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ーーー 富をー無限の富をー集積する機会こそ、世界で最も偉大な社会をつくり出した資本主義システムの土台、自由な企業活動と開かれた競争システムの土台でしょう。
「問題はあなたが本気でそう信じていることだな。」
ーーー いえ、わたしは信じていませんよ。ただ、そう信じているひとたちを代弁しているんです。
「アメリカ人は階級を、個人の努力の結果だと見る傾向がある。誰かが「成功」できれば、誰でもできるはずだと思う。だが、その考え方は単純で幼稚すぎる。ところが、メキシコと同様にアメリカでも、金持ちと権力者は自分たちの金と力を握りしめ、さらにふやそうと画策し、奮闘しているのだよ。」
ーーー だから? それが、いけないことですか?
「そのために、彼らはシステマティックに競争を排除し、制度的に真の機会をことごとくちっぽけなものにし、富の流れや蓄積を集団的に支配している。
彼らは、不公正な労働慣行で世界の貧しい大衆を搾取し、学閥のネットワークを利用して競争を有利にし、成功者の仲間に入ろうとする新参者を(叩きつぶさないまでも)できるだけ制限することまで、あらゆる手だてをつくしている。それから世界中の公共政策や政府の政策を支配し、大衆が規制され、コントロールされ、従属したままでいるようにしむけようとしている。」
ーーー 金持がそんなことをしているとは信じられないな。とにかく、そんなに多くはないでしょう。ごく一部には、そういう隠謀をたくらんでいる者もいるでしょうけど.....。
「たいていの場合は、金持ち個人がしているのではない。彼らが代表する社会的システムと制度がそうなっている。そのシステムと制度は、金持ちと権力者がつくったものだ。支えているのも、金持ちと権力者なのだよ。そういうシステムと制度に隠れれば、個人は、金持ちと権力者を優遇し、大衆を抑圧する社会の責任から逃れられる。
アメリカの医療制度を例にとってみようか。世界で最も豊かな国アメリカで、何百万人もの貧しい人が救急病院にでもかつぎこまれないかぎり、医者に診てもらうことができない。なのに誰ひとり、医師個人を指して「あなたのしわざだ。あなたの責任だ」と言うことはできない。責めを負うべき医師は誰もいないが、しかしすべての医師がそのおかげで得をしている。医療専門家全部がーそれに関連の産業がー差別する制度のおかげで、前代未聞の利益をあげている。しかも、これは「システム」が豊かな者をさらに豊かに、貧しいものをさらに貧しくしているほんの一例にすぎない。
要するに、そうした社会構造を支えているのも、少しでも変えようとする試にかたくなに反対しているのも、金持ちと権力者だということだ。彼らは、すべてのひとに真の機会とほんとうの尊厳を与えようとする政治的、経済的な試みのすべてに反対する。金持ちと権力者の大半は、ひとりひとりをとれば感じのいい人たちで、憐れみや共感もひとなみにもっている。だが、年間所得の制限といった、彼らの立場をおびやかす考え方を示されると、権利の侵害だの「アメリカ方式」の破壊だの、「インセンティブが奪われる」だのと文句を言い出す。
それでは、すべてのひとが最低限、飢え死にせずにすむ食事と、凍えずにすむ衣服があって、人間らしい環境で暮らす権利はどうなるのか? 金持ちなら指をぱちんと鳴らす程度で避けられる、ささいな医療にまつわる問題で苦しんだり、死んだりせずにすむという権利はどうなるのか?
地球の資源はー制度的にしいたげられつづけ、言葉にできないほど貧しい大衆の労働の成果もふくめてー世界中のひとのものであって、金持ちや権力者だけのものではない。
その搾取はこんなふうに行なわれる。金持ちの実業家は、仕事がまったくなくて、人びとが貧困にあえぐ絶対的に貧しい国や地域に出かけていく。そこで、工場を建設し、貧しいひとたちにーときには1日10時間から12時間、14時間労働のー仕事を提供し、非人間的と言わないまでも劣悪な賃金を支払う。ネズミが走りまわる村から労働者がぬけ出せるほどではないが、食べ物も住いもない暮らしにくらべれば、ともかく生きていける程度の賃金だ。
それから、この資本家たちは言う。「どうだい、前よりも生活条件は良くなっただろう? わたしたちが、彼らの暮らしを引きあげてやったんだ! 彼らは仕事についた、そうだろう? 彼らにチャンスをやったんだよ! しかも、すべてのリスクを負うのはこちらだからな!」。一足125ドルで売るスニーカーをつくる労働者に、75セントの時間給を支払って、どんなリスクがあるというのだろう? これはリスクを負うことか、それとも単純明白な搾取か?
こうした恥ずべきシステムが存在しうるのは、貪欲に動機づけられ、人間の尊厳ではなく利潤率が最優先される社会だけだよ。
「彼らの社会の標準からすれば、あの農民たちはけっこうな暮らしをしている!」と言うひとたちは、第1級の偽善者だ。彼らは溺れている者にロープを投げてやっても、岸に引きあげてはやらない。そして、石を投げるよりロープのほうがいいだろうと、うそぶく。ひとをほんとうに尊厳ある場に引きあげてやるかわりに、「もてる者」たちは世界の「もたざる者」に、依存するしかないものを与える。だが、ほんとうの力はもたせない。
ほんとうに経済力をもった者は、「システム」におとなしく従うだけでなく、影響を及ぼす能力をもつからだ。システムをつくったものは、それだけは防ぎたいのだ! だから、謀略は続く。金持ちと権力者の大半は、謀略に肩入れする行動をやりはしない。沈黙していることが謀略なのだ。
だからー自分の道をー進みなさい。そして、ソフトドリンクの売り上げを伸ばした企業のエグゼクティブに7000ドルのボーナスが支払われ、一方では7000万人のひとがその商品を飲むこともできないほど、まして健康に暮らすための食事ができないほど貧乏なのを放っておく、恥ずべき社会経済システムについては、黙っているがいい。このシステムを恥ずべきだと思わなくていい。それが自由市場経済の世界だと、誰にでも胸を張って自慢すればいい。
ただし、こう書かれているのだよ。
ーもし、あなたが完全になりたいなら、
帰って、あなたの持ち物を売り払って、貧しい人たちに与えなさい。
そうすれば、あなたは天に宝を積むことになります。
そのうえで、わたしについて来なさい。
ところが、青年はこの言葉を聞くと、悲しんで去っていった。
この人は、多くの財産をもっていたからである。」
神との対話 <普及版>4、pp.161-168より。
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