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2006.10.16
爆撃をする側の無感覚さ
14日(土)にもガザでは 7人が殺された 。攻撃ヘリからミサイル5発が発射されて、ジャバリヤで殺された者が6人(レジスタンス・メンバー4人、付近住民2人)。ガザ市内で車へのミサイル攻撃によって殺された者が1人。どこまでやったら終わりになるのか…、と思う。
パレスチナ情報センターで紹介されていた『反空爆の思想』 をちょうど読んでいる最中で、空爆という手段が持つ恐ろしさを反芻している。
たとえば、日本軍の重慶爆撃について、こんな文章が引用されていた。
1940年11月号の『少年倶楽部』に掲載されていた重慶爆撃体験者らしき人の手記。(旧漢字や仮名遣いは改めています)
「×月×日 快晴。
すばらしい爆撃日和。
朝風に、飛行場はすべてのものが、いきいきとかがやいている。
『これより敵都重慶にむけ、第○十○次の爆撃を決行する!』
出動前の訓示が、いつもながら自分の心をぴんとはりたたせてくれる。
『出発!』
戦友はめいめい愛機にむかってかけだした。地上整備の人たちの力で、愛機はすっかり準備がととのい、爆弾は腹一ぱいつめこまれた。
(中略)
『そろそろ近づいたぞ。重慶の空に雲がなきゃいいがなあ。』
射手が心配しだした。
『うん、大丈夫さ、きっと。』
といっている時、通信手の顔がきっとひきしまった。無電だ。
ヂウケイノソラ一テンノクモモナシ
先発の○○機からの報告だ。
『それみろ!』というと、みんな、『ばんざい!』
と、子どものような歓声をあげる。
『重慶の連中は、天気がよいと、昼でも夜でも爆撃されるので、すかりしょげてしまうそうだ。そのかわり、雨の日は日本機来らずといって、こおどりして喜ぶっていうからなあ。』
『じゃ、今日はその雨を降らせてやるさ、雨は雨でも爆弾雨を……』
『ハハハハハ。』
(『反空爆の思想』(吉田敏浩)より孫引き。太字強調は引用者による)
戦意高揚のための文章なので、少し割り引かないといけないだろうが、ここには爆撃する側の無感覚──相手の痛みへの無関心──が詰まっている。6月からイスラエル軍がガザに対して行っている作戦の名前は「サマー・レイン」。ガザには夏に雨が降らないことにひっかけている命名。これをつけた人物は、上の引用と似たような心象で面白がっていたのだろうなと思う。
空爆は引き起こす惨禍も大きいが、行う側の意識を徹底して麻痺させる。無差別に人を殺しているという意識が希薄化する。重慶への爆撃で殺された人は1万人を超えるという。
(そのわずか数年後、日本中の都市が米軍機によって焼け野原にされるだろうということはこの『少年倶楽部』が出た当初、誰も思わなかったのだろう。)
http://0000000000.net/p-navi/info/column/200610162213.htm