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・・・『マオ』は基本的にゴミクズというべきであり、言論の自由を守るために、ゴミクズを守る必要はない・・・『マオ―誰も知らなかった毛沢東』続報
出典http://www.21ccs.jp/china_watching/DirectorsWatching_YABUKI/Directors_watching_22.html
『マオ―誰も知らなかった毛沢東』続報
― 『マオ』中国語版を葬った台湾の見識に見習うべし ―
イギリス版 アメリカ版 日本版(上巻) 日本版(下巻)
張戎夫婦の『誰も語らなかったマオ』中国語版は、難産の挙句、流産した。
4月下旬に台北から届いたニュースによると、台湾の遠流出版社は出版中止を決定した由である。
張戎自身は「他の出版社から、近いうちに出したい」と声明した由だが、まともな出版社なら敬遠するであろう。
このあたりの見識は、流石であり、日本マスコミ界の狂気ぶりとは、著しい冷静な判断だ。
ちなみに、この出版社は数年前、李登輝著『台湾の主張』(1999年5月)を出版した本屋である。
『中国時報』によると、遠流出版社は今年4月19日に張戎側に中止の方針を正式に通知した。
遠流出版社董事長王栄文は「ベストセラーを失うのは、はなはだ遺憾であり、呆然とした」と感想を述べている。
王栄文によると、遠流出版社の編集担当者と張戎との間で、議論になった争点についていかに「中立的な叙述」に改めるかをめぐって協議したが、「共通認識に到達することができず、その結果、遠流出版社は出版中止を決定した」という。
王栄文が強調したところによると、遠流出版社は慎重な編集態度を採り、記述された内容の根拠をより明確にするよう求めたが、張戎の作品には王栄文を説得するに十分な論拠がなく、編集・出版側の立場と矛盾したという。
張戎自身は「この本の毛沢東とその他の人物についての描写は、すべて史実に基づいたものだ」と強調した。
蔣介石の愛将胡宗南が中国共産党のスパイであったかもしれないとする指摘についても、張戎は「史料に基づくものであり、胡宗南とその遺族に対してはいかなる恨みもない」と述べた。
さらに張戎は、「民主的、多元的、法治的、理性的な現代社会においては、歴史研究において多元的発言を容認すべきであり、それゆえ記述を修正したうえでの出版は求めない。
この本はすでに20種の外国語で版権が売られており、内容の整った[筆者注、原文を修正しない、の意]中国語版はすみやかに出版されるものと思う」 と述べて、依然強気である。
『マオ』についての台湾側の事情はこうであった。
台湾の数社が競争した結果、2005年7月に遠流出版社が契約にこぎつけた。
業界筋によると、版権は200万台湾ドル[約700万円]と見られ、発行量は繁体字本と簡体字本、各2万冊、計4万冊の予定であった。
本書の中国語版は当初は2005年末に出る予定であったが、2006年4月まで遅れ、巷間さまざまの憶測が流れていた。
では、何が致命傷になったのか。
胡宗南将軍が中国共産党のRed sleeperであったとする記述である。
この評価については、学界から根拠薄弱の批判が出ただけでなく、胡宗南の子息で現在台湾政府駐シンガポール代表[シンガポールはいま中華人民共和国と国交を結んでいるが、それまでは台湾政府のシンガポール「大使]である]を務める胡為真が抗議しただけでなく、旧黄埔軍官学校のOBたちも抗議したという。
「誤謬を記述し、デタラメきわまる。事実を歪曲し、国家の忠臣を悪意をもって侮辱、誹謗し、胡宗南上将の一生にわたる忠誠と犠牲の勲功名節を毀損した」と。
胡為真代表は3月末に多くの退役将軍とともに遠流出版社王栄文を訪ねて抗議の趣旨を伝えたが、かくも大勢の将軍が「満天の星々」のごとく、顔を揃えて抗議に向かったのは、かなりの見物であったと遠流出版社関係者が証言している。
胡宗南上将の名誉を重んじた子息胡為真とかつての盟友たちの抗議により、『マオ』中国語版が流産した経緯は、以上のごとくである。
同じ『中国時報』は研究者たちの評価を紹介している。
台湾の歴史研究者李永中、香港の伝記作家胡志偉は、『マオ』の出版中止について、「真の歴史がニセの歴史に打ち勝ったことを示すもの」と評価した。両氏は年初の『伝記文学』に胡宗南スパイ説を論駁する文章を書いたという。
中央研究院院士許倬雲は
「本書の多くの部分は証拠がなく、来歴がなく、インタビューも時間と場所が記述しておらず、検証するすべがない。『マオ』は基本的にゴミクズというべきであり、言論の自由を守るために、ゴミクズを守る必要はない」は手厳しい評価を下している。
中央研究院近代史研究所所長陳永発は、「張戎の作品があまりにも性急な結論に飛びつくのは、毛沢東に対する先入観のため」だとして、「証拠と結論の間の関連が緊密でないものを学術著作とみなすことはできない」。
陳永発は旧ソ連が現ナマを与えて毛沢東の生活を支えたとする記述について、学界ではこれまで証拠がない」とコメントしている。
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台北から届いたこのニュースに接して、さもありなんと大いにナットクした次第である。
ところが、このニュースに続いたのは、わが日本の「新史料発掘、白熱の激論7時間、あの戦争の仕掛人は誰だったのか」(『諸君』2006年6月号24-68ページ)である。
これは、痴呆老人と痴呆老人予備軍たちの「総力特集」とでも評するほかない世迷い言である。
中西輝政(京都大学教授)、滝沢一郎(国際問題評論家)、桜井よしこ(ジャーナリスト)、北村稔(立命館大学教授)、伊藤隆(東京大学名誉教授)の5人が放談している。
興味をもたれた読者にお勧めしたい。
台湾のまじめな研究者たちと、日本の一知半解、売れっ子論客たちの妄言と、どちらが歴史の検証に堪えうるか、比較対照されるよう希望したい。
断っておくが、許倬雲や陳永発は、むろん毛沢東主義者ではないし、マオイスト崩れでもありませんよ。
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[私の意見]
どうも「と」の疑わしくも芳しい香りがこれらの「本」からぷんぷんするので疑っていました。
嫌韓本からするキムチのような「と」の匂いのように直感的に如何わしさ満載の本なら最初から疑う事ができるのですが、このような本はおなじ「と」の香りでも比較的上品なので始末が悪いですね。
※ちなみに決してキムチの香りが悪いと言う事ではありませんので、誤解なきようお願いいたします。
まあ、きちんとした討論や実証を積み重ねて「真理・真相」に迫るという気風がいつの間にか失われ、「直感」や「感性」と言う美しい言葉で「思考」する事を蔑む傾向が作られている状況のなかでは騙される方々が少なからず出てくるのは仕方が無いのですが・・・・・・
ただ「読む」と言うだけでは情報の利用・活用はできず、暗記しているにすぎないのですが、小さいころからの○×式マークシート学習しかしらない若い世代には「と」の芳しい香が阿片のように気持ちいいのではと思えてしまいます。
このような本の決まったパターンは多数の事実の中の重要な事象の中に巧みにかつ精巧に「虚偽」を紛れ込まして「と」の香りを封じ込めてしまうので参考までに申し添えます。