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(回答先: [三島由紀夫]米滞在の江藤淳に書簡 ノーベル賞も意識?/毎日新聞 投稿者 white 日時 2006 年 3 月 17 日 10:58:48)
□三島由紀夫:米滞在の江藤淳に書簡 ノーベル賞も意識? [毎日新聞]
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060317k0000m040135000c.html
三島由紀夫:米滞在の江藤淳に書簡 ノーベル賞も意識?
昭和を代表する作家、三島由紀夫(1925〜70)が文芸評論家の江藤淳(1932〜99)にあてた書簡5点が16日までに見つかった。米国滞在中の江藤に、三島が自作長編「美しい星」(62年)の英訳本刊行への助力を求めるなどの内容。ノーベル文学賞など国際的評価を重視した作家像をうかがわせる貴重な資料だ。三島の江藤あて書簡が見つかったのは初めて。
江藤は戦後日本を代表する文芸評論家で保守派の論客として活躍した。死後、書籍などはすべて97〜99年に教授を務めた大正大(東京)に寄贈されたが、その中から今回の書簡が見つかった。
5通の日付は62年11月28日から64年1月28日まで。いずれも封書で、プリンストン大滞在中の江藤あて。当時、宇宙人を主題にした「美しい星」の英訳刊行に腐心しており、米国にいた江藤を頼みとする心情がにじみ出ている。
63年3月17日付では、米国の出版社が刊行に難色を示す状況を説明し、「あの作品には愛着がありますので、貴兄の御援助が得られれば、これ以上の喜びはありません」と書く。
江藤は作品の要約を出版社へ送るなど尽力した。同4月23日付では「御厚意の程は永く忘れませぬ」と感謝しているが、刊行は実現しなかった。
一方、「愛国者たる貴兄を失つたら、わが日本民族の将来は暗黒」(64年1月28日付)、「ナショナリスト江藤氏よ!」と呼びかけ「同志 三島由紀夫」と記す(63年11月23日付)など、親近感をあらわにしている。
また、ケネディ大統領暗殺について「かういふ風に人生の絶頂で死んだケネディは、政治家として実に幸福な男だと思ひます」(同)としており、自身の壮絶な死を予言しているかのようだ。
書簡5点は、4月に刊行される「決定版 三島由紀夫全集」(新潮社)別巻の月報に収録される。【米本浩二】
◇欧米の評価に自身の関心
今回発見された三島由紀夫の江藤淳あての書簡5通からは、国内よりも欧米の評価に自身の関心を移していく作家の姿がリアルに伝わってくる。
1962年11月28日付には「菅原君(新潮社編集者)と二人で、『江藤氏の批評一つでわれわれは報いられたから、もうこれ以上何も望まないね』と話し合つたことでした」という文言がある。
当時、江藤は朝日新聞で文芸時評を担当していた。そこで、野心的な小説「美しい星」を好評してくれたことへのお礼の言葉である。
同作品は、自分たちが他の天体から来た宇宙人だという意識にとらわれた一家を描いて、核時代に生きる不安を表現した意欲作。しかし、日本の文壇での評判は芳しくなかった。
同日の手紙に引用しているように「大正型インテリの諷刺だけで五百枚は長すぎる」(河上徹太郎)、「これが英米各国に訳されたら反響如何といふ作家的野望のみ感じられて」(平野謙)など、酷評に迎えられた。
それだけに年下の評論家の賛辞はありがたかった。そして、日本的特殊性を超えて普遍性をめざした作品の狙い通り、海外での評価をあてにしたようだ。
谷崎潤一郎が死去した65年には、ノーベル文学賞候補とも目されることになる三島にとって、書簡が書かれた62〜64年はノーベル賞を意識し始めたと想像される時期だ。
米国での売り込みが難航した「美しい星」の場合、「日本文学紹介にまつはるさまざまな裏話のバカバカしさは、いづれ御帰朝を待つて、一夜ゆつくり話し合ひませう」と江藤への親愛を吐露している。しかし、それは果たして三島の本心だったのか。
三島が江藤の悪口を臆面(おくめん)もなくつづっている書簡も読める。漢学者の安岡正篤あての68年5月26日付の手紙(新潮社「決定版 三島由紀夫全集」補巻)だ。
「このごろ若手評論家のうちでも、江藤淳の如き、ハーバード大学で突然朱子学の本をよみ、それから狐に憑(つ)かれた如(ごと)く朱子学とさわぎ廻(まわ)ってゐる醜態を見るにつけ、どうせ朱子学は江藤のような書斎派の哲学に適当であらうと見切りをつけ……」(江藤の大学名をわざと間違えている)
三島の二面性にとまどってしまうが、三島の専門家にとっては驚くことではないらしい。全集を担当している新潮社の伊藤暁さんは「まさに融通無碍(ゆうづうむげ)。書簡を丹念に読むと、小説ではうかがえない人間臭い三島像が見えてきます」と話す。【米本浩二】
▽三島文学に詳しい佐藤秀明・近畿大教授の話 気鋭の評論家にあてた手紙らしく、率直で内容豊かな文章だ。欧米に自分や日本文学をアピールしようと一生懸命な姿勢がうかがえる。ケネディには完全に自己投影している。
毎日新聞 2006年3月17日 3時00分
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