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出典
http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200606010002o.nwc
プリマコフ訪日の思惑---(ラスプーチンと呼ばれた男/佐藤優の地球を切るより)
■北方領土棚上げ 日本マネー狙う
日露関係で奇妙な動きがある。5月26日夕刻、筆者の携帯電話が鳴った。知り合いの新聞記者だ。
「佐藤さん、明日からプリマコフ(元首相)が来日するという情報を聞いているかい。何でもプーチン大統領の親書をもってくるらしい」
「いま初めて聞いた。外務省は何て言っているんだい」
「逃げ回っている。松田(邦紀ロシア課長)は午後になってようやく役所に出てきた。日程がついたら発表するということで、情報管理に気をつかっている」
その後、何件か情報が入ってきた。
信頼できる日露関係筋(日本側かロシア側か情報源をぼかすためにこう表現する)によれば、今回、プリマコフはロシア商工会議所会頭の立場で訪問し、小泉純一郎首相、安倍晋三官房長官、中川秀直自民党政調会長、森喜朗前首相、御手洗冨士夫経団連会長(キヤノン会長)との会談を希望。プーチン大統領の親書も携行しているということだ。
クレムリンが日本に送るメッセージは、サンクトペテルブルクのトヨタ工場建設が遅れているので、問題解決のための政治指導の要請、6月中旬に上海で行われる上海条約機構首脳会議に小泉首相のオブザーバー参加、7月のサンクトペテルブルクサミットでは、シベリア・極東開発について首脳レベルでの充実した協議を行いたいなどの内容とのことだ。
プリマコフの主目的はみずほホールディングとの関係を強化し、ロシアに日本資本を本格的に呼び込むことだとの憶測情報もモスクワで流れている。
停滞している日露関係の突破口を開くためにロシア側がイニシアチブを発揮したということ自体は日本外交にとって好ましい材料だ。
問題は日本側にロシアが仕掛けた外交攻勢に対応する態勢がとれるかどうかである。負ける試合ならばやらない方がいい。
プリマコフは日本の政治・学術エリートと30年以上深い関係をもつ日本通であるが、決して親日派ではない。
特に北方領土問題については、ロシアから日本に主権を譲り渡すことがあってはならないとの対日強硬派だ。主権をあいまいにしたまま、北方四島で共同経済開発を行えばよいという変化球は、プリマコフがソ連科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO)所長をつとめていた時代に同所長の主導でまとめられたことも専門家の間では有名だ。
この共同開発案は、北方四島の日本帰属を確認する日本国家の原理原則に抵触する危険な構想と筆者は考えている。
さらにプリマコフは92年のエリツィン大統領訪日延期の過程で、きわめて重要な役割を果たした。
この事実関係について筆者はこれまで沈黙していたが、この機会にプリマコフという人物が北方領土問題でどのような役割を果たしたかを国民に明らかにしておきたい。
エリツィン訪日は92年9月13日から予定されていたが、同9日に「諸般の事情により訪日を延期せざるを得ない」との連絡がエリツィンから宮沢喜一首相(当時)に対して電話でなされた。
訪日4日前のドタキャンで、外交常識からいって極めて無礼だ。
この延期を決めたロシア大統領安全保障会議に当時対外諜報庁(SVR)長官をつとめていたプリマコフも出席した。
何とこの席でプリマコフは「日本の警備体制ではエリツィン大統領の身辺を十分に警護できない」というでたらめな説明をして、訪日延期に向けた流れを作った。
筆者はこの内情を訪日準備の責任者だったブルブリス国務長官から聞いている。
本件の詳細について筆者は何度もブルブリスに問いただしているが、話の筋はぶれていない。
ブルブリスはこの話を枝村純郎駐露大使が離任する際に披露し、さらにプリマコフと親しかった末次一郎安全保障問題研究会代表(故人)に対しても伝えた。
プリマコフはロシアの国益のみを追求するタフネゴシエーターだ。
筆者のところに入ってくる情報を総合するとプリマコフは日本外務省の能力低下と不作為体質を織り込んだ上で、北方領土問題を迂回(うかい)して、極東・シベリアの経済開発とロシアにとって利益をもたらす国際問題に日本の力を活用することを考えている。
次号では今回のプリマコフ訪日が北方領土問題にどのような影響を与えたかについて分析したい。
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[コメント]
親ロシアの方々様におかれましてはこのような外交のプロの意見を踏まえた慎重に対処なされる事をご期待申し上げます。