★阿修羅♪ > アジア5 > 686.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060914i315.htm
民族アニメ育成も…中国「文化統制」宣言
【北京=杉山祐之】中国共産党・政府は、14日付の中国各紙などを通じ、第11次5か年計画(2006〜10年)期間中の文化政策の基本方針を定めた「文化発展計画綱要」を発表した。
その重要な柱は、社会主義の宣伝強化による党の求心力向上、自由主義世界の文化侵食への対抗だ。綱要は、社会の不安定化を恐れ、思想、言論の締め付けを強める胡錦濤政権が発した文化統制宣言と言える。
10章48項目からなる綱要は、理論、思想、道徳から、公共サービス、報道事業、文化産業に至るまで幅広く網羅している。その序文では、「我々は国際的競争で主導権を握らなければならない」とし、日米欧などと違う独自の文化大国を目指す姿勢を強調した。
指導方針では、「片方の手で繁栄をつかみ、片方の手でしっかり管理する」と強調、「先進的文化」や「健全で有益な文化」の発展をうたう一方、「腐った文化を防ぎ、国家の文化的安全を守る」とした。
具体的な政策では、共産党の宣伝と、胡氏の権威確立がセットになった措置が目立つ。青少年の理論学習運動は強化され、ネットを含む各メディアは理論面での「新しい成果」の宣伝を強める。胡氏が提唱した「八栄八恥」という道徳観は、小学校から大学までの教材に入り、家庭学習も行われる。
「社会に蓄積する民衆の不満と結び付きやすい民主的価値観に基づく言論への抑圧がますます強くなる」(知識人)のは必至だ。
報道機関に対しては、「党の主張を全面的に宣伝し、民衆の望みを正確にくみあげ、よい側面の宣伝を拡大」するよう求めた。新聞雑誌業界内の「調整」で、発行規模の適正化、党発行紙の普及拡大を図る。近年、中国報道界で徐々に進んできた市場化の流れに逆行しかねない内容と言える。
「綱要」はまた、「民族アニメ漫画産業」を大きく発展させるとした。日本のアニメ、漫画が青少年の心をつかんでいる状況を政治で変えようとするものだ。国家アニメ漫画産業基地、教学基地などを建設するプロジェクトを進め、「中国の風格を備え、国際的影響力もある」作品を生む力を付けることを目指す。
一方で「綱要」は、農村や都市部貧困層に対する文化面での公共サービス充実も強調している。博物館の無料開放、農村への書籍の提供、村での映画上映、テレビの視聴ができない地域を減らすことなどだ。
(2006年9月14日22時36分 読売新聞)