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Re: 東京財団はこう言っている>インドの宇宙開発と経済  2006年05月
http://www.asyura2.com/0601/asia5/msg/292.html
投稿者 Kotetu 日時 2006 年 7 月 10 日 00:06:45: 7m23/iYy5J8l2
 

(回答先: Re: その前には、こういうことが >印、アグニ3の実験延期 米核協力への影響懸念 03年01月13日 投稿者 Kotetu 日時 2006 年 7 月 09 日 23:46:55)

報告者:森尻純夫

第八十七回 インドの宇宙開発と経済  2006年05月

インドがN A S Aと協定した
  五月一〇日のインド各紙は、一面トップに大きな見出しが躍った。
  九日、アメリカの航空宇宙局、N A S Aとインドの宇宙開発研究所、I S R Oが協定したというのである。向こう二年間以内、すなわち0 8年度前半に月面探査計画を完成するというのである。

  調印は、I S R Oの所在地バンガロールでおこなわれた。N A S A 局長ミシェル・グリフィンとI S R O 会長マタヴァ・ナイアールが満面の笑みで握手するカラー写真が、各紙の一面を飾った。
  インドが飛ばす衛星にアメリカ、N ASAが参画するという協約だ。
  インド人がタバーン姿を宇宙服に包んで月面に立ち、ナマステェ(こんにちは)なんて手を振る光景を、想像しただけでも笑みがこぼれてしまう。

  しかし、実は、ことはそう短兵急に進むものではない。今回の協約では、無人衛星による月面探査で、インドは鉱物質の探査、表層地図の作成などを主目的にしているのだ。

  派手なパフォーマンスが待っているということがないからか、一面トップ、カラー写真つきの割には、世評はきわめて冷静で、むしろ冷淡な反応だった。というのも、洒落でも冗談でもなく、月面探査程度の技術ならとっくにインドは備えていて、衛星の発射時期もすでに日程段階に入っていたのである。いまさら、というのが人びとの正直な反応なのだ。

  もう一方ではN A S Aとの協定、すなわち核平和利用開発に次ぐアメリカとの緊密化の背後にある深い意味を知る人びとも、いまは沈黙しているのである。
  いずれにしても、インドが発射する「チャンドラヤーン−1号」計画はこれで軌道に乗ったのである。チャンドラは月、ヤーンは旅行、あるいは航行の意味である。

インドは中国に遅れをとったのか
  中国のめざましさと比べて、ともに経済発展を加速し大国への道を歩むインドといわれながら、こと宇宙開発に関してはかなり出遅れ感を世界に印象づけているのは事実だ。中国の「神舟」プロジェクトによる有人飛行の再度の成功はアメリカやEUには脅威にさえなりつつある。

  中国の成功に拍手を捧げこそすれ、出遅れを悔やむというような論調はインドにはなかった。中国と宇宙開発を競うという発想が、そもそもないのである。その背後には、ひそかな自信も蓄えていた。
  インドはインドなりのきちんとした宇宙開発の歴史を持っているのである。

  公的な歴史としては1969年、ISROが設立されて、衛星テレビ受信をNASAと協定している。すでに世界の先端的動向に同伴していたのだ。75年には気象衛星、国際電話回線を南アジアとしては最初に取り入れている。この当時、中国、日本とも提携している。

  ただし、例によってソフトはカンペキ、国内のインフラに関するハード面はいささか問題があった。国民生活に浸透するほどの効力はまったくなかった。

  公的な歴史では、項目はあっても実効性は望めなかったが、民間活力は、公的なものを凌いで、めざましい動きをしていた。70年代半ば頃から、アメリカに在住したインド人、インド系米人が、その能力を認められNASAやペンダゴン(米国防総省)の関連機関でIT技術者として登用されはじめた。90年代初頭には、インドに設立されたソフト会社も加わってプログラムの主流になったのである。彼らが開発に関わり、組み上げたシステムが本国の技術水準にスライドしたことは当然だ。歴史はいつも公的な正史だけで動いているのではない。

  インドが中国の宇宙開発をライヴァル視しないのは、こうした理由によるのである。

宇宙開発と国防戦略近代化
  NASAとの協定が伝えられた六日後の一五日、中距離弾道ミサイル「アグニV」の発射実験準備が整った、と各紙が報じた。メディアによっては、五月末にも実験がおこなわれるとも伝えた。

  アグニVは中距離弾道で射程3000キロといわれている。インド北部に配備されて中国内陸、あるいは上海近くまでの射程になる。すでに中国は青海省、雲南省に二五〇〇キロ射程以上のミサイルをインドに向けて配備しているといわれている。その射程には、南西部のビジネス都市ムンバイまで入る。経済交流はきわめて良好に発展しつづけている印中は、宇宙開発で争うことなど念頭になくとも、国防戦略では容赦なく対応しているのである。

  同日、マンモーハン・シン首相は、戦略兵器開発の未来展望を提議した。国防研究開発機構(DRDO)の新事務所発会式に臨んでの発言だった。探査感知、ロボット化、推進力エネルギーの開発、そしてすべての遠隔操縦システム化を進展させようという政策だ。

  DRDOこそ、アグニVを開発した機関で、新本部の発足に合わせた発表だったのである。また、マンモーハン・シン首相の兵器開発プログラムは、いかにも月探査衛星チャンドラヤーン−1号に与えられた任務に酷似している。

  五月二〇日、「タイムス・オブ・インディア」紙は「オーヴァー・ザ・ムーン」という寄稿論評を掲載した。筆者はキラン・カルニクというISROに長く職を得ていた人物だと紹介されている。
  ようやく今回のNASA協約への解析が登場したのだ。

  新聞やテレビニュースではなやかに演じられた協定調印だが、なにをいまさらの感は否めないという論調ではじまっている。そもそもアメリカとの協約の可能性は、過去数年、NASAとの緊密な連携体制をとってきたISROには充分にあった。去る三月のブッシュ訪印は、それを決定的にしていたのだ、と論じている。

  NASA、あるいはアメリカの民間、そして国防先端技術との交流、提携は衛星技術開発のみではなく広範に展開されていたことだと論断している。協約から一〇日、やっと待ち望んでいたものが手に入った。これで、日本への報告の筆を起こすことができる。

ビジネスとしての宇宙開発
  インドのメディアがなんとなく敬遠してきたNASA協定問題は、印米関係緊密化の根幹に触れなければならないからだ。それほどまでに緊密だったのか、という理解を促すのは大きな勇気がいることだ。

  というのもインドは、独立以来、親ソヴィエト政策を採ってきた。ソヴィエト崩壊後も、印露関係には「古い友人」として特別の想いがある。現会議派政権には共産党も連立している。さらに五月、折から地方議会選挙が多くの州でおこなわれ、西ベンガル州やタミール州では、共産党をはじめ左翼政党が飛躍的に伸びている。

  元ISRO職員キラン・カルニクは、そうした政治的配慮を忖度することなく、正鵠を穿って論を展開している。
  アメリカNASAとの70年代からの公的歴史を辿るとともに、ISROがEU諸国との連携もしていることを詳述している。EUの欧州宇宙局、Esaは、すでにチャンドラヤーン−1号に四つの探査機器の搭載を依頼しているのだ。カルニクはNASAもまた、インドの宇宙開発にとって歓迎すべき機関のひとつなのだと述べている。

  Esaには、スウェーデン、ドイツ、イギリス、そしてブルガリアも今回のチャンドラヤーン計画に参画している。すべて応分の負担を担って参加しているのはあきらかだ。

  ここで見えてきたのは、インドのこの月探査計画は、欧米に扉を開いたビジネスプロジェクトだということだ。インドが養ってきたIT最先端技術を駆使した大ビジネスプロジェクトとしての宇宙開発だったのである。

  中国が国家の威信をかけて「神舟」プロジェクトを推進しているのとは、まったく違うのである。08年の北京オリンピックにむけて次の有人飛行が準備されているという。インドには、宇宙開発を国家的イベントに組み合わせようなどという発想は、毛ほどもないのである。

  そういえば、シン首相はDRDOでの戦略兵器開発への提議でも、諸外国への技術輸出を推進し、その利益を新規開発へリサイクルすると提言していた。
  インドはいまや、まさしく経済立国への道を歩んでいるのである。


http://www.tkfd.or.jp/news/india/36_20060525_1.shtml

<コメント>
 じつわ中国とニポンは、スペースシャトル計画で競争してまして、ニポンの”すぺぇすナンタラ研”は鬼畜メリケンと、そのニポンポチの数々のやぁがらせにも関わらず結構がんばってるんですが・・・

 印度はダークホースなんすよねぇ。人工衛星も上げようとすればやっちゃうんじゃないでしょうかね。

 金ちゃん花火なんて、じつわたいしたことはないと思ってます。

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