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(回答先: BSE検査を大幅縮小 米、8月後半にも実施―Yahoo!共同通信 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 7 月 21 日 13:39:49)
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06072101.htm
06.7.21
米国農務省(USDA)が20日、04年6月以来の狂牛病(BSE)拡大サーベイランス計画の実施を取りやめ、早ければ8月末にも新たな縮小サーベイランス計画を始動させると発表した。
USDA ANNOUNCES NEW BSE SURVEILLANCE PROGRAM,06.7.20
http://www.usda.gov/wps/portal/!ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?contentidonly=true&contentid=2006/07/0255.xml
拡大サーベイランスを含めたこれまでのサーベイランスの結果の分析により、米国における狂牛病発生率が極度に低いこと(成牛1頭当たり1頭以下、あるいは米国の成牛総数4200万頭中のあり得る感染牛は4頭から7頭)が確認されたから(⇒米農務省 狂牛病発生率は極度に低い サーベイランスのデータの分析で結論,06.4.29http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06042901.htm)、
もはや拡大サーベイランスは必要がない。新たなサーベイランス計画では毎年4万頭ほどを検査する。検査サンプルは拡大サーベイランス計画と同様、様々なサイト及び狂牛病が発見される可能性が最も高い牛(高リスク牛)集団から収集する。それで狂牛病発見能力は維持されるのだという。
狂牛病発見能力は検査頭数だけに左右されるのではなく、検査される牛の種類に大きく依存する。検査対象を高リスク牛に絞るかぎり、この程度の頭数の検査で十分に信頼できる結果が得られるということであろう。しかし、問題はまさに、このような高リスク牛からのサンプルが確保できるのかどうかという点にある。この点に関する保証がないかぎり、どんなサーベイランスも信頼できない。
USDA監査局(OIG)が今年2月に出した監査報告の指摘を再掲しよう(米農務省BSE対策監査報告 米国のサーベイランスによるBSE発生率推計は信頼できない,06.2.4http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06020401.htm)。
「計画の任意性のために、APHIS(動植物検疫局)は検査される牛の症候や履歴を把握できなかった。2005年5月までに検査された356,193頭の牛のうち、308,237頭(87%)は”原因不明で死亡”と記録されており、BSEの症候があるとされているのは1頭だけ、100頭についてはいかなる症候も記録されていない。
これは、@検査された牛の半分以上がレンダリング業者から集められたものであること、Aサンプリング(標本採取)協定が収集者に死因決定を義務付けていないために起きた。APHISは、牛の所有者を突き止めるのに必要な手段を持たない。従って、最もBSEである可能性が高いこれらの牛に関する結論は信頼できないものになる。
OIEも、BSurvEの考案者も、サーベイランスの標的となる各小集団(通常と殺牛・死亡牛・起立歩行困難な牛・BSEが疑われる牛)内部の代表的標本の獲得の重要性を強調している。03年12月の陽性牛はダウナーカウの症候が報告されている。04年の陽性牛は死因不明の死亡牛と記録されているが、様々なソースはこれがダウナーカウだったと報告している」。
これはつまり、米国には適切なサンプルを収集する体制がまったく整っていないことを意味する。農家や獣医、その他の関係者が高リスク牛を検査に差し出すかどうかは「任意」であり、実際にそんなことをする農家・獣医などはない。「狂牛病が発見される可能性が最も高い」ダウナーカウ(起立歩行困難な牛)や狂牛病を疑われる牛からのサンプルの確保は不可能に近い。たまたま検査に出されてしまった2頭のダウナーカウに狂牛病が発見されてしまったということだ。
レンダリングに出された「死亡牛」のなかには、起立歩行が困難になったか、狂牛病を疑われる症状が出たために処分された牛も含まれるかもしれない。しかし、そんな区別も不可能だ。このような牛が確実に検査されるためには、「死亡牛」のすべてが検査される必要がある。ところが、OIGは、そのためには拡大サーベイランス計画の目標検査頭数でも足りないと指摘していた。それは、「2004年3月に発表された拡充サーベイランス計画は、最大18ヵ月で446,000頭を検査するという目標を掲げていたが、有効なサーベイランスのためにはこれは余りに少なすぎる。APHISは、死因にかかわらず、すべての死亡牛を検査することを受け入れたし、OIGもこれが適切と考える。しかし、それならば年間100万頭、18ヵ月では約150万頭の検査が必要になる」と言う。
拡大サーベイランスでも多くの高リスク牛が検査をすり抜けてきたであろう。まして新たなサーベイランス計画で、どうして「狂牛病が発見される可能性が最も高い牛」の検査が確保できるのだろうか。APHISは、自ら「受け入れた」死亡牛の全頭検査も完全に放棄することになる。
この発表に当たっての記者会見で、一記者はサンプル採取が「ランダム」でないというOIGの指摘をどう考えるかと質問した。デヘイブンAPHIS長官は、例えば中枢神経組織の異常を呈している牛、歩行起立が困難になった牛、農場で死んだ牛など様々な種類の牛からのサンプルを受け取ることを確保するプログラムを仕上げたと答える。しかし、その裏づけについてはまったく言及がない。
Transcript of Tele-News Conference with Agriculture Secretary Mike Johanns and Administrator Ron DeHaven, Animal and Plant Health Inspection Service Regarding BSE Surveillance,06.7.20
http://www.usda.gov/wps/portal/!ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?contentidonly=true&contentid=2006/07/0256.xml
実際、それは、これらの牛を見つけ出す能力の育成、発見されたこれらの牛すべての検査の義務化なしには不可能だ。この義務化が行われたとしても、義務に違反してこれらの牛を勝手に闇に葬ることを防ぐには、すべての牛の個体識別システムとトレーサビリティーが確立されねばならない。これらの牛の違法処分はそれによってのみ摘発が可能になる。現在の米国では、これらのどれ一つとして実現していない。今年のOIE総会では、狂牛病を疑われる牛すべてを検査するサーベイランス基準が合意された。USDAの主張とは反対に、米国はこのような基準を満たすための体制さえ持たない。
拡大サーベイランス計画でも感染牛発見能力はゼロに等しかったのだから、縮小計画に変っても発見能力に変化がないのは当然だ。相変わらず、発見能力ゼロに近いサーベイランスが続くことになる。獣医などによる通報義務が比較的遵守されているように見えるカナダでは、米国よりも遥かに少ない検査数で既に7頭の感染牛を発見している。どう見ても狂牛病リスクがカナダと大して変らないはずの米国でも、せめてカナダ並みの有効性をもつサーベイランスがあれば、牛の頭数からしてそれ以上の感染牛が発見されるだろう。だが、それはすべて闇に葬られることになる。米国の狂牛病は永遠にかつてそんなこともあったという「歴史」でしかなくなるだろう。
関連情報
カナダ生まれの牛の狂牛病7例目確認 米国のサーベイランスの有効性が疑われる,06.7.5http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06070501.html
米国産牛肉の安全性 米国のBSEサーベイランスのあり方が目下の焦点,06.2.8http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06020801.htm
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米国、BSE検査拡大へ、サンプル確保の保証はなし,04.3.18http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04031701.htm
米国北部に高度のBSE暴露リスク、米国農務省報告,05.5.9http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04031701.htm
カナダ食品監視庁がBSE調査報告、北米のリスクは一http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/canadaBSE/inquiry.htm
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