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□ジョンベネ事件の「真相」 [有田芳生の『酔醒漫録』]
http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2006/08/post_af07.html
2006/08/19
ジョンベネ事件の「真相」
8月18日(金)昨日テレビで垣間見たジョンべネ事件の犯人逮捕報道に呆れた。タイで容疑者が逮捕されたことにコメントをする「識者」の無知さ加減にである。あるコメンテーターはDNA鑑定が飛躍的に精度を増したので今回の逮捕につながったなどと語っていた。そんな事実はない。DNA鑑定は容疑者がアメリカに移送されてから行われるのだ。10年前に起きた事件ゆえに、多くのコメンテーターは事件の詳細を知りはしない。噴飯物の意味なき質問を現地リポーターに行っているコメンテーターも仕方がないが、あまりにも勉強不足だ。10年前にいちばん多く時間を割いて報じていたのは、現場となったコロラド州ボルダーを除けば、日本のテレビだった。当時はワイドショーが主体だったけれど、昨夜などは「ニュースステーション」までがこの事件を大々的に取り上げていた。オウム事件以来に変化したのはニュース番組のワイドショー化だ。いまテレビも時計もない環境で「読売新聞」「朝日新聞」を見れば、いずれも社会面で事件を取り上げていた。それでもそう熱心でないのは、独自取材を行っていないからだ。今後も大きく報道されることはない。世界と日本の事件報道のなかで、あえて取り上げるほどの価値がないとの判断があるからだ。ところがワイドショーを中心にしたテレビでは、来週も引き続き大きく報じることだろう。事件には多くの謎があるからだ。はたして逮捕された男は本当に犯人なのか。雪深い夜、どのように侵入したのか。両親がいる空間のなかで、暴行したうえ、部外者の知るはずもない地下室に遺体を放置することができたのはなぜか。薬物を使用したというが、遺体から検出されていないことも自供の信用性を疑わせる。元妻は事件当時二人でアラバマ州にいたと証言している。物証もなく、供述だけで逮捕したものの、これから刑事訴追できるのかどうかも怪しい。
そもそも捜査当局は、密室の事件だったため、両親の事件への関与を疑っていた。被害者が暴行されていたため、こんなストーリーが組み立てられた。父親が性的暴行を行っているところを母親が発見。そこで背後からゴルフクラブで殴りつけようとした。しかし、それが被害者に当たり、死亡してしまった。加害者同士がかばいあっているという構図だ。身代金要求の脅迫状は、捜査かく乱のために書かれた……。何度も事情聴取を行ったが、両親の事件への関与を裏付けることはできなかった。ところが、タイで逮捕された容疑者は、事件のドキュメンタリーを制作したコロラド大学教授とメールの交換を続け、そのなかで犯人しか知りえない情報があり、そこで浮上してきたというのだ。何だか警察庁長官銃撃事件で犯行を「自供」したものの、起訴できなかったK巡査長のケースを想起してしまう。この事件の背景には、性を強調する美少女コンテストと幼児性愛というアメリカの病理がある。5歳、6歳から女性の性をグロテスクに強調し、その影響を受けた幼児性愛者が事件を起こすという退嬰的な社会構造を変えていかないかぎり、こうした事件はあとを絶たない。ジョンベネ事件から学ぶべきことは、アメリカの社会病理を再生産しつつある日本の問題なのだ。
投稿日 2006/08/19 事件 | リンク用URL
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