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http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20060618/mng_____kok_____005.shtml
米、通信網から海自排除
ハワイ沖のミサイル防衛実験
日米合意した米軍再編で、ミサイル防衛(MD)について「緊密な連携」が明記されたにもかかわらず、米側が日本側に軍事通信衛星の使用を認めていないことが分かった。北朝鮮が「テポドン2号」の発射準備を進める中、今月下旬、米国が行う海上配備型迎撃ミサイル(SM3)による迎撃実験に参加する海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」は、米側と情報交換できないまま終わることになる。
迎撃実験はハワイ沖で行われ、カウアイ島から発射される模擬の中距離弾道ミサイルを米海軍のイージス巡洋艦「レークエリー」が探知、同「シャイロ」がSM3で迎撃する。探知した弾道ミサイルの航跡情報は米国の軍事通信衛星「ミル・サット」を通じて共有されるが、「きりしま」は米軍の通信ネットワークから外され、単独でミサイル航跡を追尾する。
日米のイージス艦はともに「リンク16」と呼ばれる大容量の戦術交換システムを搭載し、本来なら艦同士の情報交換も可能。しかし、米軍はMDについて「ミル・サット」経由を決めている。「きりしま」が「ミル・サット」を利用するには米側の許可と秘匿通信解除装置や新たな通信装置の搭載が必要だが、いずれも実現の見通しはたっていない。
海自のイージス護衛艦は一九九八年、北朝鮮が三陸沖に向け発射した「テポドン」を探知した実績があり、「きりしま」が模擬弾道ミサイルを探知するのは確実視される。実験参加の意味は、多額な費用がかかるため各国が米国主導のMDに消極的な中で、日本が参加している事実をアピールすることに狙いがあるとみられる。
しかし、近海にいながら米軍の情報ネットワークから外される「きりしま」の迎撃実験への参加は、米軍再編にうたわれた「緊密な連携」とは程遠い。
米側は日本がイージス護衛艦を建造する際、艦隊防空に優れたイージス・システムは提供したものの、陸・海・空・海兵隊をつなぐ全米軍ネットワーク「IBS」に加わることは禁じた。良好な日米関係下にあっても情報供給は制限されているのが実情だ。
このため、米軍再編に盛り込まれたMD関連装備のうち、米国がこの夏までに青森県の航空自衛隊車力分屯基地に設置するXバンドレーダーが探知する情報がどんな形で日本に提供されるかも不透明。米国が日本を米本土を守るための便利な“出城”として利用するにとどまる可能性もある。