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毎日新聞 1月24日(木)10時45分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130124-00000024-mailo-hok
戦時下に道内のカトリック教会トップである札幌教区長を務め、終戦直後に横浜で軍部関係者とみられる男に射殺された戸田帯刀(たてわき)神父(1898〜1945年)の足跡をたどる集会が26日、札幌市中央区北1東6のカトリック北一条教会で開かれる。戦時中に「世界平和」を唱え、非業の死を遂げた戸田神父は一般にほとんど知られていない。主催団体は「平和の殉教者ととらえ、歴史の暗部に光を当てたい」と話す。
【伊藤直孝】
◇元本紙記者・佐々木さん講演
戸田神父は1898(明治31)年に山梨県の養蚕農家に生まれ、17歳で受洗。ローマ留学後の41年に札幌教区長に就任した。開戦後の42年3月、「米英を相手に戦争したらどうなるか分からぬ」などと周囲に漏らしたとして特高警察に軍刑法違反で逮捕され、裁判で無罪となったが、転任先のカトリック保土ケ谷教会(横浜市)で45年8月18日、軍服姿の男に射殺された。47歳だった。
集会を主催する札幌地区カトリック正義と平和委員会の新海(しんかい)雅典神父(65)によると、札幌在任中は北海道大学生らがスパイ容疑で逮捕された「レーン・宮沢事件」で北大英語教師の家族を支援していたという。こうした行動が特高や軍部の目に留まったとみられる。
集会で講演する元毎日新聞記者のジャーナリスト、佐々木宏人さん(71)=東京都杉並区=は甲府市で勤務経験もあり、戸田神父の経歴にひかれ数年前から資料収集や取材を開始。教会関係者から「逮捕に同僚神父の密告があった」との証言も得て、10年からカトリック関連団体のミニコミ誌「福音と社会」で連載記事を書いている。
佐々木さんは「逮捕の背景にはカトリックの戦争協力など時代の暗部が見え隠れする。釈放後も憲兵に監視され、暗殺に至った可能性が高い」と指摘する。講演を通じ、関係者から資料や新証言を得ることも期待する。
新海神父は「戸田神父は道内のカトリック界でも戦後ほとんど語られなかった。次世代の平和に生かすために事件を総括したい」と話している。入場無料で午後2〜4時。問い合わせはカトリック小野幌教会(011・898・2626)。
1月24日朝刊