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鳥インフルエンザ2年
卵の値段 年末需要でも上がらない【東京新聞】
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060112/mng_____tokuho__000.shtml
七十九年ぶりに鳥インフルエンザが国内で発生して、今日で二年がたつ。山口県阿東町の養鶏場で感染が判明してから、各地で確認された。養鶏業者は、「交通事故」のように降ってわいた感染被害に加え、卵などの風評被害にも見舞われた。この間、同業界や国はどんな対策を講じてきたのか。「封じ込め」に取り組む、この二年を振り返った。
「また関東のほうで鳥インフルエンザが発生しとると聞いて、うちも油断できませんわ」
一昨年三月、鳥インフルエンザウイルス感染が発覚、影響を被った京都府内の養鶏業者の女性はこう語る。「発覚後はもう廃業してしまおうと思ったけど、いろんな人が応援してくれはって。一昨年の八月に再開しました。取引業者も継続してくれたので、どうにか」
同府京丹波町(旧丹波町)では、兵庫県の浅田農産が経営する浅田農産船井農場で、感染が疑われる鶏がいたのに“駆け込み”で卵を出荷していたことが発覚。半径三十キロ圏内で鶏や卵の移動制限や出荷停止措置が取られた。船井農場で大量の感染鶏が死んだため、京都府警機動隊だけでは手が足らず、陸上自衛隊までが後始末に駆り出された。
この女性の養鶏場の鳥インフルエンザは船井農場と同じH5N1型だったが、女性は「感染ルートは分からんのです。船井農場さんは鶏卵業者、うちは食肉用鶏の業者だから、鶏の飼い方がそもそも違う。船井農場とはまったく行き来はないし、顔も知らんかった」といぶかる。
外部から入ってくる車や人の徹底的な消毒、野鳥との接触を避けるための防鳥ネットの設置など、行政から示された再発防止策は実施しているが、「鶏の病気には敏感。もう二度とあんなことを起こしてはならないと、びくびくしながらやっとるんですわ」と話す。
■山口も現場跡地を放置
京丹波町役場によれば、船井農場の跡地は立ち入り禁止のまま放置されているという。
影響は残っている。浅田農産会長夫妻が自殺するなど衝撃的な事件だっただけに、京都府産鶏、鶏卵のブランド力にいまだに影を落とす。京都府養鶏協議会の担当者は「出荷停止になっていた間にほかの産地でまかなった小売業者に、また京都産を使ってくれと言ってもなかなかシェアは取り戻せない」と打ち明ける。関係者によれば、感染発覚により出荷量は二、三割落ち、そこから二年間でどれだけ回復したかは不明だ。
京都に先立ち一昨年一月に国内で七十九年ぶりの感染が分かった山口県阿東町の「ウインウインファーム山口農場」の経営会社(福岡県)の女性社員は「一時は現場の養鶏場を肉牛飼育場にしようという計画もあったが中止となり、現在はあの当時のままの状態。元農場長は地元の人だが連絡は取れない。当社としても社名を変えざるを得ないなど大変だ」と打ち明ける。
その後大分県、昨年六月から十二月にかけ茨城、埼玉両県でも、H5N2型鳥インフルエンザの感染が相次いで見つかった。茨城県内だけでこれまでに二百五十万羽を殺処分した。さらに同県内では、県の立ち入り調査を拒否した二業者が同県警に家畜伝染病予防法違反(検査妨害)の疑いで家宅捜索を受けるなど、浅田農産の事件の教訓を生かせない事例も起きている。
山口県の養鶏業界団体の担当者は「風評被害は一昨年のうちに落ち着いた」と言うが、「農家が一番怖さを分かっている。感染が発覚した地域から鶏を移入したりしないよう情報に神経をとがらせている」とピリピリした状況を語った。
鳥インフルエンザに対する不安感から、感染の心配のない卵や鶏肉への風評被害も出た。二〇〇四年には鶏卵と鶏肉の消費は目に見えて落ち込んだ。総務省の家計調査によれば、同年一−三月の一世帯あたりの卵の消費は千八百二十九円で、鶏肉は二千二百五十円だった。前年同期に比べ卵は百九十一円、鶏肉は三百九十一円減少した。〇四年はその後も前年比減の傾向が続いた。
〇五年の同調査では、卵、鶏肉とも例年の消費水準に戻ってはいるが、感染ショックの影響を一掃できていない。
卵は年末に需要が多く、例年一キログラムあたり二百円を超えるが、〇五年十二月は同百九十九円(Mサイズ)にとどまった。鶏卵生産者の全国団体「日本養鶏協会」の島田英幸専務理事は「鶏卵は供給が1%減ると、価格が7%上がるといわれている。昨年は最大の産地の茨城で鳥インフルエンザが検出され、出荷量は大幅に減っているのに、価格が上がらないのは異常だ」と嘆く。
鶏肉の生産、販売業者などでつくる「日本食鳥協会」の田中寿事務局長も「鳥インフルエンザの影響から立ち直ったとはいえない。まだ95%だ」と話す。
農水省は、〇四年十二月に被害農家向けの支援基金を設置し、養鶏農家の不安解消に努めている。生産者が積み立てた額と同額を国も支出して、被害農家の経営再開を支援する仕組みだ。約四千戸の養鶏農家の九割程度が加入した。
感染対策にも取り組んでいる。同省は、鶏が死んだ場合の家畜伝染病予防法に基づく報告命令を強化した。「鳥インフルエンザを早期に発見し、早期につぶす」方針を徹底した形だ。
京都府畜産課は、一昨年の事件以来、府内の千羽以上の鶏を飼育する養鶏業者八十五戸を対象に、四半期ごとの巡回指導とウイルス抗体検査を実施▽防鳥ネットや飲み水消毒器の設置−などの独自の取り組みを進めてきた。担当者は「巡回指導の際に徹底して報告を求めているし、隠した場合の罰則も法改正で厳しくなっている」と話す。
ただ、養鶏業界には「病気が出てから対策を打つのはおかしい。発生したらあきらめろと言っているのと同じだ」という不満が根強く、農水省が使用を禁じている予防用ワクチンの解禁を求めている。同省は、ワクチンを使用すれば鶏が抗体を持ち、新たなウイルス感染の発見が遅れることや、発生農家が一部に限られていることから、認めない方針を崩していない。
封じ込め策が進められるなか、感染拡大の恐れはないものの、茨城県の養鶏場従業員ら七十七人が、過去に病原性の低いH5N2型ウイルスに感染していた可能性があることが明らかになった。岐阜聖徳学園大学の坂井田節教授(家きん学)は「弱毒性だからと安心はできない。人や豚に感染した時に強毒なウイルスに突然変異する可能性は否定できない」と指摘。さらに人の体内で新型に変化する可能性も否定できない。
■『新型』対策 東京で会議
必要以上に恐れることはないが、発生は時間の問題ともいわれる新型インフルエンザ出現にはさらなる警戒は必要だ。十二日からは、世界約二十カ国や関係機関が参加し、「新型インフルエンザ早期対応策検討東京会議」が開かれる。会議は、新型の発生を早期発見できる国際的システムや情報共有ネットワークの整備、発生地への抗ウイルス薬の供給体制など、封じ込め策を検討する。
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