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Taiwan Lobby 李登輝のソフトパワー戦略
Cruel Intentions ?
ジョン・ミアシャイマーとスティーブン・ウォルトの「イスラエル・ロビー」論文は、私の知る限りでは、日本のマスコミで報道したのは、なんとサラリーマンの帰宅列車の友「日刊ゲンダイ」だけだったと思う。それも、元外務省の天木直人さんの連載コラムで簡単に触れられていただけで、しかも、天木さんは「ミーシマー」とかミアシャイマーの名前を表記していた。実際はどう読むのかわからないが、この言論人を日本に紹介した、気鋭の若手研究者が「ミアシャイマー」と書いている以上、この表記で統一するべきであろう。
それで、今回のテーマは「台湾ロビー」である。この台湾ロビーについてまともに研究して、体系的に表したのは、大平・中曽根番をしていた元新聞記者(東京タイムズ)の本澤二郎氏くらいであろう。データハウスから1998年の刊行である。この人は「平成の妖怪・中曽根康弘」という本も出している人であり、思想的には親中国系だろうと思う。
しかし、だからといって、彼の内容が全く信頼できないわけではない。むしろ、逆の立場で物事を見ているわけだから、反中国派があえて語らなかったことも語っている可能性があるのだ。
本沢氏の著作の英語名は
TAIWAN LOBBY :a Japanse political Pressure group.
とある。やはり日本語の書籍も英語名に魂が込められている場合が多いと言わざるを得ない。
この「ロビー」というのは、政治圧力団体である、とこのタイトルは語っている。
イスラエル・ロビー論文の著者の一人であるウォルトは、著書で次のように書いていることも想起したい。
(引用開始)
Foreign leaders may also try a strategy of bonding--in effect trying to form close personal ties with US officials and lending their support to specific US policies --in the hopes of gaining additional influence over what the United States does.
Foreign governments may also try to manipulate the US domestic political system directly ,by penetrating the American body politic and giving individual politicians strong incentives to favor close ties.
To show how a strategy of penetration works , I focus in detail on the operations of the Israel lobby, which is far and away the most successful example of a country using the US political system to gain influence over US foreign policy. I also offer briefer studies of the Indian and American lobbies , which show that the Israel example is far from unique.
"Taming American Power" by Stephen M. Walt ;Norton,2005(page25)
(引用終わり)
この引用部分、イスラエルを台湾に、アメリカを日本に置き換えることで文章として成り立つ。
「日本の政府高官と個人的に接触して人脈を作って、日本のある特定の政策に支持を与えるーー日本の国家としての政策にさらに影響を与えることを目的にして」という下り。私にはどうしても、日本のマスコミで活躍する、台湾人の「日本の保守的歴史観擁護、靖国神社参拝擁護、日本の自衛権強化の擁護」をどうしても思い浮かべてしまう。
イスラエル・ロビー論文では、イスラエルのリクード右派の系統のロビー活動を受けた、アメリカのネオコン派たちが、イスラエルの安全保障を第一に考えて、アメリカの政策をつくるのだ、と書かれていた。イスラエル・ロビーほど重大な影響を与えているとは言えないにしても、日本の言論人、政治家が台湾ロビーの影響を受けている−−それは当然、アメリカ・ロビー、中国ロビーの影響についても同じであるが、ことは明白である。
そのことは当たり前のことなのに、保守系雑誌では、意図的に書いていない。中国ロビーの二階俊博議員のことはやり玉に挙げるのに、台湾ロビーについては書かない。
それはなぜかというと、理由は二つある。
一つは、単純に反中国であったり、台湾が植民地時代に青年時代を過ごした「保守系雑誌の主な読者層」に配慮しているからである。
もう一つは、もっと重大なのだが、保守系雑誌の編集陣が台湾ロビーの影響下にはいってしまっているからである。
台湾ロビー、あるいは、台湾のジャパン・ハンドラーといってもいいが、その代表格は、やはり言論人で言えば、金美齢女史であろう。黄文雄と言う人もいるが、タダの作家なのでこの人はさほど影響力はないと思う。金美齢女史の経歴は次の通り。
(引用開始)
台湾総統府 国策顧問
学校法人柴永国際学園JET日本語学校 専務理事
略 歴 1934年2月7日 台湾・台北にて出生
1952年6月 台北第一女子高級中学(高校)卒業
1959年3月 留学生として来日
1959年4月 早稲田大学第一文学部英文学科に入学
1964年3月 周英明(東京大学博士課程)と学生結婚
1971年 早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了
1975年-76年 イギリス・ケンブリッジ大学客員研究員
早稲田大学大学院在学時より、聖心女子学院、東京女子大学、東京理科大学、フェリス女学院大学の講師を歴任し、早稲田大学では1996年3月に至るまで20年以上にわたり英語教育に携わってきた。
1988年4月より2000年3月まで、学校法人柴永国際学園JET日本語学校校長、現在は専務理事。
テレビを始め新聞・雑誌など各種メディアにおいて教育・社会・政治等の幅広い分野にわたって様々な提言を行っている。
http://www.geocities.jp/kinbirei/profile.html
(引用終わり)
ここで[聖心女学院]とあるのが注目される。調べてもわからなかったのだが、金女史はクリスチャンかもしれない。李登輝氏はクリスチャン(ローマン・カトリック)である。この部分をほじくってみないといけないかもしれない。
それで、台湾ロビーのカウンターパートになっているのは、ジャーナリストで言えば、櫻井よしこ女史である。彼女もまた、クリスチャンかもしれない。日本でジャーナリストを始める前には、「クリスチャン・サイエンスモニター」の記者だった人だ。台湾に関して言えば、桜井女史の両親は当時日本領だった台湾で出会い、父が貿易会社を経営するベトナムで新婚生活を始めたと、のことであり、こっちの経歴が影響を与えているのかもしれない。いずれにしても彼女の自伝を研究してみる価値はありそうだ。(保守系の山谷えり子議員はクリスチャンだったというので、案外、桜井氏も・・・・という可能性はあるように思うが、今のところ未確認)
その桜井女史。最近、「週刊新潮」に「中国が日本に【軍事侵攻】する日」という記事を寄稿した。中国と日本は、資源紛争で小競り合いになることはあっても、中国が日本にせめて来るということはあり得ない、ということは少し考えればわかる。中国の地域覇権がどの程度のものになるかは、予想の範囲でしかないが、シーレーンに関して言えば、日本もアメリカだけに頼るのではなく、多国籍の枠組みで対応する必要はある。しかし、軍事侵攻とは。
この記事に関して、森田実氏は次のように書いている。これは正しい見方だろう。
(引用開始)
「戦争は、力が均衡しているときに起き易く、力が大きく離れているときには起きにくい」――これが1行目の文章である。何も知らない人は「そんなものか?」と思うかもしれないが、少しでも歴史を知っているものなら、すぐに「おかしい」と気づくはずである。櫻井女史は戦争の歴史を何も知らないのではないか。数からだけ見ると、戦争は力の差があるときのほうがはるかに起きやすいのである。編集者にも言いたい。あまりに無知な人をマスコミの寵児にでっち上げるようなタチの悪いことはやめなさい。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02624.HTML
(引用終わり)
この観点で言えば、日米関係を重視しつつも、現在の時点でのアメリカの国家戦略に従って、北朝鮮・中国の脅威を過剰に煽ることに対して反対の立場を出している、岡崎久彦氏の方がよほど桜井氏よりも現実感覚がある。岡崎氏はアメリカの怖さを実感でわかっている人であるから、現在のアメリカが台湾に関しては「軍事バランスの維持」を政策の基本に据えている以上は、それに「現実的に対応する」ことが”大人の態度”だと考えている。ある意味で岡崎氏の親米論は、立場を異にするような人に対しても説得力がある。
ところが、私の見るところ、近年増えてきた、台湾ロビーのカウンターパートには危うげなものを感じる。台湾ロビーは元々、カトリックの太平洋戦略に伴って、中華民国を支援してきた反共勢力という歴史的経緯もある。カトリックのインフルエンスが、台湾独立派=台連の総帥格である李登輝氏を動かしている面がないといったら嘘になる。
森田氏ははっきりと書いている。
(引用開始)
櫻井女史は、中国は必ず軍事行動を起こして台湾を攻撃するから、そのとき日本は台湾を守るために中国軍と戦え、とでも言いたいのであろうか。バカもいい加減にしなさい。
すべてが極論すぎる。冷静さがまったくない。中国が、軍事力で日本を攻めてくることがあたかも避け難いことのように考えているようである。その上で、言葉を曖昧に使いながら中国との戦争を煽っているのである。
日本はどの国とも戦争をしない――これが日本の国是である。
日本は台湾の手先になって中国と戦争するような愚かなことをしてはならないのだ。それより、そうならないよう平和外交に精を出すべきなのだ。
櫻井女史は戦争というものがどんなに恐ろしいものであるか、まったく無知なのであろう。それよりも、日本が米国の属国となってしまっている現実について櫻井女史は何も語っていない。米国の戦略のもと、台湾政権の手先となって中国と戦争するような愚かなことをしてはならない。
(引用終わり)
保守派の側から見れば、台湾は日本の歴史認識問題についてはものわかりがいい。しかし、台湾は尖閣諸島問題では台湾のナショナル・インタレストを日本に対しても、中国に対しても主張するのである。台湾の靖国・歴史認識問題での日本の立場の支持は「台湾の安全保障」とトレードオフの関係にある。
台湾も必死であるということはわかる。今週号の『ニューズ・ウィーク 日本版』では台湾が台湾人の意思で中国に再統一される可能性に関して論じている。特に若い世代にはこだわりがないし、経営者についても、ビジネス上のうまみは見逃せないようだ。私は中国の体制如何に関わると思うが、現在の段階では「現状維持」をとり続けるという現政権の政策が日本にとってもアメリカにとっても中国にとっても正しいと思う。いずれ、香港のような状態になることが理想的だろう。
次期総統となるだろう馬英九(国民党)については、反日的な部分もあるような気がする。彼についてはもう少し検討する必要はありそうだ。
台湾ロビーについての情報は、元国家議員の熊谷弘氏も書いておられる。
(引用開始)
5/8
長い連休も終わり、いよいよ仕事のシーズンへ。
山積みされたProjectsの整理に入らねば・・・・。
朝から電話の数が多く、だれであったか思い出せないのだが、
日本の銀行は資金運用の判断を(米国に)丸投げしているみたい、と言う。
これに対し、小生。
日本政府も、外国への資金援助についての判断は、(米国に)丸投げしているではないか、
と答えておく。
もうひとつ気がかりな電話。
この連休中も、自民、民主の若手議員たちが何グループにも分かれて台湾へ豪勢な接待旅行をしていた由。
http://www.kumagai.ne.jp/column/entry.php?entry_pkey=423
(引用終わり)
[国家に永遠の友人はいない]。この言葉をかみしめるべきである。台湾はもはや日本の植民地ではないのだ。台湾ロビーの浸透工作に注意するに超したことはない。
余談であるが、日本が自立するには、核保有がどうしても必要である、ということは、その被爆国であることのメリットを捨てることのリスクと合わせて、いずれ検討する。ブレジンスキー型の保護国でもダメだし、アーミテージ型の同盟国でもダメである。パキスタンですら核を持つ時代なのである。大国であるための条件としての核保有という条件は薄れつつある。
さらに余談であるが、イランのアフマディネジャド大統領のブッシュへの書簡の内容は、非常に理性的に書かれており、イスラエルロビーでもなければ反論のしようがないものだった。
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TAIWAN'S LOBBY IN JAPAN
It's stronger than the one in Washington
http://www.pathfinder.com/asiaweek/98/1211/nat2.html
李登輝氏、仙台に現る?メディア混乱「温泉滞在か」
2006/05/09(火) 13:24:48更新
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0509&f=politics_0509_002.shtml
李登輝・その虚像と実像
http://www.hanmoto.com/bd/ISBN4-88323-124-0.html
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台湾ロビー
本沢 二郎 (著)
書籍データ
単行本(ソフトカバー): 234 p ; サイズ(cm): 19 x 13
出版社: データハウス ; ISBN: 4887184832 ; (1998/05)
目次
第1部 台北に操られる危険な安保・外交政策(新ガイドラインに鼻高々の台北
台湾ロビーの盟主になった梶山静六
第二の岸信介を目指す? ほか)
第2部 永田町に巣食う台湾ロビーの生態(元自民党秘書が明かした黒いロビー工作の実体
対日工作は自民党に集中
真相は墓場に持ち込まれる ほか)
第3部 対日工作員80年の生涯(億万長者の死
上海‐香港‐東京
日本の売春婦を手当たりしだいに買う ほか)
# by japanhandlers2005 | 2006-05-11 11:09 | Trackback | Comments(0)
http://amesei.exblog.jp/d2006-05-11
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【私のコメント】
台湾の国益と日本の国益は別個であり、台湾の国益のために日本の国益が侵されることがあってはならない。筆者の主張に私は完全に同意する。
櫻井よしこの「戦争は、力が均衡しているときに起き易く、力が大きく離れているときには起きにくい」との発言は、もし書き間違いでないとすれば失笑を禁じ得ない。私は薬害エイズ問題でのヒステリックな安部英叩き以来、櫻井よしこの主張は何ら目新しいものが無く、読むのは時間のムダであると考えていたが、ここまで酷いのならば驚きだ。