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Le Kamikaze-5-(三四郎の日記)【零戦特攻のことども】
http://www.asyura2.com/0601/bd43/msg/442.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 4 月 07 日 09:55:34: KbIx4LOvH6Ccw
 

「自爆テロ」のことをフランス語で(男性)人称形で “Le Kamikaze” と表現するらしい。(三四郎日記)――という投稿を以前、空耳板にしたので、この投稿も戦争板に投稿するべきかなとも思ったのですが、やはりここに投稿することにしました。
以下 http://blog.goo.ne.jp/yojiro5/e/4e75cdc032ded4625fc6816d57a04f4b からの転載。

Le Kamikaze-5-

去年のNHKの教育番組で、『ETV特集・零戦ニ欠陥アリ〜設計者達の記録〜』という番組がやっていた。これは今年の3月8日の『その時歴史が動いた』でも「ゼロ戦・設計者たちが見た悲劇〜マリアナ沖海戦への道〜」として編集・再放送されていた。この番組では神風を理解する上で重要な点が紹介されていたので検討してみる。

簡単に言うと、第二次大戦初期には無敵(スピードが当時、世界最速)を誇ったゼロ戦であったが、「無敵」というのは人命を軽視して機体を極限までに軽量化してはじめて実現されたものであった。そのため、「無敵」・「最強」のはずだったゼロ戦は、実は開発当初から重大な問題を抱えていたのであった。

最大の問題は、当時の空中戦(航空機同士の戦闘)に不可欠の動作であった「急降下」を行うと、機体に無理な力が加わり、また強度不足のために空中で分解してしまうということだった。しかし、軍部は中国戦線でゼロ戦が中国軍の戦闘機に対して華々しい戦果を挙げたために、これを不問に付してしまう。

また、太平洋上での日米戦に突入すると、ゼロ戦の防御力の無さから、次々と優秀なパイロットを失うことになる。対照的に、アメリカ軍の戦闘機には、パイロットを守るために様々な工夫が施されていた。その一つが「防弾」で、機関砲で攻撃されてもコクピットや燃料タンクは守られるようなつくりになっていた。また、二つ目に、たとえ燃料タンクに被弾し火災が発生しても、「消化装置」が作動して撃墜をまぬかれるようになっていたのである。しかし、日本軍のゼロ戦は、機動力を追及し、軽量化を最優先にしたために、このような安全策が全く施されておらず、防御力までもがゼロ戦だったのである。

これは何を意味するのだろうか?
単なる技術的な問題に留まらない、重大な結果を日本軍にもたらす事になったのは明白なのではないのだろうか?

このような状況で、「国体護持」(現代風に言うと、天皇制の維持)を最優先する天皇制政府が取るべき合理的な作戦は、「特攻」ではなかったのか?未熟なパイロットが、急降下をすると分解してしまうような戦闘機に乗って「戦果」を挙げるためには、「特攻」しかありえなかったのではないのか。

少なくとも、当時の軍事技術的には、特攻は「効用(戦果)を最大化」をするための最も「合理的な」作戦ではなかったのか?

しかし、人命を犠牲にしてまで「時間稼ぎ」することに、どんな意味があるのだろうか?

初めての特攻作戦の報を聞いた昭和天皇は「そこまでしなくてはならないとは・・・」と言ってショックは受けた様子は見せたものの、その次に「しかし、よくやった」と言ったという。普通の人間なら「そこまでするのか・・・」と言って絶句してしまうだろう。が、彼は違った。自分が、戦後、死刑にならずに済むように、なるべく有利な条件で終戦をむかえられるように、自殺攻撃を行ってくれている「優秀な人材」を「汝ラ忠勇ナル臣民」として褒め讃えたのである。

このような天皇の発言からも推察できるように、「特攻」の目的は、絶対的に劣勢な航空戦力で、「それなりの戦果」を挙げるためのものであるに過ぎなかった。「それなりの戦果」というのは、よく知られているように、戦争を止めるために「それなりの戦果」を挙げた後で、アメリカと講和する、という当時の政府の太平洋戦争における妄想的な「出口戦略」の重要なキーワードであった。

おそらく、特攻隊員は、これらの状況を全て把握し、「合理的に」判断することが出来ていたならば、このような作戦に参加するようなこと無かったのではないか。

ところが、このような事実は巧妙に「隠蔽」され、「特攻」を行う者のメンタリティがこのような作戦を可能にしたのであると言う事に意図的に論点がずらされた可能性がある。もし、以上のような事実が戦争直後に「特攻を行わせた戦争責任」として追求されていたのなら、「特攻精神」などという言葉が現代にまで生き延びるようなことは無かったのではないだろうか。

【関連投稿】

「自爆テロ」のことをフランス語で(男性)人称形で “Le Kamikaze” と表現するらしい。(三四郎日記)
http://www.asyura2.com/0510/bd42/msg/521.html
投稿者 gataro 日時 2005 年 12 月 29 日 13:32:41

Le KamikazeA【「自爆テロ」のことをフランス語で “Le Kamikaze” と表現するらしい―の続き】
http://www.asyura2.com/0510/bd42/msg/583.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 1 月 05 日 10:23:57

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