★阿修羅♪ > アジア5 > 184.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
【国際面】2006年06月20日(火曜日)付
中印、標高4545メートルの交易路 ヒマラヤ越え44年ぶり開通へ
インド東北部のシッキム州と中国のチベット自治区の間の国境が7月6日、44年ぶりに開放される。古代からのヒマラヤ越えの交易路だが、両国がチベットやカシミール地方の領有をめぐって争った62年の中印紛争以来、閉鎖されていた。03年6月、インドのバジパイ首相(当時)が訪中した際に両国が交易路復活で合意。その後、長年使われていなかった国境付近の道路や施設整備などを進めてきた。近年、改善が進む両国関係を反映する成果の一つだ。(小暮哲夫)
インドと中国の国境地点ナトゥラ
開放される国境地点ナトゥラは標高約4545メートルの高地で、チベット自治区のラサから460キロ、インド東部の中心港湾都市コルカタまで550キロ。
インド北部のウッタランチャル、ヒマチャルプラデシュ両州とチベット自治区西部をそれぞれ結ぶ道路が90年代初めに開通したが、いずれも自治区内にあるヒンドゥー教の聖地へのルートとしての色彩が強い。
これに対し、今回のルートは経済活動活発化への期待を担う。中印間の交易は現在ほとんどを海上に頼っているが、20世紀初頭には80%がこのルートで占められていたという。
インド側、中国側とも数キロから十数キロの地点に市場があり、閉鎖されていた道路を整備して交易を復活させる予定だ。インド側からは野菜や果物、紅茶、ワインなどが、中国側からは毛織物が輸出されるという。
インドのPTI通信などによると、両国政府がラサで18日夜、国境開放の覚書を交わした。
両国は62年以来、相互を潜在的な脅威として対立し、中国はパキスタンを伝統的に支援してきた。88年のラジブ・ガンジー首相の訪中以来、徐々に改善。99年にインドとパキスタンがカシミール地方で衝突したカルギル紛争では、中国は不介入の姿勢をとった。その後、04年以降の印パ関係の改善も、中印関係に好影響を与えている。
背景には両国の経済成長もある。両国間の昨年の貿易高は187億ドルで前年比で37・5%も増加した。
インドは03年に交易路復活で合意した際に、チベット自治区を中国領と認めた。チベット・ヒマラヤからカシミール地方に至る約3500キロに及ぶ国境は未画定部分が多いが、両国は05年4月の温家宝(ウェンチアパオ)首相インド訪問時に「中印国境問題解決のための政治枠組みと指針」に調印。中国は初めて「シッキム州はインドの州」と認めた。
◆キーワード
〈中印国境紛争〉 両国の国境について、インドは旧宗主国の英国から譲渡された領土の境界線を原則としたのに対し、中国はヒマラヤ山系の南側に沿う習慣上の境界線を主張。62年10〜12月に軍事衝突し、事実上の国交断絶に発展した。その後、中国はパキスタンとの関係を強化し、中印は険悪な関係が続いた。
http://www.asahi.com/paper/international.html