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Boeing767の操縦とハイジャックテロ 前田仁
Boeing767の操縦とハイジャックテロ
執筆:AIRDO 前田仁機長:2001年10月
雑誌「航空情報」の依頼によって前田機長が現役パイロットの視点で
事件を分析・考察した記事の原稿です。前田機長のご好意により、ならびに雑誌「航空情報」を刊行する酣燈社に許可をいただいて、ホーブンのウェブページにこれを先行掲載させていただくことができました。
1.一般
B767は1982年7月に米国で形式証明を取得した、いわゆる第四世代のジェット旅客機である。
経済性に優れ騒音が小さく2名で操縦できるように最新のデジタル技術を駆使したものである。 この技術により離陸から着陸までの操縦操作を自動化出来るようになった。
FMC(フライトマネージメントコンピューター)は、フライトディレクター「FD」(飛行監視装置)、オートパイロット「AP」(自動操縦装置)、オートスロットル「AT」(自動推力装置)へ情報を送り、バーチカルナビゲーション「VNAV」とラテラルナビゲーション「LNAV」を行う。
※VNAVは、垂直方向の航法を言う。 (最も燃料節減ができる上昇と降下飛行)
※LNAVは、出発空港のスポット〔駐機場〕から目的空港の使用滑走路迄の水平方向航法。
また、FMCは事前にWAY POINT(通過点)へ入力された条件(速度や高度)を忠実に通過すべく各システムを作動させていく。
このシステムを持つ航空機をハイテク機(EFIS機)と呼んでいる。
※ EFIS「イーフィース」(Electronic Flight Instrument System)
ADI(後述),HSI(後述),FMC(後述),ADC(エアーデータコンピューター),IRS(後述),FCU(フライトコンピューター)、ILS(計器着陸装置)やSG「シンボルゼネレーター」(HIS計に表示する印〔マーク〕をコンピューターが管理しているもの)などに電波高度計「RA」やレーダーなどのシステムから構成され、これらをFMCが処理してADIやHSIにビジュアル表示したものである。
別名「グラスコックッピット機」と呼ばれている。
これにはIRS(慣性航法システム≒カーナビに似ている)が不可欠で常時正確な位置を地上電波などで更新されていなければならない。
オートパイロット「AP」(自動操縦装置)は、離陸後200Ftの高度から着陸まで使用でき、AP,FD,ATが相互監視を続け、異常が発見されるとEICASメッセージを機械音声や信号音又は文字で表現し、パイロットが適切な処置を取る様に指示を出す。
※EICAS(Engine Indication & Crew Alerting System)はエンジンと全装置の異常監視装置。
一般的なフライトでは離陸後、自動操縦を作動させ着陸寸前まで、又は着陸までをAP、FD、ATに操縦を任せ、パイロットはこれらの装置が正常に作動している事を確認している事が多い。
当然上記のシステムの一部または全てをOFFにして、これらの操作を手動で操縦する事もできる。
この場合の操作はセスナ機などの小型飛行機とほぼ同様であるが、110〜160トンの機体重量が持つ慣性力をコントロールすること、また2基合わせて56トンのエンジン推力の調整による機体の姿勢変化、さらにHydraulic(油圧)で軽く作動する操縦措置等と小型機感覚で操縦すると姿勢、高度、速度等がオーバーコントロール(過修正)となり、最終的にはダッチロール(8の字蛇行飛行)になり難しい。
このハイテク機を手動で乗りこなすには、各システム、特にAP,AT,FD、FMC、EICAS、ADI、HSI(用語説明は後述)それとFMC航法、限界事項などのデータ処理を理解していないと、大型機の操縦に精通していても無理である。
また、B767とB757ではシステム的には98%までが同じモノを使用しているといわれ、大きく違いのあるところは胴体の太さぐらいで、パイロットの操作は全く同じで、操縦免許(FAA=連邦航空局)も同一である。
※ ADI(Attitude Director
Indication) 従来の水平儀(飛行機を遥か後ろから見た状態を表し、傾きや上昇降下姿勢を角度で読み取る事が出来る計器。バックに地平線と空が表示され、客観的に飛行している姿勢を見る事が出来る計器) をブラウン管表示したもの。
これにFDバー(棒)、電波高度計、ILS(計器着陸指示装置)、対地速度計、Slow/Fast
IND(FDが指示する速度との実速度の変位)、ウインドシャー回避バー、他機との衝突回避バーとAT、FDとAPで選択されているモード表示などの総合集合計器である。
※ HSI(Horizontal Situation Indicator) この計器はハイテク機の為に導入され、カーナビの飛行機版とも言える情報集合計器である。
飛行機を上空から見た状態を表し、△マークが自機の位置、星マークがWay Point(通過点)で、地点名と通過時刻が横に表示されている。
それを繋ぐマジェンタ(朱色)線がルートを表し、左右上部にはアクティブWay Point(直近の通過点)までの距離と所要時間が表示されている。
上部にあるTRK(方位)の数字は、飛行して行く方位を示し、外側円弧はコンパスである。
現在高度で吹いている風向風速を左下方に表し、これ以外にも周辺の飛行場や無線標識など飛行に必要な情報も表示する事ができる。
更にレーダーによる地形、雲それに雨域の映像やTCAS(衝突防止警報装置)からの他機の情報(位置、昇降率、危険度)も映る。
衝突の危険がある場合は他機の映像が白色、黄色そして朱色へと変わり、上部ADIに回避方向バーが表示され、これに従って回避する。
画面中央の点線円弧は、高度選択窓に入力された高度に到達する距離を表している。
自機マークから伸びる3本の線は、自機が進んでゆく方向で、1本の線が30秒後の位置を表し、旋回中は旋回方向へ曲がって表示さる。
また、これらの映像はFMC表示切替SWで10マイルから最大320マイルまで必要に応じ、レンジ(範囲)を拡大又は縮小表示ができる。
2.諸元
B767にはB767−200、−300、−300ER(長距離路線仕様)それに形式証明を取ったばかりの−400型まであり、ここでは−300型ERで説明してゆく。
−300ERの大きさは、幅47m、長さ55m、高さ16mほどあり、重量は110トン〜160トンと使用目的(短距離〔伊丹〜松山〕から長距離路線〔成田〜シドニー〕)により幅があり、長距離飛行の場合には機体重量の約35%が燃料の重さになる。
「一般」で説明したハイテクSystemには、其々3系統の独立した動力源と作動系統を持っており、1、又は2系統の故障が発生しても残る1系統で安全に飛行ができる。
また搭載エンジンもゼネラルゼネラルエレクトリック「GE」、プラット&ホイットニー「P&W」とロールスロイス製のものが選択できるが、ここではGEエンジンで説明する。
GEエンジンでも推力22〜28トン迄のものを運航会社のニーズに合わせて選べるようになっている。
また、このエンジンはFADIC「ファディック」システムで、乱暴な操作をしても出力は直線的に変化(デジタル化)してエンジンが壊れたりする事は無い。
※FADIC=スラストレバーの動きを電気信号に変換し、コンピューターを通してコントロールしている。
ジェット戦闘機から来た技術で、空中戦でエンジン限界を超える事をパイロットが無配慮で操作できる為に開発されたものである。
運用高度は、海面下1000Ftから43100Ftまで飛行ができ、この上昇限度高度は機体構造の強度によって許容されている。
機外大気の圧力と機内圧力(与圧)の差圧に耐えられる強度(=高度)で制限されることである。
飛行速度は、約100Kt「ノット」(180Km/h)から音速の93%「マッハ=0.93」(約1000Km/h)迄と範囲は広く、巡航速度は530Kt(850Km/h)からマッハ.80と、高度によってKtとマッハを使い分ける。
低速域ではフラップ使用で飛行し、機体重量と外気温度により15%ほど最小速度は変化する。
高速域では、フラップやスピードブレーキを使用しないで、高々度であること等と制限される。
※ フラップは翼の後縁を下へ折り曲げる様に下げ、翼断面の形を変えることで、低速飛行を可能にした高揚力装置(抵抗大)である。
これを下げると空気抵抗が増える為、高速飛行(翼内に収納される)では不要であり、離着陸時だけ使う装置と考えてよい。
又、翼前縁も下へ折り曲げるスラット(フラップの一種)も兼ね備え、更に低速飛行ができる。
各種警報感知装置には、火災、煙、温度、圧力などの監視と警報装置、機上レーダーとGPWS(地表接近警報装置)、TCAS(空中衝突警報装置)、ウインドシャー(地表付近の突風)警報装置などを装備していて内部、機外からの事故要因を音声や警報音で表現して事故防止をしている。
これらの情報もADIやHSIに表示させ総合的にEFIS機能として役立たせている。 ウエザーミニマム(着陸気象条件)は、CAT?。−Bまで許容されている。
これは、地上視程≒RVR(光学式視程観測機)は50m以上、着陸決心高度「DH」は100Ft未満で、盲目着陸に近い値である。
キャビン(客室)は、3クラス(ファースト、ビジネスとエコノミー)仕様の180席からモノクラスの351席までと各種バリエーションが選択できる。
3.コックピットのレイアウト
操縦室には、前方に向かって左側に機長、右側に副操縦士が座り、彼らの後ろに2席のジャンプシート(補助席)が用意されている。
オーバーヘッドパネル(天井)には、油圧、電気、燃料、与圧、空調などの調整装置とIRS(慣性航法装置)、ボイスレコーダー(音声記憶装置)、APU(補助動力ジェットエンジン)の始動スイッチ「SW」、ワイパーSW、ライトSW、EVAC(非常脱出指示)SW、燃料放出SW、防氷調整SW、エンジン始動SW、操縦室ドアー開錠電磁キーやインターフォーン選択SWなどが配置されている。グレアーシールド(前方窓下の棚)手前にFD、ATとAPの選択SW類があり、両側にVOR(超短波全方向式無線標識)の受信機が配置されている。
両パイロットの正面には飛行に必要な計器が同じ配列で、それぞれ並んでいる。
左側に速度計とRDDMI(コンパスと方向探知機)、中央にハイテク機の象徴であるADIとHSI、右側に高度計、昇降計と時計が配置されている。
予備飛行計器、各種警報ランプと自動ブレーキ選択SWが機長の飛行計器の右側に並べられ、中央には2台のEICASが上下に配置されている。
副操側にはフラップ角度表示計、ランディンギヤー「LG」(車輪)操作レバー、エンジン出力選択SW、代替フラップ操作SW、代替LG操作SWとブレーキ圧力計が飛行計器の左側に配置されている。
コントロールスタンド(機長と副操席の間にある台)には、前方左右にFMC表示器と入力テンキーが、スタンド中央にスラストレバーが2本、このレバーの左右端にATのOFF SWが隠れており、スラストレバー前方にはそれぞれのリバース(逆噴射)レバーが付いている。
その左側にスピードブレーキレバー「SB」、右側にフラップ操作レバー、手前に燃料SWが2個、左右端にはFMC表示選択SWがそれぞれにあり、機長側のみにパーキングブレーキレバーが配置されている。
更にスタンド後方には、各エンジンとAPUの火災警報器と消化ボタン、レーダー操作パネル、VHF(超短波)無線機、マイク切り替えSW、ATCトランスポンダー(自機の飛行情報を発射する装置)パネル、ラダ−(方向舵)とエルロン(補助翼)のトリム(釣合い舵)SWが配置されている。
※通常の運用でATCトランスポンダーは、地上管制官のレーダーと他機の機上の レーダーに自機の情報を発信しているが、非常時(ハイジャック、無線器の故障〔None
Radio〕それと緊急時〔墜落を予想する場合など〕)には、特別な数字を入れて管制機関へ知らせる事が出来る装置。
またACARS「エイカース」(人工衛星を経由して会社と飛行機間で情報をやり取りできる小型ファクシミリのような物)が配置されている。
操縦装置は、小型機と同様なものでコントロールホイール「CW」(ハンドル形式)とラダ−ペタル(方向舵ペタル)があり、機長、副操どちらからでも操縦できる。
CWには、エレベーター(昇降舵)トリムSWとAPの切断SWが機長、副操それぞれについている。
ラダ−ペタルの上部を踏むと該当する側の車輪(4個)にブレーキがかかるようになっている。
また左右のサイドウォール(壁)には、ステアリングハンドル(地上滑走する際、前輪を曲げるハンドル)と酸素マスク収納箱がそれぞれに付いている。
4.FMCのセット(千歳から那覇の中距離を想定)
通常飛行機はホット状態(機体に電源がAPUで供給されている状態)である。
IRSに自機の位置を記憶させるため、飛行場のID(認識符号)[RJCC]sをテンキーで打つと、SCRATCH PAD LINEに[RJCC]と文字が書かれる。
REF AIRPORT_____とある左横側のLINE SELECT KEYを押すことで、出発飛行場がREF
AIRPORTに入り、IRSは[千歳]にいると認識する。 次にスポット15番を同様にテンキーで[15]と打ちスクラッチパッドへ書き込み、これをSpot
NO_____と書いてある左横のボタンを選び同様に入力する。 IRSは北緯、東経の位置「N42 47.4 E141
40.9」(北緯42度47分40秒、東経141度・・・)を自動記憶する。 (この精度は5m以内で、飛行機が停止状態でもIRS航法は、すでに始まっている)
続いて目的飛行場を入力するが、これは会社ルートとして予めデータにあるので略号で入力する。
[CCAH1](千歳−那覇のNo1路線)と書きROUTE____横のボタンを押すと、ルートが確定する。
計器出発方式を同様にDEPページを選び、[TOB-5](トビ5出発方式)を選ぶと[ACT= TOB-5 ]と表示が変わり、選択された事が分かる。
ゼロ燃料重量(飛行機重量、全乗客乗務員、搭載貨物と全てのオイルを足した重量をいう。燃料だけが搭載されていない重量)〔ここでは235000Lbsと仮定〕を[235.0]と100ポンド単位で同様にスクラッチパッドへ書き込み、ZERO
FUEL____へ入れる。 ・・・と実搭載燃料(実際にタンクに入っている量)とZERO FUEL重量を合わせてTake Off Weight "293,000"
Lbs(ポンド)と離陸重量を出してくれる。
離陸性能表を開き、29万5千ポンド(5千単位)のページからV1(離陸決心速度),VR(機首上げ速度)とV2(安全離陸速度)の速度を選び、この数字を速度計周囲に付いている白色マーカー爪をずらして、V1,VRとV2速度を印(しるし)する。
そして巡航高度(35,000Ft)をCROUSE ALT____欄に[35](1000Ft単位)と入力する。
これでFMCは、最も経済的な速度とエンジン出力で飛行してゆくプランを優先選択する。
もちろん、任意の地点の除外や追加もでき、ある地点の通過速度や高度も変更することもできる。 エンジン出力も自由なものを選択可能である。
巡航高度35000Ftを高度選択窓にダイヤルを回し、[35000]と表示させる。 (この高度になると、自動的に水平飛行となる)
※ V1(離陸決心速度)は、飛行機の重量と滑走路状態(乾燥、湿潤、雪、氷結など)によって変化する。(91〜150Kt〔166〜273Km/h〕)
※ VR(機首上げ速度)は、重量によってのみ変化する。 (122〜152Kt〔222〜277Km/h〕)
※ V2(安全離陸速度)も重量によってのみ変化する。(125〜156Kt〔228〜285Km/h〕)
5.エンジン始動
オーバーヘッドパネルにある油圧SWを全てON、FUEL(燃料)ポンプSW全てON、エアコンのPACK SWをOFFにして、中央にあるエンジンスタートSWの右側をGND位置にする。(通常右エンジンから始動)
これでエンジンは回転を始め、EICAS計器下側にある「N2回転計」が20%以上になったら、右側の燃料SWを「RUN位置」へ上げると、コンピューターがエンジンを自動でかけてくれる。
スタートSWが自動的に切れ、エンジンがアイドルで安定したら反対側の左エンジンも同様に始動する。
エンジンの始動か終ったらAPUのSWをOFF、PACK (空気)SWをAUTO、空調パネルにあるISLN(アイソレーション)SWを左右ともOFF(押す)にする。
飛行機の節目節目の操作については、すべてチェックリストがグレアーシールド上部のポケットに備えてあり、これに沿って操作してゆけば抜けが無く安全な運航ができるようになっている。
ここでは、始動前に[Before Engine Start]を、そして[After Engine Start]チェックリストを行えばよい。
6.地上滑走(タクシー)
前方に障害物がない事を確かめ、左右のラダ−上部(つま先)を踏むとパーキングブレーキが外れる。
アイドルのエンジン推力でも飛行機は静かに動き出し徐々に加速してゆき、ほって置くと60Km/h程になる。
速度の調節はつま先のブレーキを踏むことで行い、方向の変更はラダ−ペタルを踏む事で出来るが、これだと前輪は左右7度までの変位で、大きなカーブは曲がれない。
この場合はサイドウォールにあるステアリングレバーをまわすことで、最小旋回半径22mの急旋回ができる。 この操作でタクシーをして滑走路に進入してゆく。
ここで、CW(操縦桿)中央に貼ってある[Before
Take-off]チェックリストを行うと、フラップ5度を確認するようになっているので、フラップレバーを引き、5度位置に動かす。
7.離陸
滑走路センターラインに真直ぐに乗った所で、スラストレバーを半分まで前方へ出すと機は加速してゆく。
EICAS計のN1「エヌワン」(最前方のファンブレード回転計)が70%まであがり、落ちついたらのグレアーシールドにあるN1 SW(SWライト=作動していると点灯する)を押す。
この時ADI左下に[N1]の文字が表示される。 ファディックエンジンはコンピューター制御で所定の離陸推力まで加速され、機はどんどん加速してゆく。
ラダ−で方向のずれを細かく修正し、速度計がV1を過ぎVRになったら操縦桿を後ろへ引き始める。
一秒間に2,3センチづつ引いてゆく感じ、すぐにV2になるが、この時ADIで機首角度を12度まで上げる様にする。(10度を過ぎると離陸する)
離陸したら更にADIで機首角度を18度まで上げて、この姿勢を維持する。 ここでLG(車輪)レバーを手前に引いて上へ動かす。
油圧でLGが格納されたことは、レバー上部にある3個のグリーンライトが消灯する事で確認できる。
高度200Ftで、自動操縦SWの[C](中央)を押しライトが点灯する事を確認、そして操縦桿から手を離す。(ADI右下に[CMD]文字が表示される)
高度500FTで、L NAV SWを押しライトが点灯したら、飛行機は地上で選択した出発方式のコースと上昇地点の条件を忠実に守って飛んでゆく。
この時ADI右下に[LNAV]文字が緑で表示される。 またCWに貼ってある[After Takeoff]チェックリストもこの時期に行うと良い。
(上記操作の再確認)
8.上昇飛行(半自動操縦飛行は、下線で述べる)
高度1500Ftを過ぎたら、FLCH(フライトレベルチェンジ)SWを押してやると、これにライトが点灯しエンジン出力は離陸から上昇パワーに変更される。
飛行機は機首角度を少し下げて加速してゆく。 この時ADI左下の[T/O](離陸)の文字が消えて、[FLCH]の文字が緑色で表示される。
速度計が190Kt(ノット)になったらフラップを1度のディテント(刻み)位置に、機速が210Ktになったらフラップをアップ ディテント(ゼロ位置)にする。
高度計が3000Ftで、V NAV SWを押す。 ここでもADI左下の[FLCH]が消えて、そこに[VNAV]の文字が緑色で表示される。
あとは全て最終進入コースまでFMCが、上昇、水平飛行と操縦し、エンジン出力も自動調整してくれるので、何もする事がない。
a.任意の方向行きたい場合(HDGモード)方位選択ダイヤルの頭にあるボタンを押すと、L NAVライトが消灯し、方位選択窓に現在の方位が表示される。(001から360度の磁方位)
ダイヤルを回し数字を変えると飛行機は、この窓に表示された数字(方位)まで旋回し、その方向へ飛行してゆく。 この時ADI右下の[LNAV]文字が消え、[HDG
SEL]の文字が緑で表示され、HDG「ヘディング」(方位)モードで飛んでいる事が分かる。
b.任意の上昇率を選択する場合(V/Sモード) V/S「Vertical
Speed」SWを押すと、VNAVライトが消灯し、昇降率選択窓にその時の上昇率が数字(Ft/Minute)で表示される。
選択窓下のダイヤルを回すことで数字が変わり、この数字の上昇率で高度選択窓にある高度まで昇ってゆき水平飛行になる。
c.任意の速度で上昇したい場合(SPDモード)
V/Sモードを選択していると、速度選択窓「IAS/Mach」(速度とマッハ)に現在の速度が表示されている。何もしなければその速度を維持してゆく。
窓下のダイヤルを回し数字を変えると、表示された速度で上昇を続ける。
これらの左側にあるSELボタンを押すと、その押された時の速度に対応したMach(マッハ)数が表示され、ダイヤルで選んだマッハで上昇してゆく。
d.V/Sモードの補足説明 このV/Sモードは、SPDモードと併用使用であるが、上昇ではV/S(上昇率)が優先される。
適度の上昇率だと速度は維持できるが、過大な上昇率を入れると減速を始め、失速速度まで減速してゆく。
この場合、失速速度に近づくと失速警報がADIとEICASに表示され、失速警報も鳴り出す。 これはエンジン出力が無限大ではない為である。
ここでもADI左下の[VNAV]文字が消えて、[V/S]と[SPD]の文字が緑色で2段表示される。
e.元に戻す場合(LNAV、VNAVへ戻す)
これらの操作は、FMCの選択した飛行コースや経済性のある上昇率を任意に変更した事であり、再度LNAVやVNAVボタンを選択することで、FMCの推奨するコースや上昇率へ徐々に戻ってゆく。
9.水平飛行
地上で入力されたコースを飛行する場合、全てがFMC任せで問題ないが、目的地の変更や飛行コースの変更をするには、FMCで変更する。
FMCは再計算で最適高度、速度や降下開始点をHSIに表示し、そのデータで飛んでくれる。
a.任意の方向へ行きたい場合(HDGモード) 上昇で説明したHDGモードを使う事で外を見ながら目的の方向へ飛行してゆける。
方位選択ダイヤルの外側についているつまみを回すことで、BANK LIMIT(傾き制限)をAUTOから5度単位で25度まで選ぶ事ができる。
AUTO位置を選択していると、時速250Kt以下では傾き25度の旋回、速度が早くなると反比例で傾きは小さくなって、旋回による重力(G)の増大を軽減している。
このダイヤル下側にあるHOLD SWは、LNAVやHDGモードで旋回中に旋回を中止させ、押された時の方位を維持する為のボタンである。
b.飛行速度を変更したい場合(SPDモード)
SPDモードボタンを押す、または速度調整ダイヤルを押し込む事で速度選択窓に現在のマッハ数が現れ、ダイヤルで任意の数字を選ぶ事でFMCが選択していた最適速度を任意の速度(マッハ)に変更できる。
FMCが選んだ速度と昇降率で飛行している時には、IAS/MACH窓とVERT SPD窓はブランク(ブラックマスクで表示なし)となっている。
10.降下飛行
TD「Top of
Descent」(降下開始点)とは、降下終了点(ILS進入開始地点)からFMCが上空の風や通過地点の条件(高度と速度)を満足するプロファイル(断面図)で逆算して、巡航高度に当たった地点をいう。
このTD点の3分前になると、FMCはEICASとFMCに降下開始を促すメッセージを表示する。
降下目標高度(通常はILSの最終高度)を高度選択窓へダイヤルをまわして入れると、FMCはTDから自動的にエンジンを絞り降下を始め、プロファイルに沿う様に降下率とエンジン調整をしてゆく。
TD点の手前や通過後に降下を開始した場合も、FMCはエンジンや降下速度を調整してFMCのプロファイルに近づけてゆくプロセスになっている。
まれに気象条件が変わりプロファイルより高度が高くなった場合には、“DRAG REQUIRED”(抵抗が必要)とEICASにメッセージが出る。
SB(スピードブレーキ)レバーを引き抵抗を増やす。 メッセージが消えたら(FMCのプロファイルに乗った事である)、SBレバーを元に戻す。
自動着陸後の制動強度を自動ブレーキSWで選択する。 (通常強度は、1〜3を選ぶ)
あとはCWに貼ってある[Approach]チェックリストを済ませれば、ILSアプローチまで何もする事が無い。
a.任意の方向への飛行(HDGモード) 上昇、水平飛行の場合と同様である.
b.任意の降下率で降下したい場合(V/Sモード) V/S SWを押すと、VNAVライトが消灯し、VERT SPD窓に現在の降下率が表示される。
下のダイヤルを回すことで窓内の数字が変わり、この数字の降下率で高度選択窓にある高度まで降りてゆく。
c.任意の速度で降下したい場合(SPDモード) V/Sモードを選択した後は上昇時と同様である。
d.V/Sモードの補足説明 降下のV/SモードもSPDモードと併用使用である。
降下もV/S(降下率)が優先されSPDにはプロテクト(保護装置)がかかっていない。
ここでも降下率を大きく選ぶと、速度は降下率を優先する為、加速してゆくプロセスである。
e.速度優先で降下をする場合(FLCHモード)
FLCHを選択する。このモードはエンジンアイドルで速度選定窓にある速度を維持して降下してゆくロジックになっている。(降下率は一定でない)
任意の速度を選択する事で、アイドルのまま高度選択窓まで降下してゆく。 速度選択窓の数字(速度)を大きく選定すると降下率は大きくなり、逆は小さくなる。
11.アプローチから着陸
ILS(計器着陸方式)の進入高度になるとFMCにより飛行機は自動的に水平飛行に移る。
ここでコントロールスタンド中央にあるILSラジオで着陸滑走路のILS周波数をセットし、グレアーシールド右にあるAPP(アプローチ)ボタンと、APの[L](レフト)、[C](センター)と[R](ライト)と3個あるボタンを全て押す。(3個ともライトが点灯する)
自動着陸には2個以上のAPが必要な為である。
ADI下部に[GS]「グライドスロープ」と[LLC]「ローカライザー」の文字が白色で表示され、APPモードのアーミング(準備)ができた事が分かる。
※ILS着陸システムは、接地点から3度の角度で上空へ発射されている電波「GS」と、滑走路中心に沿って真直ぐに発射されている電波「LLC」の交点(電波が交わった所)を伝わってゆく、地上施設と機上装置の組合せたものである。
これにより濃い霧の中でも安全着陸ができる。 P7の速度選択窓の数字を210にセットし、速度が250Ktを切ったら、フラップを1度にセットする。
速度計が210Ktに減ったら、速度選択窓の数字を190にして、フラップを5度にセットする。
飛行機がLLC電波の3度以内に入ると、この電波をキャプチャー(捕捉)する。 ADI下部の[LLC]文字は緑色に変わって飛行機は、滑走路中心へ向かってゆく。
次にGSの電波に近づくと、ADI計器右にあるスケールに△ポイターが現れ少しずつ下にさがってくる。
1DOT(一目盛り)まで下がったところでLGをおろし、SB(スピードブレーキ)レバーを持ち上げて少し後ろに置く。 (“凹み”ダウンディテントから外す意味)
LGレバーを下側へ操作すると3本の車輪は全て下がり、ロックされた事がレバー上部の緑ランプ3個が点灯する事で確認できる。
つかさず速度選択窓へ170を入れて、フラップを20度にセットする。
GSの△マークがスケールの真中へ来ると、ADI左下の[GS]文字が緑色に変わりGS電波をキャプチャーした事が分かる。 飛行機は、3度の電波に乗って降下してゆく。
ここでフラップを30度にセットして、速度選択窓へ130を入れると、エンジンはこの速度まで減速させるようにスラスト(推力)を絞ってゆく。
バーチカル(垂直面)では、GS(グライドスロープ)3度のパス上を速度130Ktで降下飛行すべくエンジン調整をおこない、着地点に向かって降下してゆく。
ラテラル(水平面)は、横風があっても滑走路中心線の延長上を忠実に飛行してゆく。 着陸までの間にCWに張ってある[Landing]チェックリストを実施する。
(上記操作の再確認) RA「Radio
Altimeter」(電波高度計)が100Ftになると、機種上げの為のアップトリムが始まり、RAが50Ftからフレアー(着陸時の機首上げ)が始まり、RAが15Ftでエンジンはアイドルに絞られる。
RAが5Ftになると、ロールアウト(引き起こし)と横風修正操作が始まり飛行機はスムースに着陸する。
半自動着陸と完全手動着陸
上記アプローチから着陸までを半自動または手動で行うには、ベテラン機長でも難しい範囲である為、文章で説明しただけで出来るものではない。
したがって読者には、上記「11.アプローチから着陸」の完全自動着陸を推奨する。
12.着陸から駐機
飛行機が着陸するとSBレバーが自動的に後ろへ動き、主翼上の12枚のSB板が油圧で立ち上がり、空気抵抗による制動効率を高めてくれる。
接地後2本のリバース(逆噴射)レバーを引き上げる事で、ATは自動的アイドル位置で切れてしまう。
自動ブレーキは、始めは柔らかく徐々に選択されたブレーキ強度までかかり、スムースな減速が始まる。
ここでリバースをレバーが止まる所まで引き上げるとリバーススラスト(逆噴射)が最大となる。
このリバースの減速効果分だけ車輪ブレーキの油圧が自動的に減圧され、飛行機は自動ブレーキ選択SWで選んだ減速率(強度)となる。
APは、センターラインをキープしているので、そのままにしておく。 (速度がタクシースピードになるまで)
タクシースピードまで減速したらラダ−先端のフート(足)ブレーキを少し踏むか、自動ブレーキ選択SWをOFFにすると自動ブレーキが外れる。
ここでCW(操縦桿)にあるAP切断SWボタンを押してAPを切断する。 (これで、飛行機は自由になった)
ラダ−またはステアリングハンドルを切って滑走路から出て、誘導路を通り駐機場へ進んでゆく。
タクシー中に中央にあるAPU(補助動力エンジン)SWをスタート位置にすると、約1分で使用可能状態になる。(エンジンを止めても電源を確保する為)
13.駐機
タクシー後所定の場所に停止し、ラダ−ペタル上部のブレーキを踏み込んだ状態でパーキングブレーキレバーを引くと、飛行機は動かなくなる。
コントロールスタンドにある燃料SWの両方下側へ切るとエンジンは停止し、エアコンや電源は自動的に切り替わりAPUから供給される。
あとは「5.エンジン始動」の逆の操作を行えば良い。
14.一般的パイロットのB767操縦訓練
B767の限定変更訓練に投入されるパイロットの資質は、事業用操縦士、マルチエンジン(双発以上)資格、計器飛行証明資格を持っていることが最低条件である。
a.GS(座学) B767の各システムを理解する為のGSを約1ヶ月半CRT(視聴覚装置)で行う。
機体、電気、油圧・・などシステムごとにまとめられているCDをコンピューターに入れ、画面とレシーバーから流れる解説を聞き勉強する。
内容は写真、図面、系統図、更にそれらが作動して変化してゆく状態をアニメ化したもの等である。
理解できない場合のみ、教官を呼んで説明を受けるセルフスタディー方式である。 各システムの最後にテスト問題があり、80点以上取れないと次ぎのシステムへ進めない。
CDは、何度でも再生できるがテストは1回だけの再生でお終いである。不合格の場合は教官へ申し出ると、再試験が出来る。 (・・・が恥ずかしい)
b.FBS(システムトレーナー)訓練(2週間)
システムトレーナー(計器、SW,レバー、表示ランプなどが実際と同じ作動や表示をする)装置を使い座学で学んだ内容を実際に操作する訓練。
通常のエンジン始動、代替操作から緊急時のSWワーク(操作)までを学ぶ。
c.FMCトレーナー (1週間)
FMCトレーナー装置といい、FMC表示器、入力テンキーパッド、これらに連動されたコンピューターそれとFMCモニター(TV画面にルートや飛行場が表示され、ミニチュア飛行機が画面上を動いてゆくもの)を使ってFMC操作に精通する訓練。
FMCの通常入力方、応用オペレーションそれに故障時の対処方法を学ぶ。
d.FFS(シミュレーター)訓練(30時間=1ヵ月半) フライトシミュレーターを使い通常飛行と異常運航からの回復操作などを訓練する。
※FFSは、95%実機と同じ操縦感覚、体感を実現させた装置で、実機で出来ない危険な状態や操作を訓練(体験)できる装置。
この訓練が終ると、別枠で航空局のB767限定変更の実地試験がFFSでセットされている。
e.ローカル訓練(実機訓練) (6時間=1週間) 訓練所が航空局の指定養成施設の許可を持っていないと実機試験もしなければならない。
本物のB767を使い、エアポートワーク(場周飛行)でタッチアンドゴー(離着陸)の訓練を受ける。
f.ラインOJT(見習)GS (10〜12日間) 航空会社が持っている全路線と使用する空港についての知識や特性などを学ぶ。
g.ラインOJT (80〜120着陸=2ヶ月) お客様を乗せて飛ぶ実路線の飛行機に、機長、副操それに「見習い操縦士」の3名編成で乗務し、副操見習訓練を受ける。
正規の副操はジャンプシートで各操作の監視業務をして、何かあれば見習と交代する。 ここでは航空局の試験は無い。(社内資格)
会社試験官が合格を出すと、初めて正規の副操縦士として発令され、乗務ができるようになる。 最初のGSから正規の副操として乗務するまでに、最短でも半年間はかかる。
15.航空テロ犯人達の操縦技術
想像であるが、今回のハイジャック&自爆テロ事件の犯人達の操縦技術には、事前にかなりの訓練が行われていたと思われる。
この本文を読んだ読者の方も、なまじな操縦技術(小型機の操縦資格)でB767を飛ばすことが難しい事を認識したはずである。
それは、ハイジャックが行われた際それぞれ、かなりの高空にあったと思われ、飛行機の全システムは自動操縦で西海岸へ向かっていたからである。
2機は、マンハッタンの貿易センタービル(WTC)に、3機目はワシントン州にあるペンタゴン(国防省)に、4機目はホワイトハウスかキャンプデービットへ向かう途中で、ピッツバーグの森に墜落したのある。
ここで、当日のハイジャック機の航跡を検証し、彼らがどんな操作(操縦)をしたか想定してみる。
ハイジャック4機の飛行経過(米国誌[FLIGHT]より)
4機のトランスポンダーは、航空交通管制機関のハイジャック機の航跡を突きとめられるのを防ぐ為スイッチは切られていた。
アメリカン航空11便とユナイテッド航空175便の両機は、ロサンジェルス行きのボーイング767で、ボストンのローガン空港をそれぞれ現地時間7時59分と7時58分の1分以内の間隔で離陸した。
FAA航空管制機関のコントローラーによると、それら両機は初め北東の方角へ向かい、ある時点でぶつかるほど近づいたという。
この奇妙な行動はハイジャックされた後の飛行航跡ではないかとワシントンポストに報告している。 ハイジャックは離陸後早い時期に行われたと考えられる。
アメリカン航空11便のトランスポンダーは、機体がニューヨークにコースを変えたときスイッチを切られたが、主要なレーダー上では依然として見えていた。
時折パイロットが無線スイッチを押したままで、ハイジャック犯達の会話を送信していた。
これを聞いた管制官はハイジャックであることを知り、警備サービスに警報を出した。
これらの会話の中でハイジャック犯は「馬鹿なまねをしなければ、誰も傷つくことは無い」などの会話もあった。
機体は南に向かい、ニューヨーク世界貿易センタービル(WTC)のノースタワーに8時45分に衝突した。
81人の乗客と11人のクルーを乗せたLA行きアメリカン航空11便は南に方向を変え、8時45分に世界貿易センタービルノースタワーに衝突した。
(7時59分〜8時45分 飛行時間=46分)
ユナイテッド175便も正常に飛行しておらず、ハイジャック犯達はことによると全て、あるいは殆どのフライトの間、少なくとも一人のユナイテッド航空のパイロットを席に着かせたままにしていたように思われる。
最初の機体がWTCに衝突したのを知っていた管制官は、ユナイテッド175便も同じような状態(ハイジャック)であることを理解できなかった。
南西の方向に進みニューヨークを通過し、そして北東に進路を変えて9時5分にWTCサウスタワーに衝突した。
衝突の直前(最後の数秒)左にバンク(傾けて)してタワーに突っ込んだ。
56人の乗客と9人のクルーを乗せたLA行きユナイテッド175便は南に方向を変え、9時5分に世界貿易センタービルサウスタワーに衝突した。
(7時58分〜9時05分飛行時間=1時間07分) 8時01分にユナイテッド航空93便は離陸した。
ニューヨークのニューワーク空港からサンフランシスコ行きのボーイング757であった。 初めは南に、それから機体は約1時間西に向かってから、東へ進路を変えた。
ワシントンDCに向かうコース変更は、首都やホワイトハウスを刺激し、それら職員を避難させた。
2時間の飛行の間に乗客や乗務員からの携帯電話よって機内の様子が伝えられた。 両パイロットとキャビンクルーは、乗客と共に機体の後部で監視下に置かれていた。
また、乗客の間で生き残るための最良の機会をうかがっていたことも知ることが出来た。 スクランブルのF−16戦闘機は、飛行の後半部分でハイジャック機を尾行していた。
機体は急角度でピッツバーグの南東郊外に10時10分に墜落した。
この墜落は、犯人達が本当に意図したことであったかどうかについてはまだ何も手がかりが見つかっていない。
B757、乗客38人と7人のクルーを乗せたサンフランシスコ行きユナイテッド93便は、ピッツバーグからおよそ80キロ離れたジョンズタウン近くの地面に10時10分に墜落した。
(8時01分〜10時10分 飛行時間2時間9分)
8時10分、もう一つの757であるアメリカン航空77便は、ハイジャックの最終ターゲットとなったペンタゴン西方約50キロしか離れていないワシントンダラス空港を離陸した。
機体はその予定目的地であるLAへと西に向かったが、それから東へ進路を変えレーダーから消え去った。
しかしそれがトランスポンダーのスイッチが切れた事によるのか、低空飛行したことによるのかどうかは明らかではない。
機体はワシントンDCからポトマック川を越え、ペンタゴンに9時40分に墜落した。
乗客58人と6人のクルーを乗せたLA行きアメリカン77便は引き返し、9時40分にペンタゴンに墜落した。 (8時10分〜9時40分 飛行時間=1時間30分)
彼らがハイジャック後、高度を処理し正確に自爆させた事を考えると、次ぎのことが考えられる。
1. 当日の天候を配慮していたか?
a.衛星TV画像ではニューヨークの天候は快晴のようであったが、ハイジャックを実行(成功)した高度(地点)からマンハッタンまたはワシントンまでの間に雲が無かったのだろうか?
b.彼らは、前もって予約していたと考えられる。
c.計画段階で、当日の天候が雨や雲が低く垂れ込め視程が悪い事も考えていたはずである。
2. 目標(WTC)までの操縦操作は?
a.全機が晴天で有視界状態の場合 (ATとAPを外し、エンジンを絞り手動操縦の降下で目標へ向かう事を想定する)
この場合、付近の地理に精通していなければならないが、彼らにその知識はないと思われる。
ボストン、ニューヨークの距離は、300Km(東京〜名古屋)程あり、VFR(有視界飛行方式)で飛行するのは至難の技である。
遠距離の高高度から手動でWTCへ迷わずに進入してゆく事は、プロの機長でも困難である。 また、高度の処理も難しく、少々の訓練では大型機をコントロールできない。
b.視程障害(雲など)があった場合 プロでも目標まで飛行する事は出来ない。
あれほど正確な飛行経路を飛ぶには、彼らはハイジャック後FMCへ予め用意されていた複数の通過地点を入力し、それらに通過速度と高度をインプットしたと考えられる。
LNAV誤差は1時間以内の飛行で、わずか10m以下である。 最後の修正のみを手動にする事でよい。
(2機目は衝突直前に手動操縦で飛行コースを修正した感が見られる)
3. 結論(状況から推測したものである)
ハイジャック犯達は、B767のシミュレーター訓練を充分に行ってきた。 この訓練の中でFMC操作とビジュアル装置を使い、手動でビルに衝突する訓練を繰り返していた。
※
ビジュアル装置=操縦室から見える景色は、地形をコンピューター処理して前方や左右のスクリーンへ投影して見る事ができ、本物の飛行機から見ている地形変化とまったく同じである。
シミュレーターに羽田空港をセットして、北へ向かって離陸すると、正面に東京の町並みが見え、その先に東京タワー、霞ヶ関ビルや東京ドームが見えてくる。
東京タワー向かって飛んでゆき、タワーに近づくと次第に大きくなり赤い鉄骨までが見えてくる。これに衝突するとシミュレーター電源が切れて飛行機が墜落した事となる。
航空会社のシミュレーター教官達は、こんな事も遊びで体験している。
特にFMCの取り扱い訓練は、ラインパイロットと同じレベルになるまで行われたはずである。
一番機のFMCセットは、世界貿易センタービル(WTC)の8Kmほど北側の地点を[A]と命名して打ち込み、その位置を北緯と西経で入力する。
A地点の通過速度300Kt(ノット)、通過高度1000Ft(フィート)に飛行条件を入力する。
次にWTCの位置を[W]と言う地点名にし、同じく北緯、西経で入力し、W地点の速度300Kt、高度1000Ftと条件を入れる。
そして[LNAV]と[VNAV]のSWを押して終了。
一番機は、どこに居ても全自動でA地点に向かって降下を始め、ここを通過する時の条件を満足すべくエンジンと飛行機をコントロールして行く。
飛行機はA点を通過すると、次のW点へ進路を変え北側から高度1000FTでWTCへ向かって衝突してゆく。 (≒巡航ミサイルと同様な飛行をしてゆく)
(離陸後46分後に衝突)
2番機も同様にA点をWTC南側8km程に作り、W点(WTCビル)も同様に作る。
最終の飛行コース(A〜W間)で、WTCのわずか右側に行きそうになったので、APを外し手動で左バンクして衝突した。 (離陸後1時間7分後に衝突)
3番機も同様な2地点を入力していた。
A点の条件は前記の飛行機と同様で、2番目の地点[P]点(ペンタゴン)の高度条件のみを[0](ゼロ)Ftとする事で、5階建てのペンタゴン(国防省)へ突っ込んでいったのである。
(離陸後1時間30分後に衝突)
4番機の墜落については、あまりにも情報が少なすぎて(操縦室での乱闘が原因と言われているが・・・)これには疑問が残る。 これは飛行機部品が映像に写っていない。
どのような状態で墜落をしたとしても飛行機の部品が残るはずで、高速で地面に激突すれば、その破片は1Km以上に散らばるはずである。
LG(車輪)の支柱や焼け焦げたタイヤ、一番形を残すと言われている垂直尾翼、金属の塊であるエンジン、乗客が預けた手荷物の中のバッグや衣類、客席がばバラバラになっても原形をとどめるはずの座席クッション材(スポンジ)などが全く衛星画像で送られていないのである。
「映像を出せない」と考える事も出来る。 例えば、この4機目が墜落した時間は貿易センタービルに一番機が衝突してから、1時間25分も後である。
この時、スクランブルのF16戦闘機が4番機の後を飛んでいた情報が発表されている。
彼らの空対空ミサイルがハイジャック機に当たっていたとすると、B757は空中でバラバラとなり原形をとどめない形で地上に散乱するであろう。
9月26日「緊急時には、大統領の命令が無くともスクランブル機が重要施設へ向かう航空機を打ち落としても良い」との大統領令が発効された。
4. その他
ハイジャック犯達は、管制機関のレーダーにハイジャック警報が出ないようにトランスポンダーのスイッチを確実に切っていた。
WTCビルは110階建てで、高さが420m(1260ft)あり、2機のハイジャック機は85階付近へ突っ込んでいる。
この部分の高さは975FTであることから、FMCセット高度を1000Ftと推測した。
25Ftの高度誤差は、離陸したボストンとニューヨークの気圧差によるものと考えられれ、両空港の気圧が分かれば、これを証明できる。
また、GPWS(地表衝突警報装置)のMode-4Aが作動し、[TOO LOW TERRAIN](低すぎ!地面)の音声が衝突まで繰り返されていた筈である。
※Mode-4A=飛行機がクリーン状態(車輪やフラップが上がっている状態)で高度1000Ft以下を速度250Kt以上で飛行中に地面との距離を感知してパイロットに警告するモード。
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