと東芝が新技術のSED(表面電界デ
ィスプレー)を搭載した大型テレビの発売を計画している。松下のプラズマテレビ事業
の責任者である藤田正明氏は「いろいろ出てくることを考えると、危機感を持って取り
組まないと、この市場では生き残れない」と語る。

  逆に、シャープなど液晶テレビメーカーには、プラズマテレビの小型化で市場が侵
食される心配はない。だが、そのシャープは別の懸念を抱える。海外でのブランド力と
販売力だ。シャープがパネル不足もあってサムスン電子やLG電子に苦戦してきた北米
市場。ここで後発のソニーは昨年夏投入した液晶テレビ新製品が人気を博し、一気に3
割以上のシェアを獲得したという。

しかも、オンライン販売大手アマゾン・ドット・コムの米国のウエブサイトの売れ
筋商品に紹介されている32インチ型の液晶テレビを比較すると、シャープの「AQU
OS(アクオス)」は最低価格が1299.99ドル(約15万円)。ソニー「BRAVIA
(ブラビア)」の1536.99ドルより安く売られている。日本では依然としてAQUOS
がBRAVIAより高いだけに、国外での力の差は、歴然だ。

コスト力の面でも、シャープは10月に稼働予定の亀山第2工場(三重県亀山市)
が立ち上がるまで、40インチ台ではソニーやサムスンに劣るとみられている。モルガ
ン・スタンレー証券の小野雅弘アナリストは、シャープがそれまでの間、既存のライン
で競争力の高い37インチ型のテレビでソニーやサムスンとどこまで戦えるかが、一つ
のカギになるとみている。

ただ、同社の町田勝彦社長は液晶テレビでトップを独走してきたにもかかわらず、
幾度となく松下やソニーのテレビ市場での強さに言及している。大和総研の三浦氏はこ
の自覚と意識のあることが重要だという。「勝てると思ったら負けるだろうし、勝った
と思った瞬間がピークだろう」(三浦氏)。

ソニーは世界のトップ3に

かつて平面ブラウン管テレビが大ヒットとなり、世界のテレビ市場で前代未聞とさ
れる10%超のトップシェアを獲得したソニーは、薄型テレビでは後発に回った。同社
のテレビ事業は05年度上半期に約770億円の赤字を出し、黒字を回復するのは06年度
下半期の見通しとなっている。アナリストらは、ソニーにとって最大の懸念はこの採算
悪化の主因となっている、コスト力不足だと口をそろえる。

しかし、この年末商戦には日本でもシャープに迫る追い上げをみせた底力に、ソニ
ー復活を予見する向きも多い。大和総研の三浦氏は「松下に対抗できる商品を持てなけ
れば、勝ち組にはなれない。ブランド力、技術力といい、松下とがっぷり四つに戦える
のは、ソニーしかいない」との見方から、「ソニーはどこかの時点で世界のトップ3に
入ってくる」と予想している。

ソニーの株価終値(12月30日)は前日比60円(1.2%)安の4820円、シャー
プは同16円(0.9%)安の1794円、パイオニアは同20円(1.2%)安の1636円、松
下電産は前日と同じ2275円だった。

-- Editor : Kosaka

記事に関する記者への問い合わせ先:
東京 鈴木恭子 Kyoko Suzuki ksuzuki3@bloomberg.net


http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext.html?id=02bloomberg33a5xvoMQt91pg

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