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9月14日付・読売社説(2) : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060913ig91.htm
[7か国世論調査]「アジアで高まる日本への期待」
東南アジアやインドでは、台頭する中国への関心が強まる一方で、日本への信頼度や期待感も確実に高まっている――。
読売新聞社が韓国日報社、ギャラップ・グループと共同で行った「アジア7か国世論調査」の結果は、日本の底力を映し出す興味深い内容となった。
調査は日韓両国に加えインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、インドで行われた。アジアの複数国での同時世論調査は1995年、96年に続き3回目、10年ぶりとなる。
過去10年の最大の変化である中国の台頭ぶりは世論調査にも鮮明に表れた。
中国に「良い印象」を持つ人はマレーシア、タイ、インドネシアで8割を超えた。「中国の発展が自国経済に与える影響」では、日韓を除くすべての国で「プラス」と見る人が多数を占めた。政治、経済の両面で中国との関係強化が進んでいる証しだろう。
将来の中国の影響力拡大も、自明と受け止められつつある。「今後、経済力も含めて、アジア地域に最も影響力を持つ国や地域」では、マレーシア、タイ、ベトナムなどが中国を筆頭にあげた。
「中国の台頭」と対の形で「日本の退潮」が指摘されるようになって久しい。今回の調査では、日本人の6割が「日本のアジアでの影響力は弱まっている」と自己診断を下した。
ところが、今回の世論調査で明らかになったのは、「退潮」ではなく、日本のアジア外交の基盤の厚さである。
日本の影響力については、日本を除き「強まっている」が多数を占めた。「日本がアジアの一員として積極的な役割を果たしている」との評価も、「大いに」「多少は」を合わせると、東南アジア各国はほぼ9割に達し、96年調査より6〜18ポイント増えた。インドも8割に達した。
日本への信頼度も、韓国を除く各国で「信頼できる」が、高率で並んだ。
国家建設や経済発展への協力といった日本が長年積み重ねてきた努力が、この地域の親日感情の土壌になっている、との認識が定着しつつある。
さらに、中国の台頭によって、経済を軸に密接な関係を築いてきた日本の役割の大きさや重要さを、各国が再認識する動きも出ている。
低い自己評価とは逆である。経済以外にも、テロや海賊対策、災害救助や感染症問題など、日本のリーダーシップに期待する分野は広がっている。
日本が積極的なアジア外交を展開する下地は、整いつつある。それを裏付けたのが今回の世論調査である。
(2006年9月14日1時28分 読売新聞)