★阿修羅♪ > 狂牛病・遺伝子組み換え・鳥インフルエンザ12 > 381.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
アジアで猛威を振るった毒性の強い高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が欧州に上陸、アフリカ、中東などでも感染が報告された。なぜ広がっているのだろうか?【本橋由紀】
◇東→西拡大の謎
強毒型の鳥インフルエンザウイルスが欧州に入ったのは昨年10月のルーマニアのアヒルなどが最初。今年2月にはフランス東部の七面鳥飼育場で見つかった。ドイツやオーストリアでは猫への感染も確認された。さらにエジプトやナイジェリアなどにも広がっている。
北海道大学の喜田宏教授(微生物学)は「鳥インフルエンザウイルスはもともとカモ類が持っている。カモからニワトリには直接うつらないが、七面鳥やウズラ、ガチョウなどを経てニワトリにうつる。(弱毒型ウイルスでも)ニワトリの間で半年以上感染を繰り返すと、強毒型ウイルスが出現することがある」と話す。
現在、世界に広まっている強毒型のH5N1ウイルスは96年にさかのぼることが出来るらしい。国立感染症研究所ウイルス第3部の田代真人部長によると、96年に中国広東省のガチョウで感染が見つかった。ウイルスの遺伝子が混ざり合って97年に香港で流行、18人が感染し6人が死亡した。そして03年、強い病原性を持つものが東南アジアや日本にも伝わった。03年以降、H5N1ウイルスの感染患者は10日現在でベトナム93人、インドネシア28人など7カ国で計176人に上り、うち97人が死亡した。
欧州にはどのようにして伝わったのだろうか。渡り鳥がウイルスを運ぶにしても、移動は南北のルートが基本で、感染した鳥がアジアから欧州に飛ぶことは考えられない。喜田教授は「中国青海省の青海湖で見つかったのと同じウイルスがモンゴルで水鳥の大量死を引き起こした。南方で感染したカモ類が北方の営巣地に帰る途中で立ち寄るなどして水辺が汚染され、そこに他の渡り鳥や水鳥が来て感染したと考えて無理はない。多くの湖沼の水を介して、飛来範囲の重なる鳥の間で感染が欧州に移っていったと見ることもできる」と語る。
一方、日本野鳥の会の主任研究員、金井裕さんはこう主張する。「世界的なウイルスの拡大には養魚場や農業肥料への鶏糞(けいふん)利用が大きく関与している可能性が指摘されている。青海湖においても同様のことが起こった可能性がある」。つまり、水辺の汚染は人為的要因が濃いとの見方だ。
さらに、渡り鳥が媒介するとの説にも懐疑的だ。「ロシアやカザフスタンの国境地域では渡り鳥の移動とは異なる時期に、交易路沿いに感染が広がったとの報告もある。中東やアフリカでもアジアとの間で家きん類や家きん肉などの商取引をしている」と指摘。感染した鳥などの貿易によってウイルスが伝播(でんぱ)したと推測する。
世界的な鳥類保護団体「バードライフ・インターナショナル」の2月末の声明でも、渡り鳥の可能性を指摘しつつも、ウイルス伝播の主要ルートは交易としている。
鳥インフルエンザの拡散について、田代部長は「欧州は検査体制が整い、情報公開も進んでいるため心配はないが、アフリカやインドなどに広がったことは憂慮している」と話す。喜田教授は「鳥のウイルスを鳥の間で止めることが鳥インフルエンザ対策の基本。そのための援助などに力を入れる必要がある」と強調する。
毎日新聞 2006年3月11日 13時00分 (最終更新時間 3月11日 13時49分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20060311k0000e040051000c.html
▲このページのTOPへ HOME > 狂牛病・遺伝子組み換え・鳥インフルエンザ12掲示板