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http://www.mainichi-msn.co.jp/today/archive/news/2006/05/08/20060508k0000m040110000c.html
シリア、トルコ国境のユーフラテス川沿いで約1万年前に一気に進んだとされる農耕の開始が、1万200年前ごろから3500年以上かけてゆっくりと進んでいたことが、総合地球環境学研究所(京都市)の丹野研一・上級研究員(考古植物学)らの研究で分かった。農耕は家畜の飼育や土器使用などと共に、狩猟・採集中心の旧石器時代から定住型の新石器時代に移行する「新石器革命」の一要素とされてきたが、この定説を覆す可能性があるという。
仏国立科学研究センターのジョージ・ウィルコックス博士らとの共同研究。小麦栽培発祥の地とされるシリア北部からトルコ南部にかけての四つの遺跡(1万200〜6500年前)で出土した小麦を調べて判明。3月、米科学誌サイエンスで発表された。
小麦の穂は「小穂(しょうすい)」と呼ばれる小さな部分が集まっており、野生種は熟すと穂がはじけて小穂が飛び散るが、栽培化されると収穫しやすいよう小穂がはじけず、収穫後の脱穀で人為的な傷跡が残る。小穂9844点のうち、傷跡の有無が判別できた804点を分析し、遺跡ごとに比較。従来の新石器革命の時期に当たる1万200年前はすべて野生種で、栽培種の割合は、9250年前が11%、7500年前が36%、6500年前が65%と、徐々に増えていた。
丹野研究員は「農耕は1万年ほど前、氷河期が終わった後に、再度一時的に寒くなった気候変動によって一気に始まったとされてきたが、実際は当時の人間が自然とのかかわり方を模索しながら時間をかけて浸透していったのだろう」と話している。【奥野敦史】
毎日新聞 2006年5月8日 3時00分
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