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論説 [2006年01月27日付]
米国産牛肉が輸入停止になって1週間が経過した。牛海綿状脳症(BSE)の感染源とみられる異常プリオンが蓄積しやすい脊柱(せきちゅう=背骨)が混入していた問題は、輸入再開の前提条件を徹底できない米国への不信となって広がっている。消費者は輸入再開を見直すよう強く求めているほか、外食企業の一部は米国産を外したメニュー作りに乗り出した。米国内には今回の問題を軽く見ている節があるが、対応を誤ると長期にわたって日本に牛肉を輸出できなくなる可能性があることを自覚すべきだ。
米国のBSE対策が極めてずさんであることは、2年前に輸入が停止されて以降われわれは常に指摘してきた。再開に当たって、両国政府間で取り決めた条件が順守されているかしっかりした監視を日本政府に求めたのも、そのためだ。しかし、再開後わずか1カ月余りで違反が出るとはまったく予想できなかった。「単純なミス」と米国は言うが、背景にはこれまでのBSE対策のずさんさがある。それだけに、日本への輸出条件が守られるか懐疑的にならざるを得ない。
今回の問題で消費者の反発は強い。米国への不信が増幅したのは当然だが、政治的な判断を優先させて輸入再開に踏み切った日本政府や、安全性を評価した食品安全委員会にも批判の矢は向いている。特に、日本向け牛肉を扱う食肉加工施設への査察を行っていながら、米国の違反を見抜けなかった政府に対する信頼喪失は、今後の食品行政にも大きな影響を与えかねない。
問題は、まだある。外食企業などへの影響だ。米国産牛肉は輸入が停止された2003年まで、わが国の全体消費量の約3割を担っていた。その輸入が止まったため、わが国の牛肉需給は大きな影響を受けた。中でも外食企業は米国産の使用頻度が高かったことから、経営的に痛手を受けたところが少なくない。今回、輸入再開に万難を排して臨んだ企業は再び大きな打撃を被った。輸出国であるならば守らなければいけない条件を守り、その責任を果たすのが当然と思えるが、米国にはその自覚がない。
政府は現在、米国に対して原因究明と再発防止策を求めている。輸入再開の判断はその結論を待ってになるが、拙速さだけは避けなければいけない。米国には「背骨一つぐらいで」という考えがあり、謝罪しながら威嚇(いかく)する姿勢も見え隠れする。政府は、事は食品の安全性にかかわる問題であることを十分認識してもらいたい。
米国にも求めたい。日本に輸出したいのであれば、2つの前提条件を守ることが先決だ。特に、病原体である異常プリオンが蓄積しやすい脊髄、脊柱など特定部位は、完全に除去することが条件である。ずさんな対応をすれば今度こそ、見放されてしまうことを自覚すべきだろう。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0601/27.html
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