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□W杯観戦熱 英で仮病欠勤深刻 [フジサンケイ ビジネスアイ]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060620-00000013-fsi-bus_all
W杯観戦熱 英で仮病欠勤深刻
■最大労組と中小企業連盟対立 企業向け補償保険も登場
【ロンドン=蔭山実】サッカーワールドカップ(W杯)をめぐり英国内で試合が勤務時間と重なったときに仮病で欠勤する人が増えるという問題が波紋を広げている。多国籍社会の英国では試合見たさに仮病で欠勤する人は英国人だけに限らない。だが、実際に仮病だったかを確認する手立てはなく、それを指摘した労働組合が「仮病観戦」を奨励したと矢面に立たされた。
≪悩ましい時差1時間≫
今回のW杯では2勝して決勝リーグへの進出を決めたとはいえ、本来の調子はまだ出ていないイングランド。1次リーグ初戦の10日のパラグアイ戦は主将、ベッカム選手の見事なゴール前のクロスが話題になったものの、相手のオウンゴール(自殺点)の1点のみ。
15日の2戦目、トリニダード・トバゴとの試合は苦しい展開ながら終盤の2得点で勝利を収めた。だが、ファンの間では「終了間際での得点は本来のイングランドの戦いぶりではない」と不満の声が聞こえ、開始早々から会心の試合を誰もが期待している。
それだけに英国内で試合見たさに仮病をつかってまで欠勤する人も多いといわれる。試合は夕刻以降や週末の場合もあって平日の日中に欠勤してまで観戦しなければいけない機会は多いとはいえないものの、ドイツより1時間遅い英国ではファンもより面倒だ。
≪祖国応援組が拍車≫
だが、英国の場合、さらなる問題は、移民に寛容な社会にあり、移民系の従業員が欧州の中でも、とくに多いことだ。W杯に出場している祖国を応援したいという人も加えると「仮病観戦」による欠勤は恒常的な問題に発展しかねない。
W杯に出場している6カ国から計20人を雇っているというある経営者はBBCテレビに、「W杯の試合日程に合わせて業務を輪番にすることに決めた」と語った。そうでもしなければ仕事にならないというのだ。
こうした中で「仮病観戦」の議論に火をつけたのが電機・機械業界の組合員110万人を抱える英最大労組アミカス(AMICUS)。ウェブサイトで組合員に勤務と試合の時間が重なった場合に試合を見るのなら、勤務時間の変更や上司の許可を得ることを提言しつつ、「病気と称して休んでも仮病だと証明することは難しい」と指摘した。
これを英中小企業連盟は「ずる休みを取ることをアドバイスしたようなものだ」と批判し、ウェブサイトから削除するよう求めた。だが、アミカスは「仮病を奨励しているどころか、そんなことをすれば大問題になると警告している」と反論している。
≪政治にも影響?≫
「仮病観戦」をめぐっては、従業員が2週間以上の病欠をした場合に企業に補償する通常の保険に加え、サッカーの試合当日と翌日の欠勤を補償するための新保険を提供する保険会社も現れた。サッカーが英国社会に与える影響の大きさを感じさせる現象だ。
開催国が自国からみて地球の裏側だと、今度は寝不足になり、出勤しても従業員の生産性の低下に企業は悩まされる。場当たり的な対応でW杯の悪影響を解決するのは難しく、企業は常に雇用管理で工夫を求められることになるかもしれない。
ただ、15日のイングランド戦では、欧州連合(EU)首脳会議でブリュッセル入りしたブレア英首相も英代表団の部屋でテレビにくぎづけだったという。英下院では試合時間と重なったウェールズ関連法案の審議を早めに切り上げ、閣僚がウェールズの議員に感謝するひと幕もあった。
「W杯優先」は企業だけの問題ではないところがまたやっかいだ。
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 6月20日8時32分更新
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