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"ツルネンメルマガNo:241
「北朝鮮への経済制裁は有効か?」
北朝鮮のミサイル発射をめぐる問題で、日米両国は国連安保理決議に制裁措置を含めることに固執してきた。日米の決議案に賛同する国もあったが、中国とロシアが最後まで反対し独自の決議案を作り、国際社会は北朝鮮のミサイル開発を中止させる手段に対して意見が分かれた。しかし16日、最終的には制裁措置の部分が削除された決議案が全会一致で可決された。
先日、私はスウェーデンのあるラジオ局からインタビユーを受けた。「日本はどうして制裁措置をそんなに強く要求しているのか?」というのが主な質問内容だった。「経済制裁で一番犠牲になるのは一般の市民ではないか。豊かな生活をしている独裁者の金正日総書記とその幹部には、制裁措置は効果がないのでは?」という記者の意見である。
このような声は北欧以外の諸国からも聞かれた。独裁者が支配する国では、ミサイル開発は確かに脅威である。もしも北朝鮮が本当に核兵器を持つようになれば、日本と韓国が最も危険に晒される。核弾頭ミサイルの開発をなんとしても阻止しなければならないというのは、国際社会の一致した意見のはずで、問題はその手段である。
先日、英字新聞のThe Japan Timesに興味深い記事が載った。「北朝鮮の自己イメージは現実と衝突する」(Reality collides with N.Korea’s self-image)というタイトルであった。
記事の主な内容は、“ミサイル発射によって北朝鮮の狙いは見事に実現された”。つまり、小さな国でありながら世界に脅威をもたらすことができるという、金正日政権の世界に対する挑発についてである。しかし、そのプロパガンダは単なる脅しで、実際には戦争を始める意思もなければ軍事力もない。もし一発でも他国へミサイルを落とせば、それこそ自国を滅ぼす結果になるという事実を、北朝鮮政権もはっきりと認識しているはずなのである。
さらにその記事では、国際社会がとるべき反応は、北朝鮮の「ミサイル遊び」は無視すべきことで、せめて冷やかすぐらいで済ませば、経済制裁などよりはるかに効果的であるとも提言している。記事の挿絵が実にこっけいで、サーカスのリンクで激しくほえる子犬を相手に、巨人がまるでライオンを調教するかのように、左手に椅子、右手に鞭を持っている。巨人は国連であり、相手の子犬はもちろん北朝鮮の最高指導者、金正日総書記である。
先に紹介した私へのインタビューでは、記者から「日本は本当に北朝鮮を恐れているのか」という問いがあった。私は「少なくともこのままに放っておけば、将来的に脅威となる可能性があると感じている日本人が多くいるようだ」と答えた。
最後に私自身のコメントとして加えたいのは、今回の安保理決議に関する「協議」そのものには重要な意味があったということだ。日米も中ロも自分たちの提案を無理やりに通すことは断念せざるを得なかったからである。どちら側も修正の余地があるという姿勢に変わった、この態度は高く評価できる。大切なことは国際社会が国連の場で一丸となって北朝鮮に対し厳しいメッセージを発信することである。つまり、北朝鮮が孤立の道を諦め、国際社会の一国家として世界平和のために協力し合う国になるように。しかし、北朝鮮は今回の決議の受け入れを拒否した。残念ながら現時点では、そのようなメッセージは北朝鮮の政権にはまだ届かないようである。
ツルネン マルテイ "
http://www.melma.com/backnumber_151325/