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911事件>WTC崩壊編>摩天楼はなぜ崩れた(2001.10.11)
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投稿者 Kotetu 日時 2006 年 3 月 11 日 01:57:04: yWKbgBUfNLcrc
 

摩天楼はなぜ崩れた(2001.10.11)
 本文は別文「米中枢同時多発テロ事件に思う(http://www.avis.ne.jp/~cho/amte.html)」の3の「高層ビルの垂直崩落のメカニズム」の部分とそれに関連した補足をまとめ、10月9日付けの建設通信新聞に掲載されたものである。ただし、より正確を期すために、メカニズムの記述を若干修正している。
 今回の米中枢多発テロによって、超高層ビル・摩天楼はもろくも崩れた。
 筆者は建築の専門家ではないが、土木の構造設計の専門家の端くれではある。それでも今回の高層ビルの垂直崩落は意外であった。当初、崩落のメカニズムが容易に説明できなかった。ほぼ一日考え、テレビの映像を再三見て、やっと次のようなメカニズムではないかと思うに至った。
 今回の世界貿易センタービルの垂直崩落は南棟が航空機の突入後約42分後に、北棟は約1時間40分後に起きている。このようにかなりの長時間、数百度以上の燃焼下におかれると、鋼の強度は極端に落ちて、耐力が低下して梁と柱部材が壊れる。とくに梁部材が壊れると、荷重を支えていた柱のような垂直部材は水平方向の支えを失い不安定になり、柱は倒れる(外壁の柱は内側に倒れる)か座屈(細長いものを圧縮すると急に折れる現象)する。そのためにそれより上階のかなり余分の荷重が下段の梁と一部の柱に、衝撃を伴って直接かかる。通常は上階の荷重はそれぞれの柱で支えられているから、過大な荷重に耐える力はそれらの梁,柱にはなくて壊れる。また残りの柱は梁の破壊で水平方向の支えを失い、倒れるか座屈する。これらの現象が下の階に伝播して、次々に崩壊し、垂直崩落が進行することになる。南棟と北棟で崩落に至るのに約一時間の時間差がある。これは、北棟のほうが航空機の突入が南棟より上階で、強度が低下した梁より上階の荷重が軽かったことによるものと考えられる。もし最上階近くに突入していれば、垂直崩壊は起きなかったであろう。
 これまでこの種の崩落がなかったのは、これほど長時間の火災がなかったということであろうが、果たしてそうなのか検証すると同時に、実験的な検証が必要のように思う。
 9月21日の朝日新聞の記事によると、床(正確には床を支える梁、筆者注)と柱の接合部が密接な剛構造ではなくピン構造だったから崩落したという専門家の説明がある。この説明は適切とは思えない。崩落に至る時間に両構造で差があるかもしれないが、剛構造でもいずれ梁が壊れて、水平方向の支えを柱が失って、不安定となるであろうから、崩落は起きると思う。また一部に梁・柱部材が溶けたという説もあるが、そうではなかろう。もしそうなら、両棟の崩落にあれほどの時間差はないはずだからである。
 このように崩落のメカニズムに関する専門家の説明(同記事の「ひざの後ろけるようなもの」とか「積んだケーキ押しつぶした」というような)は、報道で見る限り、必ずしも適切ではない。とくに下の階が連鎖的に崩落した原因の説明は不十分である。
 今回の崩落は大変な問題点を提起したと言える。航空機が直接突入しなかった周辺のビルで同じような崩落が三棟で起きている。これは火災によるものではないという説もあり、確認する必要はあるが、類焼による火災が原因の垂直崩落の可能性もあるのではなかろうか。崩れ方の映像とか残骸を精査して、正確に結論を出してほしい。いずれにしても熱対応構造と熱対策の研究を急ぐ必要がある。
 さらに、火災が原因でなくても、高層ビルの中間のある階の梁・柱が壊れると、垂直崩落が起こり得るので、対応・対策の検討が必要である。
 このように、科学が知り得ていないことはまだまだ沢山あり、人間は驕ってはいけないと思う。このような火災による垂直崩落を予想できないのに、あんな摩天楼を建設しているのである!
 なお、犯人達はあのような垂直崩壊を予想して決行していたのだろうか。専門家でも予想できなかったことを犯人達が知っていたはずはないと思う。結果が彼等に予期以上の“成果(彼等にとっての)”をもたらしたと言えよう。「文藝春秋」10月緊急増刊号にある、作家・柳田邦男氏の「航空機が爆弾なしでもこれほどの破壊力をもつ“兵器”になり得るのを発見したテロ集団の指導者は、まさに恐るべき存在だ」とか、都市防災専門家・村上処直氏の「誰もが予想し得なかった事態を、テログループだけが冷徹に計算し、正確に予測していたことになる」という評価は疑問である。
 ただ今だに不思議に思えることがある。突入された階の柱と梁のかなりの部分が破壊されたはずなのに、上階が沈下さえしていないように見える。また突入した航空機の中心がビルの中心よりずれている(とくに南棟の場合)のに、突入階より上の部分が殆ど傾いていないように見える。どうしてであろうか。

 飛行機のほうが壊れて、柱・梁の構造部材は壊れなかったからではないかとも考えられるが、それでは、何故突入の際少しも弾かれず、吸い込まれるように入っていったのか、また何故機首が突き抜けたのかについて説明ができないように思う。

長 尚のホームページ
http://www.avis.ne.jp/~cho/index.html
摩天楼はなぜ崩れた(2001.10.11)
http://www.avis.ne.jp/~cho/mate.html

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 結局、「設計工学」の専門の方も、大型航空機の衝突だけでは崩壊は説明できないということではなかろうか?

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