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【歴史】「韓国社会は排他的民族主義から脱却せよ」(朝鮮日報)
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投稿者 gataro 日時 2006 年 5 月 06 日 22:41:14: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/05/04/20060504000064.html

 今年出版された『解放前後史の再認識』は、韓国社会が民族主義について再考する契機となった。アンケート調査によると、この本を読んだ読者の69%が、『解放前後史の再認識』の視点は時代に合った歴史への評価であると答えた。これは国民の多くが、これまで学んできた民族主義的な歴史に問題があると考えていることを意味する。人々は今や、すべてを「民族」という単一の概念でくくってきた歴史の枠から逃れたいと願っているようだ。

 韓国人は教育を通じ、あるいは開天節(檀君神話にちなんだ韓国の建国記念日)のような祝祭日を通じ、絶えず民族と民族主義をすり込まれながら成長する。韓国の教育において民族は根源的な概念であり、民族主義は人間が生まれつき備えている本能的な衝動として現れる。しかし、それは事実とは異なる。

 民族とは、人が生まれてから接する環境の範囲を大きく超えた、巨大な概念だ。それゆえベネディクト・アンダーソンは、民族を「想像の共同体」と表現した。また民族主義も、自分の家族や郷土に対して自然に培われる愛情の枠を大きく外れたものであるため、本質的に外部から注入され、習得されて初めて生じる理念に過ぎない。

 民族という概念がそれほど昔からあったものではないという事実について、長い説明は必要ない。端的に言えば、人口の多くが農奴であった朝鮮時代に、民族など存在しなかった。両班(当時の支配階級)や平民、農奴の間に、お互いを「ウリ(われわれ)」という連帯意識に含めて考えるような認識は存在しなかったからだ。民族としての韓国人は、甲午改革(甲午農民戦争)の後、封建的身分秩序が崩壊し始めて初めて浮上したものであり、実際には三・一独立運動を契機として形成されたと見るべきだろう。民族主義歴史学はこうした事実をまともに教えてはくれないが、これは必ずしも学校教育で学ばなくとも知ることのできる事実だ。

 韓国社会で民族主義が勢力を握り、猛威を振るってきた理由は、植民統治の経験と南北分断にある。前者については、今やかなり克服できたと見ることができる。日本はいまだ理解し難い隣人ではあるが、韓国の今の若者は日本に対し引け目を感じる必要はないと感じており、日本に対する敵対心も強くないようだ。

 一方で、すべてを民族統一の観点から見ようとする視点は、深刻な問題として残っている。いったいなぜ、人権や自由といった人類の普遍的な価値が、民族よりも軽んじられなければならないのだろうか。まずは統一が重要だから他の問題については蓋をしておこうという現政権の北朝鮮政策は、虚構の理念に埋没し、真性な価値から目をそらす悲劇的な現実を示しているものにほかならない。

 民族主義に執着する人々は、この世界が相変わらず国民国家というシステムの枠内で回っていることをその理由に挙げる。その指摘は間違いではないが、そうした勢力はすでにかなり衰退したし、また衰退しつつある。民族がアイデンティティを形作る属性としての機能をまだ有していることは認める。しかし、それが排他性を伴ったものである必要はない。

 「アイデンティティは帽子ではない」という言葉がある。一度に一つずつしか着用できないものではないという意味だ。人間を構成する多様な属性のうち、民族アイデンティティは唯一のものでもなければ、他のものより圧倒的に優先されるべきものでもない。国家は国民に対し、一つの属性だけを強要するのではなく、国民の多様なアイデンティティを法的・制度的に保護する機能を負わなければならない。

 民族の有する文化は本質的なもので、その原型は維持されねばならないという主張もまた、時代錯誤なものだ。民族も、文化も、常に変化するものであり、新しく作られていくものだからだ。

 ここで、韓国社会ですでにその存在が浮き彫りとなっている「外国出身の韓国人」たちについて考えてみる必要がある。われわれは、彼らを同化させることにばかりとらわれるのではなく、彼らの多様な文化を受け入れ、新しい国民文化を創っていく可能性を開いていかねばならない。

 21世紀の韓国の戦略は多様性と寛容にこそあるべきだ。当然守るべき人間の基本的な価値すら否定する排他的な民族主義ではなく、「われわれの中の違い」を認め、愛しむ愛国主義こそがわれわれの進むべき道だろう。韓国人は今や、「血を分けた民族」ではなく、「平等な、市民の共同体」としての民族を育てていかなければならない。そうしてこそ、今後生まれてくる多くのハインズ・ウォードのような子どもたちも、韓国人であることを心から誇りに思うことだろう。

寄稿=朴枝香(パク・ジヒャン)ソウル大学西洋史学科教授

朝鮮日報

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