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[2006年02月19日付]論説
米国産輸入牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の感染源とみられる異常プリオンが蓄積しやすい脊柱(せきちゅう=背骨)が混入していた問題で、米国農務省は調査報告書をまとめた。混入は対日輸出条件を十分認識していなかったために起きたと結論付け、15の再発防止策を挙げた。しかし、報告書を見る限り、再発防止策が守られる保証はどこにもない。日本側の不安・不信の源泉が米国のBSE対策や管理態勢の不備、ずさんさにあることを、米国はまったく分かっていない。
報告書は混入確認からほぼ1カ月でまとめられた。当初から予想していた通り食肉処理場と検査官の認識不足に原因があり、混入は「例外的なケース」と言い切っている。米国はこれで幕引きをしたい考えだが、原因の究明が徹底的になされた報告書とは言いがたい。特に、この間、農務省監査局のBSE監査報告で、検査態勢の不備やずさんさが指摘されていた。いわば「身内」もBSE対策に問題ありとしているにもかかわらず、今回の混入を「例外的なケース」として片付けてしまう安易さを理解できない。
すでに何回も指摘しているが、米国のBSE対策にはずさんさがいくつもある。農場で死んだ牛を原因究明せずに埋却処分したり、BSE牛に現れる中枢神経症と似ている症状を見せた牛の脳のサンプルも取らずに肉骨粉に回してしまったりした。また、飼料の規制・管理の不十分さや、感染物質が蓄積しやすい特定部位の除去が確認できない実態など数え上げれば切りがない。今回の報告書は、米国のBSE対策の不備、ずさんさを払拭(ふっしょく)できる内容になっていない。そこに大きな問題があることを米国は認識していない。
日本政府は報告を受けて、内容の検討に入った。中川昭一農相は「時間を引き延ばすつもりはないが、徹底した原因究明と再発防止策が盛られているか、じっくりと慎重に精査したい」と述べているが、ぜひともそう願いたい。「早期の輸入再開」という政治判断があって、万が一それが先行してしまえば、政府の食品安全行政全般への不信となって跳ね返ってくる。農水省は初期のBSE対策で失敗を犯したが、そのことを思い起こし、拙速な判断だけは避けてもらいたい。
米国にも注文を付けたい。脊柱混入による今回の輸入禁止措置を、日本の消費者の9割以上が支持している。もし、米国側がこれを無視して早期に貿易再開を迫ることがあれば、それこそ信頼を根本から揺るがしかねない。輸入再開を強く求めていた外食企業などが「早期再開」をいま叫んでいないのは、安全性を軽視していると消費者に勘ぐられたくないからだ。実需者の心情を理解せずにごり押しすれば、米国産牛肉は今度こそ見放されてしまうことを自覚すべきである。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0602/19.html
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