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□ドイツ・マスコミスキャン〜W杯 ドイツ準決勝へ [JANJAN]
http://www.janjan.jp/media/0607/0607027108/1.php
ドイツマスコミスキャン〜サッカーW杯 ドイツ準決勝へ 2006/07/03
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特集:黙ってられないワールドカップ2006
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30日に行なわれたサッカーワールドカップ準々決勝ドイツ対アルゼンチンは、試合を優位に進めるアルゼンチンが後半4分に先制し、そのまま逃げ切る体勢を見せたが、同35分にドイツがFWクローゼのゴールで追いついて同点とし、さらにPK戦でGKレーマンがアルゼンチンのPKを2本止めるなどして結局5−3(PK4−2)でドイツの勝利に終わった。
《参考記事》
・ Fuer Deutschland geht die Fussball-Party weiter (ドイツのサッカー・パーティはまだ続く)
・ Deutschland gewinnt die Nervenschlacht (ドイツ,神経戦を制す)
・ Millionen feiern deutsche Mannschaft (何百万人もがドイツ代表を称賛)
《解説》
最後まで息をつかせぬ試合展開だっただけにドイツサポーターの喜びはまた格別で、それはそのままマスコミの伝え方にも現れている。
たとえば『ヴェルト』は「ユルゲン・クリンスマンは2年前の代表監督就任時に『目標はW杯優勝だ』と言って失笑を買ったが、今では国中がそれを夢見ている」と現在の雰囲気がこれまでになく良いことを指摘し、「今大会でおそらく最強だろうと思われるチームに勝利した以上、決勝戦はもう視野に入っている。この(アルゼンチンに対する)勝利でタイトルは手が届くところにまで近づいているのだ」と期待に胸をふくらませている。【1】
『シュピーゲル』も「今大会で初めて先制を許しながらも勝利した。もう勝てないのではないかといわれていたサッカー大国の1つに勝利した。PKでは一発も失敗しなかった」とドイツ代表の底力を評価。「この勝利を見たあとではドイツが決勝戦のピッチに立つことを疑う者はもはやいないだろう」とこれまた勝利に疑いを抱いていない。【2】
『フランクフルター・アルゲマイネ』は「勝利への意思は山をも動かす(不可能を可能にする)」としてドイツ代表の「強い意志、精神力、勝利への信念」がアルゼンチン戦での勝利につながったと見ている。同紙はさらに「クリンスマンの若い選手たちは古豪に叩きのめされるだろう」というW杯前の評価を「若い選手たち」が見事にくつがえし、「じっと耐え、くじけず、粘り強く自分たちの戦い方を追求できる」ことを示したのだと述べ、一連の戦いを通じて「若き選手たちの成熟が加速されている」点も指摘している。【3】
『フランクフルター・ルントシャウ』も同様に「クリンスマン監督は5月16日の代表召集からずっと温室で植物を育てるようにチームの面倒を見てきた。それがまさに絶好のタイミングで開花し、ドイツに多くの喜びをもたらしている」として、ドイツ代表の若さを植物に例え、確実に成長することが強さの秘密であるとしている。そして同監督は「W杯を最大限に利用してドイツサッカーの落ちぶれたイメージを塗りかえることに成功した」と述べ、監督の手腕を高く評価している。【4】
盛り上がりにおいては大衆紙『ビルト』がやはり一番で「レーマンはマラドーナに『本当の神の手』を見せつけてやったのだ」と1986年大会でのマラドーナの「神の手ゴール」(手でボールをはたいてゴールしたこと――もちろん反則。マラドーナ本人は後でこれを「あれは神の手だったんだ」と言っていた)を皮肉りつつ、PKを止めたGKレーマンを絶賛。さらに「W杯で5連勝――これはドイツサッカー史上初の快挙だ」と快進撃を続けるドイツ代表を讃え、「リードされてもだれもうなだれたりしない。全員が懸命に走り続ける」選手の姿勢を評価。「サッカーの神がそれに報いてくれたのだ」として、クローゼの同点ゴールが勝利への執念の結果であるとしている。そして「この勝利は何にもましてわれわれを強くしてくれる。選手諸君、さあタイトルをその手でつかむのだ」といつもながらの「熱い」言葉で記事を結んでいる。【5】【6】
うれしいのはマスコミばかりでなく、政治家もまた歓喜の輪に入っているようだ。【7】
ケーラー大統領は「こんなに鼓動が高鳴ったことは今までにない」と素直に喜びを表明した上で「ドイツが優勝すると私は思っているが、もし敗退したとしても(国中にあふれている)良い雰囲気、喜び、友好的態度は今後も変わらないだろう」とサッカー以外にも良い影響があることを喜んでいる。
試合を観戦したメルケル首相も「じっと座ってなんかいられなかったわ」とか「延長戦は見ていてしんどかった」とか正直なところを述べている。これに対してW杯の警備を担当するショイブレ内相は「勝利への絶対的な意思とPKでのレーマンの活躍のおかげでわれわれの夢――W杯優勝――はまだ生き続けている」とやや冷静な言い回し。
政治家ではないが、ドイツで有名な司会者トーマス・ゴットシャルク氏もこの試合についてコメントしていて、「これは本当に心臓によくないよ。スリラーだもの。ドイツがリードする展開のほうがうれしかったかな」とメルケル首相に近い意見。ただし「ゲームの内容うんぬんについてはぼくは何も言わないでおこう。でもこのW杯の影響は単にスポーツの分野だけにとどまらずにずっと続くと思う」とケーラー大統領のような見解も付け加えている。
大会組織委員会委員長のフランツ・ベッケンバウアー氏も『ビルト』に寄稿した文章の中で「われわれがW杯のPK戦で負けていないのは偶然だろうか。私は違うと思う。これは偶然などではない」と述べ、ドイツの強さについて確固とした理由があることを主張している。それによると「理由は2つある。1つはPKは練習できるということ。納得が行くまで練習すれば自分を信じることができる。もう1つは精神面での強さ。ドイツ人は決定的な場面でも強い精神力を発揮できるからだ」とのことである。【8】
なおこの試合では――テレビでご覧になっていた方はご存知かと思われるが――終了後にちょっとした乱闘騒ぎがあったのだが、日本のマスコミでは詳しく報じられてはいないようである。最後にこの乱闘の内容を――サッカーとは本質的に関係ないが、野次馬的好奇心はだれにでもあると思われるので――ちょっと紹介しよう(ただしこれは『ビルト』の記事にもとづいているのでたぶんやや一方的な見方だと承知されたい)。【9】
ことの発端は、アルゼンチンのFWクルスが――アルゼンチンのPKが成功するたびに――ドイツ選手に向かって「黙っとれ」というしぐさで挑発したことだという。あるいはドイツ代表キャプテンのMFバラックによるとドイツ選手がキックをするたびにアルゼンチン選手が「野次を飛ばしていた」ことが背景にあったらしい。
そういうことがまずあって、その後でドイツの決勝PKを決めたボロフスキが「親指で人差し指を叩くしぐさ」(「くだらないおしゃべりはやめろ」の意)をしたところ、アルゼンチンの控えFWのクフレが飛び出してきて、いきなりドイツDFメルテザッカーの腹に蹴りを入れる(これは本当でその瞬間が写真に撮られている)。なぜ蹴られたのがボロフスキではなくメルテザッカーだったかというと、2人ともブロンドの長髪だったためクフレがどうも相手を間違えたらしい。
蹴られたメルテザッカーが地面にうずくまったので、あわてたドイツのチームマネジャーのビーアホフ氏が助けようと割って入ったところ、今度はビーアホフ氏自身がアルゼンチンFWアジャラに蹴飛ばされ、それを助けようとしてさらにシュヴァインシュタイガーが飛び込み……という具合であっという間にみんなが集まってきてしまったようだ。
ドイツのDFフリングスはこれに関して「こんなのはまったくアンフェアだ。なんて敗者だ」と怒りを隠さない。ビーアホフ氏も「私は『ろくでなし野郎』とか『くそ野郎』とかまったくひどい雑言を聞かされた。アルゼンチン選手のやったことはフェアネスの限界をはるかに超えている」と強く非難している。
あまり騒ぎが大きくなるとスタンドにも飛び火しかねないところだったが、結局クフレにレッドカードが出て3分後には乱闘は収まる。詳しい経緯はFIFAが現在調査中とのことなのでまだわからないが、先に手(というか足なのだが)を出したアルゼンチン側にはおそらく何かお叱りがあるだろう。負けた上にこれではサッカー大国といえどもあまりほめられたものではなさそうだ。
《参照記事》
【1】Kommentar: Wundersamer Abend (この世のものとは思えない夜)
【2】Vorwaerts immer, rueckwaerts nimmer (前進あるのみ)
【3】Der Wille versetzt Berge (意思は山をも動かす[不可能を可能にする])
【4】Aufgeblueht (花は開いた)
【5】Wahnsinn! Jetzt holt euch das Ding! (さあタイトルを取ってくれ)
【6】Wir kuessen unsere Hand Gottes (われらが神の手に口づけを)
【7】Reaktionen zum Sieg der DFB-Elf (ドイツ勝利に対する反応)
【8】Wir Deutschen haben die staerksten Nerven (われわれドイツ人の精神力は最強である)
【9】Pruegel-Gauchos (暴力ガウチョ)
(竹森健夫)
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