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磨<ダ・ヴィンチ・コード>映画に揺れる世界、各地の現象は! [毎日新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060601-00000019-mai-soci
<ダ・ヴィンチ・コード>映画に揺れる世界、各地の現象は!
キリスト教のタブーに挑戦した米国映画「ダ・ヴィンチ・コード」に世界中が揺れている。「キリストが妻帯し、子供までいた」という大胆なシナリオは、単なる娯楽映画の域を超え、主にキリスト教社会では宗教や政治を巻き込んだ文化騒動となっている。各地の“ダ・ヴィンチ現象”を追った。
●米国●監督は動じない
全米では19日の公開から11日間で1億4490万ドル(約162億円)を売り上げた。米国でも教会の危機感は強く、ロサンゼルスでは、週末のミサで「ダ・ヴィンチ・コードへの反論」という小冊子を配布し、映画の内容を批判するDVDを観賞した教会もあった。
宗教界の反発は製作時から予測されていた。ロン・ハワード監督は映画業界紙に「これはフィクション。神学論文ではない。不快になりそうなら見ないで」と答えている。監督は「作品の魅力は挑発的で刺激的なスリラー、ミステリーであること」と主張。このため映画では悪役として描かれているカトリック保守派「オプス・デイ」から、「話は事実ではない」というただし書きを字幕に挿入するよう要求されたが、フィクションであることを理由に拒否した。
監督は表現の自由を規制することにも批判的だ。上映を禁止したフィリピンの地元紙に対して「読者や視聴者の知能を侮る傾向があるが、人は映画を見たり、小説を読みながら、健全な判断ができるのでは」と語っている。【ロサンゼルス國枝すみれ】
●イスラエル●話題にも上らず
聖地エルサレムでも映画は同時公開されたが、ほとんど話題になっていない。ユダヤ教徒主体のイスラエル、イスラム教徒中心のパレスチナではキリスト教徒はごく少数派で、中でもカトリックはギリシャ正教に次ぐ第2勢力。「イエスに子供がいたという俗説は以前からある。映画は話題にも上らない」。イエス刑死の地にあるエルサレムの聖墳墓教会でカトリック神父はそう語った。
一方、イスラエル占領下パレスチナ自治区ラマラのカトリックの技術者(22)は「パレスチナのキリスト教徒は異なる文化や考え方に比較的寛容だ。ここでは占領に対処するのが精いっぱいで、映画を見ている時間はあまりない」と語った。【エルサレム樋口直樹】
●フランス●冷めている「現場」
映画で事件の「現場」となったフランスではカンヌ映画祭開幕に合わせて17日に封切りし、世界初上映となったが、事前の話題性に比べて売り上げはやや低調。反応も絶賛から酷評まで割れている。
インドからの観光客、パタンさん(52)は「素晴らしかった。ルーブル美術館見学の翌日に見たので、よく分かった。パリで見るのが最もふさわしい映画だ」と手放しで歓迎。“パリの観光映画”としては好評のよう。一方、フランス人教師のレスプランガーさん(59)は「本は興味深かったが、映画はかなり混乱していた。映画化するにはミステリーの内容が複雑すぎたのでは」。欧州人たちは映像だけでは満足していない様子だ。
券の売れ行きも映画「スター・ウォーズ」や「ハリー・ポッター」級には及ばない。上映1週間の入場者数も最近作で4位に甘んじている。【パリ福井聡】
●中 国●早々に政府OK
映画に対する規制が厳しい中国だが、3月下旬に早々とノーカット上映が承認された。関係者の間には、司教任命問題で対立するローマ法王庁(バチカン)をけん制する狙いとの見方もある。
新華社通信によると、政府公認カトリック教会の最大組織・天主教愛国会などは、映画が全土で公開された5月19日に声明を出し、各地の教会に映画観賞のボイコットを呼び掛けた。政府公認の教会が政府承認の映画にノーを突きつける異例の展開になった。同会の劉伯年副主席は「多くのシーンで教義との矛盾、侮辱がある」と強調した。
現在、中国には公認のカトリック教会・施設が約4600カ所あり、信者は約500万人に上る。【北京・西岡省二】
●イタリア●バチカンも賛否
カトリックの総本山バチカンを抱えるイタリアでは20日に国内910館で封切りられ、初日としては史上最高の200万ユーロ(約2億8000万円)の興行収入を上げた。
だが、同じ日にローマ近郊の町チェカノではキリスト教系の右派政党支持者らによって原作本が燃やされ、抗議運動が発生。“映画擁護派”はこれにトマトを投げつけ、賛否両派が入り乱れる騒動にまで発展した。
ローマ法王庁(バチカン)の一部高官や多くの教会は早くからボイコットを奨励。同庁教理省のナンバー2、アマート大司教は「物語は誤解と侮辱と中傷に満ちている。イスラム教相手なら世界革命を引き起こしただろう。キリスト教徒はもっと過敏にならねば」と説いた。一方、法王側近のルイニ枢機卿は逆に「真の教義を伝授でき、誤った情報と認識を正すことができる」と冷静だ。国内の司教や教会は強硬反対派と穏健説得派に割れている。【ローマ海保真人】
●フィリピン●首都は上映禁止
8000万人を超える人口の8割以上をカトリック教徒で占める、アジア最大のカトリック教国では日本より一足早く5月18日に封切りされた。
日本の映倫に当たる政府の「映画・テレビ審査委員会」は同月16日、18歳以上の成人だけが観賞出来る「成人映画」に指定した。「大人だけが、何が真実で、何が作り話であるかを見分けられる」との理由からだ。
封切り日、マニラ首都圏の映画館はどこも満員。しかし、マニラ市議会は「宗教を冒とくする映画の上映は許されない」として上映禁止の決議案を採択した。市当局は上映禁止の徹底を通知し、23日までに市内での上映はほとんどが中止された。【マニラ大澤文護】
●中南米●各国の教会反発
カトリック教徒が大多数を占める中南米では各国の教会が厳しく批判しているが、映画は盛況。原作も売れ続けている。
教会の批判はキリストが結婚し子供までいたという部分だ。ブラジルの司教は「キリスト教徒の良心や信仰を尊重していない」、エルサルバドルの教会は「人々の信仰を混乱させる危険性がある」と懸念を示した。
ペルーでは教会内での対応の食い違いが明るみに。作品に登場する保守派「オプス・デイ」の有力会員で、リマ大司教のシプリアニ枢機卿が「観賞を自粛するよう」呼びかけたのに対し、進歩派の司教らは「観賞は個人の自由」と反発した。
一方、ベネズエラの教会は「小説や映画に宣戦布告するのは適当ではない」と信者に冷静な対応を呼びかけ、メキシコの教会は「映画を見ることは禁止しない。むしろ見て論争すべきだ」とする。【メキシコ市・庭田学】
●英 国●6割「設定真実」
謎解きの舞台では、ウェストミンスター寺院がロケを拒否するなど英国教会側の反発があったが、土産品売り場に関連本を置いたり、小説の「間違い」を説明する小冊子を約3ポンド(約600円)で売る寺院も出るほど。
英国は厳格なキリスト教社会ではなく、定期的に教会に行く人は人口の1割足らず。民間調査機関が5月に実施した世論調査では、小説を読んだ英国人の60%が「キリストは結婚して子供がいた」という設定を真実だと思い込んでいるという。
ブレア政権の女性閣僚ルース・ケリー地域・地方政府相(38)が映画に出てくるカトリック保守派「オプス・デイ」の会員であることも話題を集めた。英国では昨年、同性愛者同士の結婚が正式に認められたが、オプス・デイは同性愛を罪悪とする。機会均等問題の担当者でもあるケリー氏の見解が注視されている。【ロンドン小松浩】
●日 本●本も映画も絶好調
国外では反発も目立つが、日本ではどこ吹く風。公開と同時に大ヒットし、配給元のソニー・ピクチャーズエンタテインメントによると5月20日の公開から2日間で約93万人を動員、興行収入は約12億8119万円。今年度の開幕興行収入ではトップを記録した。
邦訳本の売れ行きも絶好調で、同月末現在、単行本と文庫本合わせて1007万部を達成。出版元の角川書店は「驚異的な売れ行き。文庫は毎回100万部ずつ増刷している」とうれしい悲鳴を上げている。【鈴木玲子】
(毎日新聞) - 6月1日10時37分更新