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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu121.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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多くの政治学者が、中国の「平和的台頭」戦略と19世紀ドイツ
の帝国強大化政策の間の類似点が多いことを指摘している
2006年6月9日 金曜日
◆中国の「核」が世界を制す 伊藤 貫(著) 短評サイト
http://miyajee.e-city.tv/chuugokunokakugasekaiwoseisu.html
◆日本の対中外交の座標軸
16〜19世紀の英国リアリスト外交のエッセンスは「ヨーロッパ大陸で覇権国となりそうな国を叩く」というものであった。スペインが最強国となったらスペインを、その後新興産業国家オランダを、そしてフランスを叩いてきた。
覇権国の出現を許さないことによって、イギリスは自国の独立を保障し、世界帝国を築いたのだ。
ただしその国を叩きのめすことはしなかった。
というのは、ある国を徹底的に叩きのめすと残りの国にとって有利な地政学的情況を作ってしまうからだ。
また、特定国を長期間占領したり併合することはしなかった。運営のコストがかかりすぎるからだ。
この期間、イギリス政府の軍事予算の対GDP比率はヨーロッパ諸国のそれよりも低かった。
つまり国際関係において、バランス・オブ・パワー政策を実行することが「好戦的」「タカ派」な外交をするわけではないのである。
アメリカ外交も母国大英帝国のバランス・オブ・パワー外交の影響を強く受けている。20世紀初頭から現在までのアメリカ外交の基本原則は「ヨーロッパとアジアで、覇権国となりそうな国を叩く」というものだ。(2003年3月に始まったイラク戦争と占領は、多数の国内のリアリスト学者から批判されている)
一方中国はどうか。
中国の外交は、共産党が声高に主張してきたように「平和と友好を重んじる国際協調主義と反覇権の原則」で動いているのだろうか。
実態は徹底したリアリスト外交である。
秦の始皇帝から現在まで中国はバランス・オブ・パワー外交の実践者である。そもそも孫子と言う大戦略家を生んだのは中国だ。
日本外交の地政学的環境は、米中露三覇権国に包囲される「三覇構造」である。この構造ができたのは、19世紀の中ごろだ。これらの国は領土、人口、人材、自然資源、経済力、軍事力のすべてにおいて日本より潜在的に優越した条件を持つ国だ。
その一方で日本は、左翼の現実逃避主義グループと保守派のアメリカ依存主義グループの対立の歴史であるが、どちらもリアリストではない。
戦後日本の左翼陣営は、国際政治の現実から逃避した平和外交論を繰り返してきた。「日帝」と「米帝」を非難することに精力を集中し、ソ連軍、中国人民解放軍、北朝鮮軍が近隣諸国を侵略しても、自国民と少数民族8000万人以上を殺害しても、ひたすら沈黙するのだった。
それに比べて親米保守派は表面的にはリアリストのごとき装飾がなされているが、実際には米国の覇権外交に依存する従属主義にすぎない。他の覇権国の保護領、チェスの駒として生きていこうとする戦後日本の依存主義、従属主義外交がリアリスト外交とはいえない。
1931年〜45年の戦争で300万人以上の国民を死亡させると言う授業料を払ったにもかかわらず、日本人は未だに情緒的で主観的な外交分析アプローチを続けている。
「専守防衛」「非核三原則」「唯一の被爆国として核廃絶を世界に訴える」という外交スローガンは、現実の国際関係のバランス・オブ・パワーとは何の関係も無い、自己陶酔的なおまじないに過ぎない。
イギリス人のように、冷静・冷酷・客観的にバランス・オブ・パワーを計算し、それに対応する能力を持たず、独りよがりな外交スローガンを振り回して自己陶酔しているのが戦前と戦後の日本の外交である。
バランス・オブ・パワー政策を重視するリアリストに対して、「ウィルソニアン」は「国際法強化、国際組織の充実、経済の相互依存の増大が進めば、世界の諸国はお互いに戦争しなくなると主張する。
(中略)
最近数年間、欧米の多くの国際政治学者が、中国の「平和的台頭」戦略と19世紀ドイツの帝国強大化政策の間の類似点が多いことを指摘している。
19世紀のドイツをヨーロッパ最強の覇権国にしたのは宰相ビスマルクだ。ビスマルクは1862年にプロシアの宰相となり、当時いくつかの諸侯国に分裂していたドイツ文明圏を統一する作業を始めた。
1871年1月統一ドイツ帝国の宰相に就任したビスマルクが1871年以降に実行したのは、我慢強く慎重にバランス・オブ・パワーを維持していく「平和的台頭」戦略であった。
彼は「ドイツは、英仏露、三覇権国に包囲された地政学的条件下にある。これらの国が興隆するドイツを警戒して、対独包囲網を作れば、新興ドイツは圧倒的に不利になる。ドイツが十分な国力を蓄積するまで、近隣諸国に対して平和的に振る舞い、この三覇権国の対独警戒心を弱めておく必要がある、と判断したのだ。
1871年から20世紀初頭までの「平和的台頭」戦略は圧倒的成功であった。ドイツの国民総生産は1900年にイギリスと対等になり、1913年には15%も大きくなった。特に重工業生産力は1880年にはイギリスの三分の一だったが、1910年にはイギリスより25%も大きくなっていた。
「パックス・ブリタニカ」と呼ばれた大英帝国による国際秩序維持システムも、結局はイギリスが世界最強の経済力と軍事力を所有していたからこそ可能になったのだ。
ドイツが「平和的対等」戦略によってそれを凌ぐ国力を蓄積してしまった後は、アングロ・サクソン民族の好んだバランス・オブ・パワーシステムは機能しなくなったのだ。
では、なぜイギリス外交は1871年以降の対独政策に失敗したのだろうか。日本人には過去のイギリス外交の失敗から学ぶものは多い。
@仏露に対する依存心、責任転嫁
1871年〜1902年のイギリス政府指導者は、仏露帝国がドイツを押さえつけてくれるだろうと期待していた。
だが、リアリスト外交の天才とキッシンジャーが絶賛する宰相ビスマルクは、ドイツに敵意を抱く仏露両国が同盟関係に入るのを妨害し続けたのだ。
現在の日本も、我々が直接対抗しなくとも、アメリカが中国を封じ込めてくれるだろう、という態度をとる人が多いが、イギリスの対独政策の失敗を見てもわかるとおり、他の大国が野心的な新興国を抑え付けてくれるとは限らない。
A伝統的なバランス・オブ・パワー外交は不道徳、という反発
19世紀後半の英国自由党の政治家と言論人は、イギリス外交が16世紀から実践してきたバランス・オブ・パワー外交を批判するものが増えていた。
1880年の総選挙で、自由党のグラッドストンは保守党のディズレイリ首相のバランス・オブ・パワー外交を激しく批判して「新しい国際法が徐々に広がりつつある。法律によって侵略行為を減少させ、紛争の平和的処理を推進できるはずだ。ヨーロッパ諸国が協調すれば、利己的な行動を取る国家を抑制し拘束できる、と主張した。
しかしここで問題となるのは、当時ヨーロッパ大陸で覇権競争を演じていたロシア帝国、ドイツ帝国、オーストリア帝国、そしてバルカン半島で大量のキリスト教徒を弾圧し、虐殺したオスマントルコ帝国は、英首相の「国際協調と国際法強化のよる平和の確立」を相手にせず、単にせせら笑うだけであった、という歴史的事実である。
現代の日本にも、バランス・オブ・パワー外交の「不道徳な」論理を拒否し、中国政府に対し「善意に満ちた道徳的な態度」をとれば、軍拡にまい進する中国政府は「日中和解」と「平和に満ちた東アジア共同体」の実現に協力してくれるはずだ、と主張する人は少なくない。
過去の国際政治史を勉強したことがない人にとって、バランス・オブ・パワー外交は「不道徳」であるように見えるかもしれない。だが、その「不道徳」なリアリスト外交を拒否した結果が、より悲惨な国際政治情況を生み出すということがあるのだ。
B「安定した民主主義国は宥和政策を好む」ゆえの油断
古くて安定した民主国家であるイギリスは、1871年以降のドイツの軍事力拡大政策に対して、厳しい対抗策を取ることを避けた。多くのイギリス国民は、英国政府がカイザー・ウィルヘルムの統治するドイツ帝国と妥協して、「英和が平和共存」することを望んだからだ。
安定した民主国の世論は、軍事的な危険性が誰の目にも明らかな直接的脅威とならない限り、近隣諸国からの脅威に反応したがらないのだ。
Cフランスとの猛烈な植民地獲得競争
1871年以降、自国の領土を奪われたフランス人の主敵はドイツ帝国であった。だから常識的に考えれば、フランス政府はドイツと対抗するためにはイギリス政府と良好な関係を築こうとしただろうと推論される。
だが、実際には英仏両国は、中近東、アジア、アフリカ地域において植民地獲得競争に血眼になっていたのだ。
リアリスト外交の天才ビスマルクは、英仏の植民地獲得競争から距離をとる冷静な外交を行い、イギリスに対してもっとアグレッシブに振舞うようにフランス政府にけしかけていた。
1991年以降の中国政府も、日米、日韓、米韓関係をそれぞれ悪化させるという外交工作を活発に行っている。
D「不気味な北方の巨獣」ロシアとの覇権競争
19世紀のイギリスはフランスだけではなく、もっと深刻な覇権闘争をロシア帝国と演じていた。
ロシアはバルカン地域でもオスマントルコ帝国の衰退に付け込んで、バルカン半島のスラブ系諸国とボスポラス・ダーダルネス海峡地域を支配しようとした。
東部地中海地域とエジプトを自国の勢力圏とみなすイギリスは、ロシア艦隊を黒海に封じ込めておくことを戦略目標として、この地域でもロシアの南下政策を妨害した。
1878年にはコンスタンチンノープルの支配権をめぐって、英露両国の対立は戦争直前の状態にまで高まった。
例によってビスマルクは英露両国の対立激化を多いに喜び、ロシア軍のコンスタンチンノープル進出をけしかけた。
「ドイツの台頭」を処理することに失敗したヨーロッパ諸国は、二度の世界大戦を経験し、国際政治の主役から滑り落ちた。二度の世界大戦が無ければ、共産主義は世界中に広まることはなかった。1917年以降、共産党が虐殺した民衆の数は8000万人を超える。
21世紀のアジアにおいても、日米両国が「中国の台頭」を処理することに失敗すれば、そのコストは膨大なものになる。
(私のコメント)
日本とイギリスとは大陸に接した島国であり、地政学的に同じ見方が出来るのですが、日本は近代国家になってからイギリスのバランス・オブ・パワー戦略を学んできたのだろうか? その基本原則を見てゆけばどこで日本が間違えたのか、これからどのような戦略を持てばいいのかが分かるはずだ。
またアメリカについても巨大なイギリスと見ればアメリカがバランス・オブ・パワー戦略をとっていることが分かる。だからバランス・オブ・パワー戦略が分かればアメリカがとる戦略も読めてくるはずだ。しかしイラク侵攻は中東の軍事バランスを崩す行為であり、イランの強大化を招いて大油田を持つサウジアラビアに脅威をもたらす事になる。
日本が一番最初に犯した間違いは特定国を長期間占領したり併合した事であり、大韓帝国は併合すべきではなかった。また満州国も同じであり、運営のコストがかかりすぎて日本の負担は大きかった。日本がなぜ朝鮮半島を併合したのか、伊藤博文は朝鮮併合に反対していたが朝鮮人により暗殺された。朝鮮では一進会による合併の嘆願書などが出されるほどで、それが働いたのだろう。
現在の韓国ではその反動が出ていて、親日派が弾圧されている。100年も経つのに一進会のトラウマが尾を引いているのだろう。朝鮮は地政学的に半島と言う不利な状況から大陸に支配を受けやすいのですが、朝鮮半島は1000年間にわたって中国の柵封体制下にあった。朝鮮と言う国名も中国につけてもらったものであり、彼らのDNAは36年の日本の併合では変質していない。
現在の日本についてもアメリカの柵封体制下にあり、60年も経つのに日本国内には米軍基地が85ヶ所もある。これらはキッシンジャーと周恩来との密約により日本を永久的な植民地として自主防衛はさせないつもりだ。もし日本とアメリカとが対等な同盟国であるのなら、以下に日本が地政学的に重要だからといって85ヶ所も日本に米軍基地を置くはずがない。日本の政治家はこの事実に気がついていないのだ。
日本が置かれた現実に国民が気がつくには、戦後にアメリカによってなされた洗脳教育から覚めなければなりませんが、東大などを出た優秀な学生ほど洗脳に犯されている。私などは三流大学しか出ていないからアメリカの洗脳教育から無縁ですが、世間からは街宣右翼と混同されているのが現状だ。
しかし伊藤実氏の「中国の核が世界を制す」と言う本が出て、日本の核武装を理論的に解いた本が出た。それを理解するためにはバランス・オブ・パワー戦略やイギリスの外交史などを理解する必要がある。アメリカにおけるリアリストの学者などの意見もこれに近いのですが、アメリカの政治家はまだ日本の核武装を許す事は当分ない。
しかし私から見れば最近のアメリカ外交は明らかにおかしい。バランス・オブ・パワー外交から逸脱している。90年代のクリントン外交はソ連が崩壊しているにもかかわらず中国と戦略的パートナーシップをとって、中国に戦略核ミサイルの最重要機密を供与してアメリカの国防にも脅威をもたらしたり、ブッシュ外交は中東のイラクに大軍を送って年間6兆円もの戦費を使ったりしている。
アメリカはイラクの泥沼につかりながら中国との経済交流で中国を軍事大国化させていますが、アメリカ人は発狂してしまったのだろうか? 中国は平和的台頭戦略で着々と国力を蓄えてきていますが、アメリカは財政赤字と国際収支の双子の赤字で国力は消耗している。あと十数年もすれば米中の国力は逆転するかもしれない。
アメリカはちょうど19世紀にイギリスがドイツの台頭を許してしまった過ちを繰り返そうとしている。そして気がついたときには手遅れで二度の世界大戦でヨーロッパは疲弊して世界の覇権はアメリカに移ってしまった。アメリカも同じ間違いを犯しているのですが、それはキッシンジャーやブレジンスキーといった親中派のユダヤ人たちがアメリカを滅ぼそうとしているのだろう。
それに対してリアリスト派のミアシャイマーやウォルトなどの学者がアメリカのイスラエルよりの政策を批判しましたが、アメリカはすでにユダヤ人によって支配されてイスラエルの道具にされている。アメリカのイラク侵攻の原因の一つはイスラエルの国防のためであり、アメリカは大イスラエル建設のための踏み台でしかない。しかし大部分の非ユダヤ系白人はそのことに気がついていない。
アメリカの非ユダヤ系白人はユダヤ人に比べるとどうしても知能水準が落ちるからキッシンジャーやブレジンスキーといったユダヤ人に外交の主導権を奪われてしまう。キッシンジャーは中国に19世紀のドイツのような平和的台頭戦略をアドバイスしたのだろう。その結果中国は十数年後にはアメリカを上回る超大国となり、アメリカは大英帝国やソ連のように覇権国家から普通の国になるのかもしれない。
もちろん逆に中国が内乱が拡大して崩壊する可能性もあるし、アメリカが覇権を持ち続ける可能性もある。日本としては様々なシナリオを考えて戦略を練るべきなのですが、日本にはそのような学問はない。ネット上で限られた「戦略オタク」のサイトで語られている程度だ。「株式日記」も核武装戦略を主張しているのですが「中国の核が世界を制す」と言う本を読んでいただければ、日本の核武装の必要性がわかるはずだ。