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「五月」---(Younghee Ahn の韓国レポート) 第182回
JMM [Japan Mail Media] No.375 Friday Edition
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■ 『Younghee Ahn の韓国レポート』 第182回
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「五月」
4月から5月にかけて個人的な理由でとても忙しかった。
とても忙しいというのは口癖なのかも知れないが、座っているだけで胸が苦しくなり息が詰まるような感じで
あった。
仕事を要領よく振り分けられれば、こんなに苦しまなくてもいいのかもしれないが、土壇場にならないと動けない性分が災いしている。
そんな時、仕事の関係で行ったお寺の和尚さんの法話が胸に染みた。
昔ある冒険家がジャングルで三人の原住民を雇い、急いで目的地に向かっていました。
冒険家はいち早く目的地に着きたかったので、原住民を三日三晩休まさずジャングルをくぐらせました。
しかし、あるところで原住民たちは座り込み頑として動こうとしなかった。
目的地に少しでも早く着きたいし、だけど原住民がいないとどこへ行っていいのかわからないので、冒険家はいらだちました。
なぜ、直ちに起きて道を急がないのかとせかしました。
そうすると、原住民たちはこう答えました。
「私たちは、今私たちの魂がこの体に追いついてくるのを待っているのです。私たちがあまりにも急ぎすぎたので今私たちの体と魂は分離してしまっているのです。魂が戻ってくるまでは絶対に動けないのです。」
和尚は私たちがどれだけ急いでも魂が追いついてこられないようなスピードで動くのは無駄だということを言ったのだ。そして、「周囲を御覧なさい。この春、花が咲いて美しいと思ったことはありますか」と、みんなに問いかけた。
この法話を聞きながら毎日締め切りや課題などでがんじがらめになっている自分を省みた。
もっと余裕を見て仕事を進めればいいのに、いつも間際になって慌ててやろうとするから余計に辛くなる。
ここで一度深呼吸してみた方がいいのだろうと思った。
その時、初めて周りに咲いている山つつじのきれいな姿を目にとめることができた。
JMMで何度も紹介したが、韓国の5月は「家庭の月」である。
まず、5月5日は「子どもの日」、8日は「両親の日」、15日は「先生の日」、「成人の日」である。
それぞれの日の前日には花屋にカーネーションの花束が並び、お客を待っている。
今年の5月は、そのどれも縁がなかった。
毎日、何日かを数えるのも忘れてしまうくらいだ。
しかし、15日の「先生の日」がヒートアップする袖下のために休日になってしまったのはとても残念に思う。
小中高において、先生たちを敬うために作られた「先生の日」がかえって彼らを卑しめる日となってしまったのである。
「現物のプレゼントより、休日にしてくれると、休めるからそれが何よりのプレゼントよ」と、いう先生もいたが、それが果たして嬉しいプレゼントなのかどうかは、どうしても疑問に思う。
それとも、先生たちも急ぎすぎて魂が肉体に追いつく時間が必要なのか。
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Younghee Ahn(アン・ヨンヒ)
韓国生まれの韓国人。小学4年から高校1年まで、大阪在住。韓国外国語大学同時通訳大学院日本語修士課程卒業。同時通訳からスタートして、現在は会議通訳、及び、韓国梨花女子大で、日本語の講師も務める。著書に『シナブロ(知らぬ間に少しずつ)』(小学館)
[コメント]
大学進学率が90%近い韓国も学校の担任教師に「袖の下」・・・・・
何か30-40年位前のニポンの光景そっくりに見えるのは私だけでしょうか。