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紹介(広告文)
一言で言えば‥‥
この世界を闇から支配せんと企む悪の秘密結社たち
世界は陰謀に満ちており,貴方の身近な組織も実は操られている
こんなゲーマーにお薦めしたい
悪の秘密結社の首領に憧れていた少年時代を持つ貴方に
敵の敵は味方,でも昨日の味方も今日は敵,陰謀を渇望して止まぬ貴方に
プレイ人数 3−5人
プレイ時間 90分−180分
ルール難度 中級カードゲーム
デザイナー スティーブ ジャクソン
入手状況 発売中
歴史はめぐり,陰謀はいま再び
「イルミナティ」は,スティーブジャクソンゲームの傑作ゲームです。世界を闇から支配しようとする悪の秘密結社の陰謀を描いたカードゲームです。
クレジットを見ると,1982,1983,1987,1991,1999と5回の出版年次が記載されており,歴史がめぐるたびに陰謀が繰り返されていることがわかります。
ここで紹介するのは,最新の1999年版です。DX版になったのは,第3版か第4版からではないかと思われます。DX版は,ブックケースの半分ほどのサイズに大きくなっており,カードも大判になり,一枚一枚に美麗なカラーイラストが添付されています。
ボックスアートは伝統的なイラストがリライトされて使用されています。あらゆる手段を使って陰謀をめぐらすというゲームの本質を良く表した傑作イラストです。
世界征服をたくらむイルミナティたち
このゲームでは,プレイヤーは世界征服をたくらむ悪の結社(イルミナティ)となって,世界の様々な組織(グループ)を闇から支配していきます。その世界征服をたくらむイルミナティたちの顔ぶれは旧版から時代を経ても変わっていません。
左側に代表的な3つを示しました。いちばん上は,このゲームのトレードマークにもなっている一つ目のピラミッドマークのババリアンイルミナティです。10という強力なパワーと他者の干渉を排除した特権攻撃という強力な能力を持つゲームを代表する秘密結社です。収入9というのも悪くありません。正攻法,力技で勝利を目指すことのできるゲームの主役格の組織です。彼らの目的はパワーで,通常の勝利条件のほかに配下にパワーのある組織を集めることでも勝利できます。
その次はチューリッヒの小鬼たちです。スイスの金融界に巣食う世界の秘密資金を吸い集める集金魔です。このゲームでは,資金は陰謀の攻撃修整や妨害修整に使うことができ,ある意味では資金は流動性のパワーそのものといえます。彼らの哲学は,金を支配するものこそ世界を支配するものだということです。彼らの目的は金を集めることです。パワーは7と貧弱ですが,収入12はそれを補ってあまりある世界支配への力の源です。かれらは,通常の勝利条件のほかに150MBの資金を集めることでも勝利できます。勝利への残り距離が他者から不明確であるという点で,この勝利条件は優位性があります。
最後のものはUFOです。彼らは(おそらく)地球外からやってきたであろう謎の存在です。彼らの意図がなんであるのかは,彼ら自身以外には不明です。そのため,彼らの特別な勝利条件はゲーム開始前にプロットします。他の様々なイルミナティの特殊勝利条件の中から任意のものを選んで置くのです。また,彼らは神出鬼没の存在であり,そもそもその実体が単一であるかどうかすらわかりません。このため,彼らだけはルールの例外として1ターンに2回自分たちのパワーを使用することができます。彼らのパワーは6ですが,その実態は6×2なのです。収入8は普通の水準ですが,意図不明で神出鬼没である彼らは他の組織から見て不気味であり,潜在的な脅威として強く意識されます。
この他にも旧版からお馴染みの顔ぶれが世界征服を狙いつづけています。クトゥルフの使徒,バミューダトライアングル,変人協会,暗殺者協会,ネットワークらです。実質的にDX版は,旧版の本体+拡張キット1+拡張キット2に相当します。
イルミナティに牛耳られた様々な組織
イルミナティの顔ぶれは変わりませんでしたが,時代が変わり社会が変化するに連れ,ゲームに登場してくる世界の様々な組織(グループ)は多少の入れ替えがありました。時代とともに台頭して力を持つ組織があれば,逆に力を失うものもあります。
右のものは新たに登場してきたグループです。いちばん上は,コピーショップです。平和的な属性を持つグループで,まさかコピーショップが悪の秘密結社に牛耳られ,その世界征服の尖兵となっているとは誰も思いません‥‥。しかし,それは事実なのです。その見かけ以上に儲かる収益力(収入4)と,ゲーム中に多い暴力的なグループと敵対するがゆえのそれらに対する破壊修正とで,彼らは意外なほど強力です。
その次のものは,ハッカーです。スティーブジャクソンゲームでは,「イルミナティ」と同じ基本システムで「ハッカー」というゲームも出しており,そのゲームのイラストがカードに使われています。一見すると彼らは非力(パワー1)に見えますが,敵の組織を解体する悪意に満ちた陰謀に長けています(中立化攻撃に修整+3)。このため敵の組織の尖兵としてこちらに向かってくると悪質な存在です。
最後のものは,黒服の男たちです。彼らは決して表に出てくることはありません。そのため,彼らは自身の攻撃能力を直接は持たず,他のグループを支援するパワーだけを持っています。また,下部組織を持つこともありません(外向きの矢印がないので他のグループをさらに支配下に収めることができない)。彼らはコントロールするのが難しい(抵抗6)ですが,いったん配下に収めれば信頼を裏切ったりすることがまずないとも言えます。地味ですが,部下にすると頼れる中堅グループです。
旧版と新版でのグループの入れ替えを下記にまとめました。われわれがもっとも憂うべきことは,ウォーゲーマーが姿を消したことです。ゲーマーはもはや社会に影響を与えるだけの力を失ってしまったのです。
旧版から姿を消したグループ
名称 パワー 抵抗 収入 属性
CATTLE MUTILATORS 2 6 1 CRIMINAL ,WEIRD
ELDERS OF ZION 3 7 4 FANATIC
FIFTH INTERNATIONAL 4 7 2 COMMUNIST, CONSERBATIVE
FRED BIRCH SOCIETY 1 4 0 CONSERBATIVE, STRAIGHT
HAIRDRESSERS AND INTERIOR ... - 7 2 PEACEFUL, WEIRD
JOGGERS - 2 2
PREPPIES 0/2 8 4 CONSERBATIVE
REFORMED CHURCH OF SATAN 2 4 1 WEIRD, FANATIC
WARGAMERS - 5 1 WEIRD
新版から登場したグループ
名称 パワー 抵抗 収入 属性
CHINESE CAMPAIGN DONORS 3 2 3 COMMUNIST
CONGRESSIONAL WIVES 1 4 1 CONSERBATIVE, STRAIGHT
COPY SHOPS 1 3 4 PEACEFUL
EMPTY VEE 3 3 4
HACKERS 1/1 4 2 WEIRD, FANATIC
MILITIA 2 4 2 VIOLENT, CONSERBARIVE
RECYCLERS 2 2 3 LIBERAL
TABROIDS 2 3 3 WEIRD
THE MEN IN BLACK 0/2 6 1 CRIMINAL, WEIRD
TV PREACHERS 3 6 4 STRAIGHT, FANATIC
YUPPIES 1/1 4 5 CONSERBARIVE
イルミナティDX版の難点
DX版になったことによる難点というのがあります。その最大のものは,カードが大判になったためにプレイするのに広い面積が要るようになったということです。
悪の秘密結社を中心とするパワーストラクチャーという組織構造を各自が広げるのですが,これがかなり場所を取ります。旧版のカードはかなり小さかったのであまり問題がありませんでしたが,DX版のカードだとかなり広い面積を必要とします。特に5人,さらにはルールで許されている最大である6人というような場合には,大きめのテーブルがないのであれば,床でやった方がいいかも知れません。
この問題は,プレイ開始時には看過されやすく,プレイの進行とともに各自の組織が大きくなってきて深刻になるので注意が必要です。状況によっては,この問題を解決するためにいずれかのプレイヤーをプレイから脱落させてしまうような攻撃が行われるかも知れません。
地球は複数の野心を満たすには狭すぎるのです‥‥?
関連ゲーム / 類似ゲーム
まず「旧版イルミナティ」を挙げねばなりません。往年(15年くらい前?)のSFマガジンのSFゲーム紹介記事に登場したゲームで,このゲームあたりからSFゲームに参入したという人も多く,古いゲーマーにとってはDX版よりもこちらの方こそが「イルミナティ」と言って連想されるものでしょう。
トレーディングカードゲームが雨後の筍のように登場した90年代後半ですが,その流れに沿って「イルミナティ」もトレーディングカード版が出ました。「INWO」です。イルミナティによる新世界秩序(NWO:ニューワールドオーダー)を意味するこのゲームは,各自が自分のデックを構築して,配下にしたいグループや,使用したい陰謀を仕込んでおくものです。その後,コンプリートセットやノンコレクタブルの拡張キットなどが出て,コレクション色がなくなり,デック構築という準備作業だけが残った中間的な形態へと移行しています。
この他には,スティーブジャクソンゲームズの汎用RPGシステムである「GURPS」の一環として「GURPS:イルミナティ」も出ています。また記事中でも触れましたが,同じシステムを使ったカードゲームとして「ハッカー」とその拡張キットも発売されました。「イルミナティ」は,スティーブジャクソンゲームのいちばん大きな資産であり,その関連グッズまで出ています。