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中国は文字獄の国であり、巧みに歌の中に権力批判を織り込んでいったりしてきたが、日本人はもっとゆとりのある立場で権力批判を展開してきたと思う。江戸時代になると、庶民の権力批判は川柳という形で巧みに展開され、幕府の弾圧を受けても、老中がいったん失脚すれば今度は石つぶてを投げるという形で割合日本の庶民は隣の中国や朝鮮と比べても、権力と丁々発止でやり合うことが多かったのではないか。ただ、明治維新で天皇中心の世の中になると、かえって権力批判の川柳もやりにくくなってきたのではないか。治安維持法制定後の昭和期になると、江戸的なあらゆるユーモアや遊びが許されなくなり、日本人の精神というものから権力に反抗的で遊びを重視する町人的な要素を排除され、従順で滅私奉公を重視する武士道的なものに収斂されていったように思う。こう考えると、徴兵制がなかった平安時代や江戸時代よりも近代の日本人の方が精神的には厳しく、余裕のないものを要求されていったように思う。「遊びをせんとやうまれけむ」と上皇が白拍子と遊び、権力の敷居が中国や朝鮮よりはるかに身近で低かったわが日本。しかし、維新後、戦前は天皇、戦後は企業にその精神は収斂されていき滅私奉公、「24時間闘えますか」となっていった。日本人は企業社会や軍国主義の呪縛から逃れて、もう一度平安時代や江戸時代を取り戻せるのだろうか?思えば、日本は騎馬民族に何度も蹂躙された隣の中国、朝鮮と比べ、思った以上に平和な時代が長く、思った以上に戦争をしていない。近代以後の影響で日本人=好戦的というイメージをもたれる人もいるかも知れないが、むしろ戦争していない方の民族なのだ。日本人は恵まれていた。戦後は徴兵制が廃止され、ベトナム戦争にも行かずに済んだ。この四海を海に囲まれた日本の幸福はいつまで続くのだろうか?