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世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL99:竹島での海洋調査で揺れた日韓関係
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投稿者 愛国心を主張する者ほど売国奴 日時 2006 年 5 月 21 日 10:45:13: tTp1/cyvuKUmU
 

◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL99
江田島孔明

 今回は、竹島での海洋調査で揺れた、日韓関係を考えてみたい。
 日韓関係を考える基本はあくまで、地政学である。そして、地政学的観点から、韓国は「ランドパワーとシーパワーの間の緩衝地帯」すなわち、バッファーだということだ。つまり、半島はあくまで緩衝地帯にすぎず、最終防衛ラインではないという意味だ。これは、シーパワーの海軍戦略から導かれた解だ。逆に言えば、シーパワーの立場に立った緩衝地帯の役割を果たすことにより、韓国の経済発展は日米の協力により、保障されたということだ。
 これが、日韓基本条約の真の意味であり、韓国側は国および国民の対日請求権の問題を「完全かつ最終的に解決」したものとし、日本側は無償3億ドル、有償2億ドルの計5億ドル、プラス民間3億ドルの「経済協力」を行うとした根拠だ。当時の朴正熙政権はその資金のほとんどを、目標とする経済建設につぎ込んだ。協定で、その資金が「大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない」と定められた通りに。
 ここから、いわゆる、「漢江の奇跡」に繋がり、これらの資金を京釜高速道路や昭陽江多目的ダム等に投入して社会基盤を整備すると共に国策企業や財閥の重工業分野に集中的に投資し経済開発を推めた。代表的な国策企業は浦項製鉄所や韓国綜合化学等で、朴泰俊や白善Y等の高位の退役軍人を代表に据え、日本からの技術導入交渉に当てた。また、この政策によりサムスングループや現代グループ等の韓国を代表する財閥が成長した。
 こうして、韓国経済は急成長を遂げ、国力で北朝鮮を逆転し、公約であった国民所得を10倍にするという目標を目標より3年早く達成した。すなわち、韓国は日米というシーパワーと組んだことで、経済発展できたわけだ。

 しかし、半島国家の宿命として、「シーパワーはいざとなったら見捨てる」ということは重要だ。例として、アメリカは二度の世界大戦から冷戦を通じて、イギリスと欧州大陸の間のドーバーに防衛線を置いた。シーパワーは効率の観点から、防衛線を海上に置くべきというのは歴史の鉄則だし、シーレーン保持には島を取っておけば、必要十分だからだ。
 これは、冷戦期のアメリカの戦略を見れば分かる。冷戦とは主に欧州で戦われた。欧州はユーラシア大陸から突き出た半島といえる。(マッキンダーは欧州を「ラテン半島と呼んだ」)地政学的観点からは、東欧が北朝鮮で仏独は韓国に、英国は日本に相当する。
 NATOの軍事ドクトリンはこうだ。もし東欧から、ソ連およびワルシャワ条約機構の機甲師団が西独に進出してきたら、西独奥地に戦車部隊を引き込んで戦線が延びきった時点で反撃する。
 万一通常戦力による反撃が不首尾に終わった場合、西独、フランスを見捨てて限定核攻撃(中短距離核)でワルシャワ条約軍、及び東欧を攻撃し、反撃にソ連はSS20(中距離核)を仏独に打ち込むということだ。
 どちらに転んでも、アメリカは仏独といった大陸国家を守ろうとしていた訳ではない。むしろ、米ソ間では、核戦争をやる場合には、戦場を欧州に限定し、米ソ本国は「撃ち合わない」とする密約があったようにすら考えられる。
 これがいわゆるINF(中距離核戦力だ。)1970年代にソ連は中距離核弾頭ミサイルSS20とバックファイヤー爆撃機をNATOに向けて実践配備した。西ドイツのシュミット首相は、この破綻した軍事バランスを回復する決断をしてアメリカから中距離核弾頭ミサイルパーシングUと地上発射用巡航ミサイルを導入して、核のバランスを回復した(1979年)。
 そして、同時に開始した軍縮交渉により八年後にSS20のヨーロッパからの撤去を勝ち取ったのだ(1987年)。このシュミットの決断の前提には、核戦略的思考と、「政治的、軍事的バランスが安全保障にとって必要条件である。このバランスを重視しないほうがよいというのは幻想に過ぎない」という考えがある(シュミットのロンドンでの講演)。

また西独はGSG9という特殊部隊を結成し、もし、西独駐留米陸軍が西独政府の許可なく、パーシング(短距離核)を発射しようとしたら、突入して阻止する使命を帯びていた。
 この、「独仏を犠牲にして、イギリスを守る」というのが、冷戦期、アメリカの戦略であり、島国の重要性を物語る。
パーシングがイギリスではなく、西独に配備された真の理由をお分かりいただけただろうか。冷戦といっても単純ではない。このことは、近い将来、極東有事の際、島国の日本を防衛線にして、韓国を見捨てる可能性を示す。

在韓米軍撤退はこのような文脈で考えるべきだ。アメリカの世界戦略を考えた場合、韓半島を維持するのに、3万5千の陸軍を配備するだけの価値がないという判断から在韓米軍を縮小、撤退するだけの話だ。

<参考>
 太田述正コラムNo.361 第二回小泉・金会談について(その3)米国の韓国放棄
http://www.ohtan.net/column/200405/20040526.html#0
 「米地上部隊の軽量化と機動性の向上によって、特定の前方地域に地上部隊を配備しておく必要性は少なくなった、ということは事実ですが、日本(沖縄)から地上部隊である海兵隊・・沖縄にいなければならない必然性は全くない 拙著「防衛庁再生宣言」80〜83頁参照)・・の撤退が計画 されているという話は聞こえてきません。

 韓国だけから米地上部隊が大幅に撤退するということは、米国は北東アジアにおける同盟国として、米軍の前方展開及び兵站・中継ハブとして機能を担っているところの「親米」日本を選択し、反米韓国は見限り放棄したということだ、と私は考えているのです。」
 在韓米軍はあくまで対北朝鮮用の陸軍であり、世界戦略上は大した意味を持たないし、中東で兵力不足をきたしている以上、当然の措置と考える。朝鮮半島は本来、アメリカの防衛ラインに入っていなかったのだ。「アメリカはアリューシャン、日本、台湾、フィリピンを結んだ線から西には興味がない」としたアチソン声明がそれを端的に示しているのである。

 このように、第二次大戦や冷戦期の欧州、さらには、朝鮮戦争を考えても、「半島国家」は常にランドパワーとシーパワー(米ソ)のバッファーとして、実際に戦場となり、悲惨な運命をたどることになる。
 今後の朝鮮半島の運命も、米中間での取引の材料となるだろう。すなわち、在韓米軍撤退と、台湾侵略放棄あるいは北朝鮮支援放棄のバーターだ。半島国家の運命とは常にこのような大国の利害に左右される。つまり、現在の韓国が親中政策を続ける限り、「日米による韓国切捨て」は確実だ。

 なお、韓国と同じような地政学条件にある西ドイツは、1990年の東西統一以前に、ソ連と秘密裏に統一交渉を行っていた。その統一を後押ししていたのはかのスターリンであった。西ドイツ主導で東ドイツを吸収合併させる代償として、スターリンは西ドイツのNATO脱退と完全中立化を望んでいた。これは、西ドイツを西と東との緩衝地帯にしようと目論んだためである。しかし当時の西独首相、コンラート・アデナウアーは西側諸国との協調を優先したためスターリンとの交渉を蹴った。以降、西ドイツは何度もソ連と統一交渉を秘密裏に行ったが、1990年まで統一が実現することはなかった。まさに、スターリンは、西ドイツを一本釣りしようとしたのだ。しかし、アデナウアーがスターリンの罠にかからずに、西側シーパワー連合との紐帯を優先させたことがその後の冷戦の勝利に繋がり、西ドイツの繁栄を支えたわけだ。現在の韓国大統領にアデナウアーのつめの垢でも煎じて飲ませたい。

<参考>
 統一ドイツ
http://www.shootingtips.com/NewFiles/article/German%20Policegun/HGPP7/HGPP7-1.html

 「歴足的にふりかえると、1952年にソビエト政府は、スターリン・ノートと呼ばれる、ドイツ再統一と講和条約の条件をしるした覚書を、ドイツを占領したアメリカ、英国、フランスに送っている。スターリン・ノートには、東側、西側のいずれのブロックにも加わらない中立ドイツと講和条約を結ぼうという提案がしるされていた。
 狡猾なスターリンが、その社会主義ブロックに組み込んだドイツを手放しても良いという提案をなぜ出してきたのか。それは、アメリカ、イギリス、フランスの占領下にある西ドイツが、再軍備する事を阻止することが主目的だったと思われる。軍事的に優位なアメリカが、ヨーロッパに軍を駐留させる理由を失わせる意図があった。 スターリン・ノートの提案は、当時の西ドイツ主導者だったアデナウアーによって拒絶された。アデナウアーは、西ドイツ単独で国家主権の回復を目指し、1955年に国家主権を回復した。主権を回復した西ドイツは、同時に北大西洋条約機構(NATO)に加盟した。
 西ドイツと西側資本主義諸国に対抗して、ソビエトは、影響下にある東ヨーロッパ諸国間で、NATOと同様な軍事条約であるワルシャワ条約機構を発足させ、東ドイツの国家主権を回復させた。
 西ドイツのアデナウアーは、東西に分割されたドイツの統一をあきらめたわけでなかった。まず、資本主義国家としての西ドイツの主権を回復させて復興を急ぎ、経済的に東ドイツに対して優位に立ってこれを圧倒し、結果的に西ドイツが主導権を握って再統一を目指すことだった。
 しかし,アデナウアーの存命中に、ドイツが再統一されることはなかった。西ドイツが急速な経済復興をとげると、東ドイツの経済は追いつめられ、優秀な頭脳や労働力が西側に流出した。頭脳や労働力の流出を防ぐため、1961年8月13日、ベルリンに壁が築かれ、ドイツ再統一が遠のく結果となった。」

<参考>
 朝鮮日報
謎めく接触 強制捜査、在韓米軍、南北会談

 警視庁公安部の強制捜査があった23日を前後して、ある謎めいた出来事が進行していた。韓国情報機関「国家情報院」の金昇圭院長が21日、突然極秘来日し、漆間巌警察庁長官ら日本側公安関係者たちと接触し、強制捜査当日には大阪に飛んでいたのである。
 即日伝えたのは『朝鮮日報』だけだ。金院長訪日の目的が、北朝鮮に圧力を強める日本を牽制しながら、北朝鮮政策で韓国と歩調を合わせるよう要請することにあると報じた。本紙ソウル支社も同様の情報を得ている。支持率の低下する盧武鉉大統領は失地挽回に、今年中に南北会談をやるかもしれず、そのためには、日本に共同歩調を取らせ、北朝鮮への圧力、総連への強制捜査を中断させたかったというのである。

 ソウルの消息筋はこう伝えている。「訪日は日本公安当局の要請だと思う。漆間は金昇圭に総連捜索の動きを事前通知し、金吉旭の引き渡しを迫ったのではないか。あるいは、強制捜査の動きを知らされた金昇圭が、これを阻止するために日本に飛んだ。盧武鉉政権の情報部だ。考えられないことではない」
 いずれもうなずけなくはない話だ。それでも、異例といえる金昇圭院長の極秘来日の行動には謎が残る。一国の情報機関の責任者がこうした動きを見せるのには、それ以上の思惑が秘められていたと見るべきだ。

 日本の公安関係消息筋から興味ある情報が舞い込んできた。「在韓米軍撤退」がキーワードだというのである。
 「アメリカはすでに検討段階に入っている。慌てているのは国情院だ。偵察衛星の情報が入らなくなるからだ。韓国は情報面で両目を塞がれるだろう。そうなると頼れるのは日本だけだ。日本側との情報交換システムを根本から変えねばならなくなる。
この時期にタイミングとしてもトップが来ないわけにはいなかったのだろう」

 今年1月25日、盧武鉉大統領は年頭記者会見で、作戦統帥権を在韓米軍から韓国軍へ移譲するよう求めていることを明らかにした。南北間の紛争で米軍が前面に出ないほうがよいというのが理由だ。ワシントンの消息通はNSC(米国家安全保障会議)レベルの話として本紙にこう伝えた。
 「米政府は盧武鉉の背後にはっきりと金正日の姿を捉えている。撤退のシミュレーションは終わっているはずだ。米国はすっきりするだろう。日本の座間に移転すれば済む話だ。困るのは盧武鉉だ」

 米国はすでに世界戦略上の軍事シフトをアジア、中東に転換しており、西太平洋の軍備再編として、陸軍第一軍団司令部をワシントン州から座間に移している。在韓米軍の移転計画もこれにリンクしているのかもしれない。
 米国はそれでも韓国からの完全撤退は考えていないはずだ。韓国にいるかぎり「国連の御旗」を保持できるからだ。38度線に事あるとき、これがなければどうにもならない。改めて多国籍軍を編成するのは困難だ。中国を念頭におくとできぬ相談である。ワシントンの消息通は、兵力数が2万を割れば座間に移るだろうと見ている。いずれにせよ、作戦統帥権がなくなれば、偵察衛星情報を韓国政府に提供せねばならない理由はなくなる。盧武鉉政権は、北朝鮮への「配慮」から、韓国軍を窮地に立たせることになるかもしれない。警視庁の今回の強制捜査は、韓国側の要請を明確に拒否したことを示 している。
 ワシントン、ソウル、東京から入ってくる情報は共通している。「日本と米国は盧武鉉をまったく信じていない」 以上
(江田島孔明、Vol.99)
http://npslq9-web.hp.infoseek.co.jp/sls099.html

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