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『日本沈没』 “韓客”殺到
「日本沈没」を上映するソウルの映画館
日本列島を襲う大惨事を衝撃的に描いた映画「日本沈没」(樋口真嗣監督)が八月三十一日、韓国で公開された。実写の日本映画としては過去最多の二百十四館で上映、興行成績でも首位に輝くなど好スタートを切った。「日本作品はヒットしない」とされる韓国で、多くの観客を集める理由は何か? 勢いは続き、日本映画のブームは到来する? (藤浪繁雄)
ソウルに住む日本人ジャーナリストの舞かな子さんによると、順調な動員を見せる「日本沈没」の上映館だが、韓国人観客の評価は、賛否まちまちという。
「コンピュータグラフィックス(CG)や特撮が素晴らしい」(25歳男性)、「話が平凡すぎて残念」(20代男性)などの意見のほか、「感動的ではあるが、やはり日本のことなので複雑。また他国の領土への野心を燃やさないだろうかと心配になる映画」(36歳主婦)といった独特の日本観もにじむ感想もあった。
舞さんは「韓国の映画ファンはレベルが高く、テーマや出演俳優よりも作品そのものの質に対するこだわりが強いようです」と分析する。
日本国内の配給権を持つ東宝によると、韓国では八月三十一日−九月三日の四日間で、約四十七万人の観客を動員。五週連続一位だった「グエムル/漢江の怪物」を抜き、興行成績の首位に立った。韓国で公開された日本映画としては初の快挙という。
上映館数の二百十四は、宮崎駿監督のアニメ「ハウルの動く城」の二百三十三館には及ばないが、実写としては史上最多。従来の記録「NANA」(昨年公開)の約百館を大幅に上回った。
日本作品の浸透度がまだ低い韓国にあって、「日本沈没」がこれだけ好調な理由は何なのか。
製作委員会に名を連ね、海外配給での窓口役を務めるTBSのコンテンツ事業部の新藤清徳さんは「交渉の段階から感触がよかった。“日本沈没”という題名のインパクトも大きいと思う」と語る。
具体的には、(1)韓国内で「チョナン・カン」として人気の草なぎ剛が主演。コミカルなイメージを破り、りりしくまじめな演技に徹している(2)予告編でも紹介された、高水準のCG(3)ストーリーの素晴らしさ−などを成功の要因に挙げる。反日感情については、「それだけではこの規模は成立しない。作品の完成度がまずありき」と否定する。
専門家はこの現象をどう見るか。
キネマ旬報映画総合研究所の掛尾良夫所長は「草なぎさんの主演はプラスだが、日本が沈む話は反日でなくても見たがるのでは」と分析。潜在的な興味をあおる内容のようでもある。好スタートを切った一方で、「評論家の評判もいまひとつで、大ヒットは期待されていないようです」とも指摘する。中山美穂と豊川悦史主演でヒットし、韓国映画にも影響を与えたとされる純愛作品「Love Letter」(1995年)の例はあるが、日本映画全般への関心はまだ低調で、本格的な受け入れムードには「まだ時間がかかる」(掛尾さん)という。
今年初め、ソウルの繁華街ミョンドンに日本映画の専門館がオープン。日本映画を買い付ける会社も出始め、にぎわいも見せてはいるが、大入り状態ではないようだ。
「韓国人の気質は自国映画好き。なかなか他国の映画に関心を示さない面もある。日本でも韓国映画はポピュラーになるまで時間がかかったし、ヒットしているのは一部の作品」と掛尾さんは冷静に見る。TBSの新藤さんも「今回は奇跡的な上映数。日本映画(全般)としては、まだ厳しいかもしれない」という。
「日本沈没」は香港や台湾でも公開されたほか、今後中国、東南アジア、欧州なども予定。年内に計十六カ国・地域で公開となる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20060906/mng_____hog_____000.shtml