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温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を地球上の、どの地域が吸収し、どの地域が排出しているかを調べるため、日米両国が2年後に相次いで地球観測衛星を打ち上げる。地球温暖化対策のためCO2濃度を主に測定する衛星は初めて。熱帯地方や南半球では地上の観測地点が少なく、地球全体では十分な精度での測定ができていない。宇宙からの観測で「空白地帯」を補い、CO2の「収支分布」を明らかにし、温暖化防止に役立てていくのが目的だ。
日本は08年8月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立環境研究所、環境省が共同で温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)を打ち上げる。GOSATは地上約666キロの軌道上を南北に周回し、同じ地点を3日ごとに測定する。
5年計画で、最終的に地球上を64〜128の区画に分割。各区画ごとのCO2の吸収と排出の「収支」を明らかにする。将来は国ごとのCO2排出・吸収量の測定が、衛星観測でもできるようデータを集めていく。
米国は同9月、米航空宇宙局(NASA)がCO2観測衛星(OCO)を打ち上げる。地上約705キロの軌道上を南北に周回し、少なくとも16日ごとに同じ地点を測定。CO2濃度は1日のうちでも変化するため、観測時間は現地時間の午後1時16分に統一する。観測は2年間の予定。
測定にはどちらの衛星も、赤外線の特定の波長帯がCO2を吸収する現象を利用。地上から反射される赤外線を測定し、CO2濃度を推定する。現在の全地球の平均CO2濃度は約380ppm。日本は地上観測と比べて誤差約1%、米国は0・3%以内の精度を目指す。欧州も日米と同様の衛星観測を検討中だ。
現在、地上の連続観測地点は約40カ所。両国の衛星観測で、従来は不可能だった、地球全体での月ごとや季節ごとの濃度変化も分かるという。
国立環境研究所の横田達也・GOSATプロジェクトリーダーは「いわば地球がどこでCO2を吸って吐いているか、呼吸の様子を探る計画だ。全容が明らかになれば、地球温暖化を防止するために世界のどこで手当てをしなければならないかも分かってくる」と話している。【江口一】
毎日新聞 2006年8月21日 3時00分
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