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【社会面】2007年01月15日(月曜日)付
8000羽処分、風評懸念 鳥インフル 圏外の有名地鶏業者
宮崎県清武町の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザに感染した鶏が大量死した問題で、県は14日、被害の拡大を防ぐため、職員約150人を動員して養鶏場の鶏約8千羽を殺処分した。半径10キロ圏内の計16養鶏場に対して、緊急立ち入り検査も実施し、異状がないことを確認した。県は15日、大量死した鶏を含む計約1万2千羽を焼却し、養鶏場内の防疫作業を進める。
鶏舎前には、処分用ガスが入ったボンベと容器が県職員によって準備されていた=14日午前10時、宮崎県清武町で、本社ヘリから
殺処分は家畜伝染病予防法に基づく措置。鶏舎に至る農道は通行止めになった。作業は午前9時半ごろに始まり、職員らは医師らの問診を受けた後、白い防護服を着用。ゴム手袋、マスク、ゴーグルも着けて鶏舎に入った。バケツに鶏を入れて二酸化炭素を注入して窒息死させる作業は、午後5時ごろまで続いた。職員のうち希望した約130人に治療薬タミフルが投与された。
16養鶏場への緊急立ち入り検査は、県の家畜保健衛生所の獣医師12人が担当。移動制限対象の鶏は計約20万羽おり、各農場に鶏の異状を発見した際の早期通報や移動制限の厳守を求めた。5農場には鶏がいないという。
15日には、鶏の死骸(しがい)を約18キロ離れた宮崎市大瀬町にある県の焼却場に運び、約30時間かけて焼却する。養鶏場では鶏ふんを除去するなど防疫作業を進める。
●「加勢したいが動けない」
鶏が大量死した養鶏場を中心とする半径10キロの16養鶏場は鶏や卵の移動が禁止された。が、風評被害や「飛び火」を心配する声は、圏外にある養鶏業者や県外の取引先にも拡大している。
「加勢に行きたくても、伝染の恐れがあるので動けない」。同県都城市で養鶏会社を営む柳田温清(はるきよ)さん(76)は、10キロ圏内にある養鶏場業者も加わる県養鶏農業協同組合の組合長も務める。最も懸念するのは風評被害だ。
鹿児島県に接する都城市は、04年度の農業産出額ランキング(農林水産省調べ)によると、市町村別のブロイラーの産出額が全国一(旧市町の合算)。自身の会社も同市や鹿児島県で約200万羽を飼育し、1日に約150万個の卵を出荷する。
今のところ出荷は通常通りだが、「キャンセルが出ればお手上げ。倒産など大事にもなりかねない」と心配する。今月末に予定していた業者同士の打ち合わせなど数件の会合は、感染の恐れを考え、無期延期にした。
発生現場から南へ約30キロの日南市は、県がブランド化を目指す地鶏「みやざき地頭鶏(じとっこ)」の飼育に力を入れてきた。柔らかい肉質やコクのある味わいが評判を呼び、3月からは年間4万羽から10万羽へと量産体制が整う。
地頭鶏は放し飼いのため感染が心配されるが、免疫も強いとされる。それでも市は飼育農家10戸に防鳥ネットの設置や関係者以外の立ち入りの禁止、鶏舎内の消毒の徹底を呼びかけている。
飼育農家でつくる「地頭鶏ランド日南」の松浦由光社長は「飛び火が一番怖い」。ハトやスズメなどを追い払うため、多い日は花火を10回以上打ち上げているという。
http://www.asahi.com/paper/national.html
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